米作家団体などは20日、米グーグルの進めている「
プリント・ライブラリー」計画が著作権を侵害しているとしてニューヨークの米連邦地裁に訴えた。原告は作家団体のAuthors Guildのほか、元ニューヨーク・タイムズ記者で作家のハーバート・ミットガング氏、児童小説作家のベティ・マイルズ氏、詩人のダニエル・ホフマン氏の3人(
Authors Guildのプレスリリース)。
問題になっている「プリント・ライブラリー」は、ミシガン大、スタンフォード大、ハーバード大の全蔵書を1ページずつスキャンしてデータベース化し、内容を検索可能にするプロジェクト。有名な3大学のほか、ニューヨーク公立図書館と英オックフフォード大は著作権が期限切れになった蔵書に限定してグーグルに協力する意向(この部分、BBCでは著作権切れの蔵書限定で提供するのはオックスフォード大だけとなっている)。
グーグルの説明によると、出版社が提供した著作(A)とパブリックドメインの著作(B)については、書籍そのものを画面上で再現(検索結果のイメージ画面は
Aと
B)する。半面、著作権が有効な著作は検索語句の前後数行だけを部分的に表示する(
イメージ画面)にとどめることで、著作権の侵害を免れるつもりだ。
あちこちから非難の声があがったことで、グーグルは11月までという期限付きながら蔵書のスキャンを一時停止しているところだ。また、著作権所有者がグーグルに「プリント・ライブラリー」からの除外を申請すれば、その希望を尊重するという。
グーグルは既存のメディアとは根本的に考え方が違うんだろうな。グーグルの基本的な認識は、著作物がプリント・ライブラリーに入ることでその著作物の認識度が高まり、著作物の売上げ増にも貢献するということだ。で、見切り発車してしまう。一方の出版社はそんなことをされたら本が売れなくなってしまうと警戒する。私はどちらかといえば既存のメディアの考えを理解しているほうだし、「プリント・ライブラリー」でいえば、著作物の売上げ増よりも減につながる可能性が大きいように思う。
上記の訴訟は原告が有利な気もするのだが、少なくとも私自身についていえば、著作権に対する考え方が最近だんだんと変わってきたように感じている。というか、特にネット上での著作権侵害を防ぐなんて不可能とさえ思えてきた。さまざまなブログをみれば、テレビから「キャプチャした」画像とか、ほかのサイトから「借りてきた」写真が百花繚乱。文章だってまるごと転載しているのもよく見かける。で、それが幅広く受け入れられている。「著作権を侵害している恐れのあるサイトはリンクしない」のを密かな原則としてきた私も、その原則を維持するのは去年のうちに諦めた。他人の行為にいちいち目くじらをたてていられない(といっても著作権侵害を奨励するつもりは全くない)。
こんな現状をみていると、取締りが厳しくなって著作権侵害が根絶されるとは考えにくい。著作権法はネットが普及する以前に作られたものだから、そのうち現状を追認する格好で大幅改正されるのかもしれないなぁと思うようになってきた。
クリエイティブ・コモンズは正直いってまったくといっていいほど理解していないし、日本での知名度はあまり高くなさそうだけど、これから理解が広がるのかもしれない。今のうちにちと勉強しておこうか。
【参考サイト】
Authors sue Google over book plan(BBC)
Writers Sue Google, Accusing It of Copyright Violation (New York Times)