2011年10月21日

タイ洪水の寄付金を在日大使館で受け付け



 50年ぶりともいわれる水害に見舞われているタイへの寄付金を在日タイ大使館で受け付けている。発電機を2基貸し出してくれるなどで日本を支援してくれたタイに恩返しする機会がやってきた。

 寄付の方法は(1)直接持参(2)現金書留(3)銀行振込−−で、銀行振込は非居住者の口座なので振込手数料が通常とは異なるとのこと(要するに高いってことだろうか?)詳しくは公式サイトで。コンビニの募金箱に入れるのが一番手っ取り早いような気もする。頻繁に更新されている洪水情報地図はこちら

 ところで、このところブログの更新意欲がガクンと落ちている。毎日のぞいてくれている方がいたら、どうもすみません。
      
posted by らくだ at 23:58 | Comment(2) | TrackBack(0) | 国際ニュース | 更新情報をチェックする

2011年09月29日

サウジ女性のムチ打ち刑取りやめ

 きのう書いた運転したサウジ女性へのムチ打ち刑がアブドラ国王の命令によって取りやめになったそうだ(時事通信の記事)。署名の効果があったと思うことにする。

 時事の記事が触れている王女のツイートとみられるものはこちら。このつぶやきが本物と確認されているかどうか少し気になるところだけれど、既に多くの人が本物とみなして世界中で祝賀ムードが盛り上がっている。アブドラ国王も「あれは公式声明じゃない。どんどんムチ打ちしなさい」なんて言えない雰囲気になっているだろう(楽観的すぎる?)。

 一人でも賛同者がいればわずかな力でも2倍になると思ってダメ元のつもりで書いたので、こんなに早く自分の望み通りの展開になるとは思ってもいなかった。報道を見てとても幸せな気持ちになれた。もし、このブログを見て署名に協力してくれた人がいたら、どうもありがとうございました。

【追記】署名活動を行っていた団体から午後10時すぎに下記のメールが届き、今回の件でムチ打ち刑がとりやめられたことを確認した。

Dear Change- Maker!

Thank you! Victory! After fast action by activists like you, King Abdullah has cancelled the public flogging of Shayma Jastaniah. The punishment was handed down after Jastaniah was tried and found guilty of driving a relative to the hospital. Saudi Arabia is, and remains, the only country in the world that bans women from driving.

Saudi Women For Driving, a coalition of Saudi women activists, launched the campaign on Change.org hours after the sentence was announced and quickly gathered 1,600+ signatures calling attention to Shayma’s case. This petition came just after King Abdullah announced that Saudi women had been granted the right to vote and run in municipal elections in 2015.

Shayma’s case in unfortunately one of many in a long struggle to obtain the right to drive in Saudi Arabia, the only country in the world that bans women from driving. Saudi Women for Driving has recently launched another petition calling directly on King Abdullah to finally grant women the right to drive in Saudi Arabia. Please sign it today and share with friends. The struggle for the right to drive in Saudi Arabia is far from over and we still need your help!

Thank you again for your support!

【参考記事】運転したサウジの女性を救済する署名のお願い(2011年9月28日)
       
posted by らくだ at 19:00 | Comment(3) | TrackBack(0) | 国際ニュース | 更新情報をチェックする

2011年09月28日

運転したサウジの女性を救済する署名のお願い

 すでに新聞やテレビで報道されているように、許可無く車を運転したサウジの女性にムチ打ち10回の有罪判決が言い渡された。下の日本語報道には記載されていないけれど、この女性は病気の家族を病院に連れていくために運転、国際免許を保有していた。



 この女性のほかにも車を運転した罪でこれから裁判にかけられる女性がほかにもいる。アブドラ国王らに恩赦を求める署名活動がネット上で始まったので、関心のあるかたは下記ページからぜひご協力ください。

http://www.change.org/petitions/saudi-arabia-dont-whip-women-for-driving

 記載が必要なのは氏名、住所、メールアドレス。記入フォーマットは英語なので、以下にフォーマットのキャプチャを貼りつけて説明する。

saudi.jpg


First Name :下の名前
Last Name: 苗字
Email:メールアドレス
Address:住所(例えば1-1-1 Marunouchi, Chuo-ku)
City:都道府県名
State:右側の青いリンクOutside U.S.をクリックしてJAPANを選ぶ
Zip Code:郵便番号

 下に2あるチェックボックスは、上のが「私の署名を公開しても構わない」、下が「Saudi Women for Drivingからのお知らせを受け取る」なので、どちらも希望しない場合はチェックを外し、赤いSIGNバナーをクリック。

 すると仮パスワードが書かれたメールが送信されてくる。ほかの署名に参加するつもりのない人は、別にログインする必要ない(はず)。
   
posted by らくだ at 21:11 | Comment(0) | TrackBack(0) | 国際ニュース | 更新情報をチェックする

2011年08月25日

ジョブズの挨拶

 アップル公式サイトに出ているスティーブ・ジョブズの辞任の挨拶"Letter from Steve Jobs"がいい。簡潔で力強い。最初の文章で読む人の心をグッとつかむのは彼のプレゼンと同じだ。
I have always said if there ever came a day when I could no longer meet my duties and expectations as Apple’s CEO, I would be the first to let you know. Unfortunately, that day has come.(私はいつも言ってきた。アップルのCEOとしての義務と期待にこたえられなくなる日が来たら、真っ先にそれを知らせると。残念ながらその日が来てしまった=らくだ超訳)
 こんなにシンプルで印象的な辞任の挨拶は初めて読んだと思う。ここまで簡単な単語でこれだけ美しい文章がかける人はそうそういないだろう。“美学”なんて言葉を使って気取る必要はない。

 それにしても、そんなに具合が悪いのだろうか。テレビで見かけた映像はいつ撮影したのか知らないが、さらにゲッソリと痩せているように見えた。それでもI have made some of the best friends of my life at Appleと言えるのは幸せな人だと思う。
     
posted by らくだ at 20:09 | Comment(2) | TrackBack(0) | 国際ニュース | 更新情報をチェックする

2011年04月24日

ノーベル平和賞候補者の醜聞

 2009年の夏、ニューヨークのラガーディア空港で日本までの長いフライトに備えてペーパーバックを買った。ノンフィクションの棚から選んだのは平積みになっていて#1 New York Times Bestsellerの文字が目についた"Theree Cups of Tea"という本だ。K2の登頂に失敗して遭難しかかったグレッグ・モーテンソンという登山家がデビッド・オリバー・レリンという人と一緒に書いている。

 ベストセラーになっただけあって内容は感動的だ。モーテンソンを助けたパキスタンの寒村の人たちに恩返ししようと、彼は学校を建てる。アメリカで働きながら赤貧生活を送ってお金が一定額貯まるとパキスタンに飛んで資材を確保、お金がなくなるとまたアメリカに戻ってという繰り返しで、現地の支援者に裏切られたり、アメリカでの資金調達に苦労しながら夢を実現させていたく様子がつづられている。

 本が売れたおかげで彼の活動は広く知られるようになって資金集めの苦労はなくなった。オバマ大統領が10万ドル寄付したと聞いた覚えがある。ノーベル平和賞の候補者として名前が挙げられたという話もどこかで読んだ。

 そのヒーローが一転して「詐欺容疑者」扱いされるようになったのは1週間前のことだ。4月17日放送の米CBSテレビ“60ミニッツ”で彼の社会貢献活動に対する疑惑の数々が報道された。内容は「本に出てくるエピソードは事実ではない」「彼の運営する団体セントラル・アジア・インスティチュート(CAI)の会計が不透明」などというもの。

 具体的には(1)K2登頂に失敗し、仲間とはぐれたモーテンソンが迷い込んだ村はコルフェではない(2)タリバンに誘拐されて8日間にわたって身柄を拘束されたというのはウソ(3)CAIの集めた資金はアフガンやパキスタンに学校を建設するためよりも米国内で使われる額が多い(4)同資金は2009年にはモーテンソンの本の宣伝・販促に152万ドル以上が使われた(5)同じく2009年には米国内の移動費に129万ドルが使われており、一部はプライベートジェットでの移動だった(6)パキスタンとアフガニスタンでモーテンソンが建てたという141校の学校の中にはまったく存在しないものや、放置されて空っぽのものもある−−という内容。

 う〜ん、彼の本を読んで感動した立場から言えば残念だけど、本の内容については私は我慢できる。だって「これはノンフィクションではなくてフィクションだった。彼はフィクションを書いてパキスタンとアフガニスタンの子どもを助けたのだ」と思えばいいのだから。しかし、資金関連のスキャンダルは、これが事実なら命取りだと思う。

 放送後にモーテンソンとCAIが出した声明というか言い訳はこちらとかこちら。ざっと読んだけど説得力には乏しい。モーテンソンのツイッターによると、22日付の最後のツイートは代理人が書いているらしいが本人は入院中とのこと。信用を築くには時間がかかるのに、無くすのは一瞬だ。

 私が尊敬するジャーナリスト、ニューヨーク・タイムズのニック・クリストフが「'Three Cups of Tea,' Spilled」というコラムを20日付で書いている。モーテンソンのベストセラーのタイトルにかけて「3杯のお茶がこぼれた」というタイトルが秀逸だ。しかし、中を読み進めると、切れ味が鈍い。全体的な論調としては「モーテンソンには問題があったが、パキスタンとアフガニスタンの女児教育における貢献は計り知れない」というところ。呉への同情がにじみ出ている。

 でも、これはちょっと違うのでは。本来なら「パキスタンとアフガニスタンの女児教育における貢献は計り知れないが、彼のやり方と資金の運用には問題がある」と糾弾するべきではないだろうか。モーテンソンがクリストフの個人的な友人だからと擁護するような内容になっているのだとしたら、それこそガッカリだ。

Three Cups of Tea: One Man's Mission to Promote Peace . . . One School at a Time [ペーパーバック] / Greg Mortenson, David Oliver Relin (著); Penguin (Non-Classics) (刊) スリー・カップス・オブ・ティー [ペーパーバック] / グレッグ・モーテンソン, デイヴィッド・オリバー・レーリン (著); 藤村奈緒美 (翻訳); サンクチュアリパプリッシング (刊) Stones into Schools: Promoting Peace with Books, Not Bombs, in Afghanistan and Pakistan [ハードカバー] / Greg Mortenson (著); Viking Adult (刊)
posted by らくだ at 21:38 | Comment(2) | TrackBack(0) | 国際ニュース | 更新情報をチェックする

2011年02月25日

NZ地震の救援金受け付け

 日本赤十字社が23日からニュージーランド地震の救援金受付を始めた。詳しくはこちらのページ。ゆうちょ銀行、クレジットカード、コンビニ支払い、Pay-easyを利用して寄付できる。

DSCF0228.JPG


 写真は今回の地震被害の象徴になっているニュージーランド・クライストチャーチの大聖堂(2001年3月撮影)。写真中央の塔には上ることができた。その上から撮った写真が下。

DSCF0213.jpg

 あの塔が地震で崩れてしまった。観光客がいたかもしれない。周辺の古そうな建物も被害が大きいだろう。地震による死者は100人を超え、行方不明者も200人超を数えているけれど、個人旅行で来ている人など把握しきれていない人がまだいるのではないだろうか。

 正直言って、最初はこんな大災害だと思わなかった。語学学校の先生がメールで家族に被災を知らせてきたというニュースを聞いて、『それだったら連絡が現地にも行くだろうから、早期救出に結びつくだろう』と安心してしまったというのはある。確か自分の周辺に生徒7人が見えるというメール内容だったと記憶しているが、全員同じ状態でいるかのように思い込んでしまった。

 メールを送ったという先生とその7人が救出されたと聞き、ほかの人も全員そろってすぐに助けてもらえるだろうと期待した。楽観的だったのは昨年のチリ鉱山の落盤事故で全員救出されたニュースの影響もあるかもしれない。それなのに朝方テレビをつけると、新しい救助のニュースが入ってこない。それどころか今晩になって語学学校の入っているビル跡から47人の遺体が見つかったと聞いて愕然としてしまった。

 でもまだ希望は捨てたくない。これまでも何日もたってから建物の倒壊現場から救出された人だっていたわけだし。被災者の家族のことを考えると(自分が被災者の家族だったら)、「72時間の壁」とか「タイムリミット」という言葉をあまり使ってほしくない。
posted by らくだ at 00:51 | Comment(3) | TrackBack(0) | 国際ニュース | 更新情報をチェックする

2011年02月18日

寂しい米ボーダーズ倒産

Closing BordersClosing Borders / The Ewan

 前々から囁かれていた話ではあるけれど、米書店チェーン2位のボーダーズが倒産したというニュースは悲しかった。アメリカのあちこちの空港に店舗があるので、日本までの長いフライトの前に本を探すことも多かった。

 といっても、実際に買うかどうかは別の話。去年、シンガポールに旅行してボーダーズを見つけたときは嬉しくて2時間ぐらい店内をウロウロしたけれど何も買わず、年末にメキシコからの帰途、ヒューストンの空港で見つけたときも店内のノンフィクションの棚をくまなく観察しただけに終わった。最後にお金を使ったのは2年前の夏のNYラガーディア空港で、その時に買ったペーパーバックはまだ読み終わっていない…。

 ボーダーズはシンプル&モダンな感じが好きだった。業界1位のバーンズ&ノーブル(B&N)は重厚でごちゃごちゃした感じ。かつて私の住まいの近くにあったのはB&Nだったけれど、ヒマな休日にはわざわざ地下鉄に乗ってWTC近くのボーダーズまで出かけていた。 

 私がアメリカに住んでいた90年代後半は、ボーダーズやB&Nが急速に店舗を増やす一方で、個人・小規模経営の書店がバタバタとつぶれていった時期に当たる。その後、アマゾンなどECが台頭して事態は一変、経営が傾いて電子書籍にとどめを刺されたというところだろうか。

 ボーダーズは1000億円以上の赤字を抱え、米国内670店舗の3割を閉店するという。空港内の支店はなるべく多く残るといいのだけど。経営再建の道は険しそうだ。

 日本の大型書店も同じボーダーズのような道をたどるのだろうか。年末に日本最大の売場面積を誇る書店が大阪にオープンしたこと(1月2日の「MARUZEN & ジュンク堂書店梅田店」を参照)からすれば、まだ個人経営の小規模店が駆逐されつつある段階といえるのかな。それでも、昨年あたりから「自炊」「他炊」なんていう新語を目にするようになり(意味を知らない人はwikiをみてね)、まったく新しい時代に入ってきたという実感はある。
posted by らくだ at 22:06 | Comment(2) | TrackBack(0) | 国際ニュース | 更新情報をチェックする

2011年01月16日

チュニジアの1人と日本の15人

 テレビでチュニジアに関するニュースを見るのは珍しい。ベンアリ大統領がサウジに亡命し、長期独裁政権が崩壊した。私がチュニジアに行ったのは94年で、その時はすでにベンアリの独裁体制下だった。

 空港で偶然知り合った女子学生の家に転がり込んで数日泊めてもらい、何も分からないながらに家族と一緒にテレビを見た。チャンネルは1つか2つだったと思う。ニュース番組には毎日「今日の大統領」みたいなコーナーがあって、今日は大統領が何をしたとか、大統領から国民へのメッセージみたいなものが流されていた。彼女はあっけらかんと「チュニジアは独裁体制だけど、日本は違うんだよね」とか「日本てイタリアよりも頻繁に首相が変わるよね」なんて言っていた。

 進歩的大学生の彼女が独裁体制を憎んでいたのはいうまでもない。でも「別に反対運動なんてしていないし、心のなかで嫌だと思っているだけ。同級生も同じだよ」と言っていたっけ。それから17年でチュニジアの人たちの我慢が限界に達した。いま考えるとよくそれだけもったなと思う。ベンアリが就任したのは1987年11月7日っていうから竹下内閣の時だ(中曽根内閣から竹下内閣に変わったのが同年11月6日)。ベンアリ大統領在任中の日本の首相の移り変わりは−−(敬称略)
竹下登
宇野宗佑
海部俊樹
宮沢喜一
細川護煕←私のチュニジア訪問
村山富市
橋本龍太郎
小渕恵三
森喜朗
小泉純一郎
安倍晋三
福田康夫
麻生太郎
鳩山由紀夫
菅直人
 なんと15人も首相になっている。小泉時代が長期政権なんて言われているけれど、あくまで相対的な話で、チュニジアの人にとっては「はぁ?」って話だろう。これからのチュニジアが日本ほどではないにせよ、リーダーが民意でちゃんと交代する国になることを祈りたい。と、ここまで書いて『あれ、日本のリーダーは民意に基づいて交代しているのかな? ちゃんと交代しているといえるのかな?』と思うと、そんなことは全然なかった。_| ̄|○
posted by らくだ at 15:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 国際ニュース | 更新情報をチェックする

2009年10月09日

早過ぎる受賞

 「アメリカのオバマ大統領が今年のノーベル平和賞を…」と聞こえてきた時、もうまったく信じられなくて夫に「今テレビでオバマが何を取ったって言った?」と聞いちゃった。間違いじゃなかった。オバマ米大統領が今年のノーベル平和賞に輝いた。素直に「おめでとうございます」という気になれない。

 今年の1月20日に就任して以降どんな成果をあげたんだっけ。思いだせない。少なくともアフガニスタンは泥沼化しているような印象があるし、六カ国協議だって再開されていない。最近物忘れが激しくて、何か重大な成果を忘れているかもしれないと必死に記憶を探っていたら、テレビで「核廃絶に向けた取り組みが評価された」と言っていた。え??? 

 アメリカ自身が保有している核の廃棄に踏み切るとか踏み切ったなんて話は聞いた記憶がない。要するにかけ声だけの段階なのでは? それなのに今の段階で平和賞が授与されるってことにすっごい違和感がある。

 言ってみれば、これまで劣等生だった子が優等生に生まれ変わると宣言しただけで誉められているようなものかな。もうちょっと乱暴に例えると、ある暴力団不良グループがあって、これまでは下級生の悪ガキに「お前らナイフ持って学校来てるだろ!」なんて言いがかりをつけて一方的にボコボコにしていた(しかも下級生はナイフを持ってきていなかった)のに、リーダーが変わったら急に「これからは刃物のない社会を実現するために頑張ります」なんて言い出し、それだけで「世のため人のために尽力した」と表彰されちゃって、周りの人がポカ〜ンとしているってところ。

 ま、劣等生を優等生のように扱うと本当に優等生になるという話だから、この時期での授賞により「もう後戻りは許されない」という強い圧力をオバマにかけたという意味合いがあるかもしれない(賞の趣旨から離れてしまうが)。

 それとも、このところ健康保険制度改革などを巡って支持率が急低下、シカゴオリンピックの招致にも失敗した若き大統領を支援しようっていう「政治的な力」が働いたんだろうか? 私がこんなことを書いたところで、リオデジャネイロが石原都知事の負け惜しみ発言に激怒したようなことにはなりっこないので安心だ。

 そういえばキッシンジャーもノーベル平和賞受賞者だった。その程度の賞なんだと思えば不思議もないか…。オバマはブッシュJr.よりも100万倍好きなだけに、なんだか複雑な心境だ。
   
posted by らくだ at 21:01 | Comment(4) | TrackBack(1) | 国際ニュース | 更新情報をチェックする

2009年06月04日

懐かしのヒーロー

 朝方開いたヤフーのトップ画面。かなりふっくらした顔の男性の顔写真が載っていて、その下に「ウアルカイシ」の名前を見つけて一瞬固まってしまった。20年前のヒーロー(という言葉は安っぽいけれど)だった。

 なんて懐かしい名前なんだろう。20年前も丸顔だったけれど、それにしても随分太って変わってしまったな。「あの人は今」というニュースなのかと思ったら、天安門事件から20年のこの時期に亡命先の台湾からマカオ経由で中国への入国を図ったと知り、体が震える思いだった。

 私は20年前に香港に住んでいた。天安門広場での民主化運動の高まりを背景にジョルダーノ(ユニクロみたいな店)が民主化運動のリーダーの顔写真を入れたTシャツを売り出し、私はこのウアルカイシのTシャツを買った。王丹のは売り切れていて、ウアルカイシのLLサイズのTシャツだけ売れ残っていたのだ。ワンピースみたいな長さのTシャツを着て歩いていたっけ。こう書くとみっともなくて恥ずかしいと思うのだが、当時はそのTシャツを着ていることが誇らしかった。

 過去20年で自分はいろいろと変わってしまった。仕事、住まい、友達、家族、変わっていないものはごくわずか。それなのに、この人は何一つ変わらず中国の民主化に人生を捧げている。天安門事件から20周年を機会に中国入りを目指すなんて、自らを犠牲にしたアピールとも思える。

 ウアルカイシらはいち早く海外に逃れていたことで、天安門事件以降は「自分だけ逃げて学生を見殺しにした」などと容赦ない批判を浴びせられた。「私腹を肥やした」なんていう話もあったように記憶している。今になってみると、やはりリーダーというのは凡人とは違うのだと思う。自分だったらとっくに易きに流されている。

 マカオでの入国は拒否されたとのこと。中国に入っていたらそのまま行方不明なんてことがあるかもしれず、彼の身を考えれば入国拒否にあったのはよかった。けれど、祖国に戻らせて家族に会せてあげたいし、天安門広場に行かせてあげたい。

 5月に行った北京、なんとなく自分の肌に合わない感じがしたのは、去勢されちゃったというと表現が悪いかもしれないが、どことなくおとなしくて「中国人民のあふれるエネルギー」みたいなものが伝わってこなかったから。もう、20年前のようなパワーに満ちた民主化運動は起きないのだろうか?
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2009年04月28日

メキシコからの声(BBC)

 豚インフルなんていう言葉を聞いたのは土曜日が初めてだっていうのに、今日は夫がマスクを買ってきた。GW後半の海外旅行に備えてのことだ。旅行先の国はまだ感染例は報告されていないけれど、空港や飛行機の中などで、マスクをしていたほうがいいかもしれないと思って。大袈裟かもしれないが、ここ数日での拡大を見ていると用心しすぎるってことはなさそうだ。

 BBCのサイトで豚インフル関連のニュースを見ていたら、読者からの投稿がまとめられたページがあった。BBCが取捨選択して掲載した基準は不明なので、投稿内容の真偽は不明ながら部分的に私版の“超訳”で紹介する。時間をかけずにさらっと(つまりテキトーに)拾って訳したので、全文をしっかり読みたい人は英語の原文にあたってくださいませ。
■4月25日(土)
○私はメキシコシティで最大規模の病院の一つに勤務する医師ですが、メディアは真実を伝えていません。当局が医療関係者に配布しているワクチンは効果がありません。なぜなら一緒に働いている2人のインターンがワクチン接種を受けたにもかかわらず、わずか6日のうちに死亡したからです。公式発表の死者数は20人ですが、実際には200人以上います。パニックを避けなくてはいけないことは分かりますが、今はこれ以上の死者を出さないようにすることを優先すべきです。(メキシコシティ・ダビラさん)

○私の住むオアハカ州の州都では豚インフルで死者の出た病院が閉鎖されました。新聞ではオアハカでの死者は2人と報道されましたが、病院や関連業界に勤務する友人は、医師と看護師1人ずつを含めて19人死んだと話しています。本当のことは話さないようにと言われているそうです。(オアハカシティ・リカルデスさん)

○私はメキシコ国立健康機関(?)に所属する呼吸器疾患と集中治療専門の医師です。問題は、抗ウイルス治療やワクチンが何の効き目もないとみられることです。たとえ大量に投与しても。医療スタッフの感染リスクは非常に高く、恐怖が広がっています。多くのスタッフが退職したり休暇を申請しています。本当のところ、死亡率は当局の発表よりも高いのです。少なくとも私の勤務する病院に関しては毎日3、4人なくなるのが3週間以上も続いています。(メキシコ市、チャベスさん)

■4月26日(日)
○若者が呼吸器の感染症で死亡する例が少し前から報告されていましたが、政府が警告を出す前だったので必要な検査は実施されませんでした。私たち医師は政府が警告を出してワクチン接種を呼びかける1週間前から何かが起きていると分かっていました。政府がパニックを引き起こしたくなかったのは理解できますが、個人的な意見としては警告を出したのが遅すぎたと思います。

■4月27日(月)
○私はヌエボレオン州の医者です。2週間前から高熱、筋肉痛、のどの痛みや咳を訴える患者が増えました。これらの症状は少し奇妙なものでしたが、豚インフルのことは知らなかったので豚インフルとは診断しませんでした。この地域で最初の死者が出たのは日曜日で、メキシコシティからやってきた人です。しかし、豚インフルによるものなのかを確認する手段はありません。(モンテレー、ビゼンテ・トレスさん)

○私は家族全員のマスクを買おうと思っているのですが、どこでも買えません。6軒の薬屋に行きましたが全部売り切れで、火曜日まで入荷しないと言われました。政府が(マスクをするように)言っているのに、これでは心配でなりません。政府はどこで入手できるかについては明快な情報を出していません。(メキシコシティ、ホルヘさん)

○病院はよくやっています。長蛇の列に文句を言う人もいますが、多くの場合は心配性の人たちが原因です。くしゃみが出たからといって病院に駆け込むべきではありません。私たちには十分な抗ウイルス剤があります。メキシコ社会保障機関(?)の薬剤調達責任者と話をする機会がありましたが、先週末は(薬品の調達に)ずっとかかりきりだったとうです。十分にあるのです。現在は対策が講じられる前に感染した例が明るみに出てきたところで、今後は新規の感染件数は減って対策が成功したことが裏付けられると思っています。(ヴァルガスさん、メキシコシティ)
 ホルヘさんはマスクを手に入れられたのだろうか? まだだったら私のを送ってあげたいくらいだ(それじゃ間に合わないよね)。テレビを見ると街角で警察だが軍が無料で配布しているみたいだったけれど…。マスクに慣れていない人もいるようで、口だけ覆って鼻を出している人を数人テレビで見た。そういえば海外でマスク姿の人ってほとんど見かけない。春先の日本は異常だと思う。
posted by らくだ at 23:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | 国際ニュース | 更新情報をチェックする

2009年01月16日

奇跡

 飛行機事故が起きて「よかった」と書くのもはばかられるのだが、死者が出なくて本当によかった。朝方、ネットでニュースの見出しを見た際には最初「航空機が川に墜落」と出て次に「全員救助のもよう」と来たから、『旅客機が川に落ちて死者が出ないなんてことがあり得るんだろうか』とにわかには信じられなかった。本当だった。

 詳細が分かるにつれてビックリ。NYのハドソン川に不時着したという。着水した技術もさることながら、ハドソン川もイーストリバーも頻繁に船が行き交っているのに一切衝突・接触しなかったことが奇跡に思えた。機長の判断や技術の素晴らしさに運も加わったんだろうな。

 「川に墜落」と見た段階で大惨事に違いないと思い込んでいた。冬の川の事故というと何十年か前のワシントン・ポトマック川の事故を思い出したせいもある。これだけ見事に先入観を打ち破られる(それも良い方向に)ってことは滅多にない。なんだか興奮している。

 しかし、それにしても、と思う。バードストライクでエンジンが止まってしまってこんな事故に結びつくなんて、飛行機に乗るのが少し怖くなったのは事実。
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2008年11月05日

祝オバマ当選

 バラク・オバマ上院議員が次期米大統領に当選した。今回は集計のゴタゴタもなく、すっきりとした政権交代になりそうで安心した。民主党支持の私としては素直に嬉しい。

 大統領予備選に黒人が初めて立候補したのは1972年(シャーリー・チゾム下院議員=女性)だから、それから36年かかってようやく黒人大統領が実現したことになる。このチゾムさんは2005年に亡くなったそうで、あと3年長生きしてオバマ当選を見てほしかった。

 ジェシー・ジャクソン師が84年と88年の予備選に立候補したのは私もよく覚えている。彼も話はうまい。同時にどうしようもなく泥臭い。それに比べオバマ氏は半分白人なのだから当然といえば当然ながら、話し方や立ち居振る舞いなど、どこから見てもハイソサエティの人間だ(ジャクソン師がオバマ嫌いといわれるのも何となく分かる)。大統領になったらますます白人ぽくなっていくような予感がする。それでも一生「黒人初」がつきまとうんだろうな。

 そういえば、ここ1年あまりというものブッシュ現大統領の姿をテレビや新聞で見る機会がめっきり減った。健康不安説のある金正日のほうがずっと過去の映像などを目にする機会が多い。マスコミにとっては「レームダックに用はない」んだろうけれど、それにしてもちょっとひどくないですか?
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2008年09月15日

メリル&リーマン

 なんという連休だろう。リーマン・ブラザーズが破綻し、メリルリンチがバンク・オブ・アメリカに買収された。

 十年ほど前、リーマンとメリルの人に別々の場で「日本の金融機関て全般的に経営が危ないんでしょ?」みたいなことを言われたことがある。私は肯定するしかなかった。それがこんなことになるとは想像もしていなかった。そういえば当時は原油相場もバレル当たり8ドル台だったと思う。なんだか歴史の生き証人になった気分だ。

 リーマンは今年の3−5月期決算で上場来初の赤字を計上してからここまでがものすごく早かったな。わずか3カ月。個人的に知っている人だけに限れば地味というか実直というか派手さのない会社で、お気に入りのエコノミストがいて各種レポート類はかなり信頼していた。

 メリルには知り合いも何人かいる。そのまま全員が身売り先に移れるとも思えない。そのうち別会社のメールアドレスから連絡が来るのだろうか。かつてよく使った「米証券最大手メリルリンチ」という言葉が今は懐かしい。
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2008年08月28日

テロの脅威

 まず最初にアフガニスタンで誘拐・殺害された伊藤和也さんの死を悼み、心からご冥福をお祈りする。

 誘拐のニュースを聞いた時、2003年から8年近くも現地で活動していて現地の言葉も堪能という話だったので、なんとなく『この人なら大丈夫』と思っていた。完全に甘かった。日本の常識なんて通用しないところだっていうことを忘れていた。

 誘拐の一報で思い出したのは、イラクで人質になった男女3人のことだ。確か2004年春の話だったっけ。それより前からずっとアフガニスタンで地道な活動をしていた日本人がいたなんて全然知らなかった。

 5年間の時の重みを考えれば、それだけ価値のある人間が殺されるはずないと思ったし、テレビで見る伊藤さんの写真はどれも充実感に満ち溢れていて『この人はアフガンでまさに水を得た魚なんだな。もっともっと活躍してもらいたいな』なんて勝手なことを考えていた。

 生存情報が一転し殺害を確認したと伝えられたご家族の心中は察するに余りある。お父さんやペシャワール会の人たちは、このまま活動を続ける(続けてほしい)という趣旨の話をしていた。そのほか「テロに屈しない」なんていう格好いいことを言っている人もいた(音声だけ聞いていたので誰が言ったか未確認)。

 そりゃ、伊藤さんの遺志を受け継いで現地の人たちの自立支援が続けられれば、それが一番いいと思う。でも、「善意」が「悪意」と受け止められる場所で命をかけて活動する価値はあるのだろうか。

 「テロの脅威に屈しない」と断言できる人は、たぶん安全な場所にいる人だと思う。アフガンではつい先日もアメリカ人だったかカナダ人の女性3人が射殺されている。丸腰の民間人が1人でテロの脅威に立ち向かうというのは限界に来ている。

 伊藤さんのような人がこんなに簡単に殺害されたというショックから、ひとまずテロの脅威に屈して民間ボランティアは引き上げるべきではないか、と思い始めている私だ。
posted by らくだ at 22:56 | TrackBack(0) | 国際ニュース | 更新情報をチェックする