G7での中川昭一財務・金融担当相の醜態が話題をさらっている。テレビで会見の映像を見た時は最初に思い浮かんだのが脳梗塞か何か。その後「緊急入院」などという話が伝わってきていないことを考えるとやはり泥酔していたとしか思えない。時差ボケであそこまでひどくなった人を見たことがないが、日頃の激務と麻生内閣の支持率低下といった心労に時差ボケが加わるとあそこまで行くのだろうか?
ここまで書いたところで、本人が原因は風邪薬だと釈明していることを知った。しかも会見前にはお酒を飲んでいないものの、終わったあとでは飲んだと言っているのにはたまげた。風邪薬でろれつがまわらない状態になっているにもかかわらず、お酒を飲んだなんて正気の沙汰とは思えない。
たぶんネットの世界では中川さんを「日本の恥」として非難する書き込みが乱れ飛んでいることと思う。確かにありゃ恥ずかしいよね。でも、テレビで会見を見た範囲では、質問している記者連中が中川財務相の様子には一切に触れず、まるで何事もないかのようにG7について質問しているのもかなり恥ずかしかった。
相手は「
共同宣言みたいなものが出ました」なんて言ってるし、政策金利の水準さえ間違っている。いや、その前にあの様子を見たらG7や政策金利なんて言葉を知らない小学生だって大多数は『このオッサン、マジでヤバイ』って感じると思う。
記者連中はさすがに「酔っ払っていますか?」とは聞けなくても「体調を崩されたんですか?」「大丈夫ですか?」くらいの質問があってもいいはず。その場面が一切出てこなくて何事もないかのように質疑が進んでいた。そんなことをすると恨みをかって後々の取材に響くかも、なんてことでおとなしくしていたんだとしたら情けない。
会見後の早い時間帯に流れたと思われる記事には、中川氏の様子に関する記述はない。
【ローマ14日共同】中川昭一財務相兼金融担当相は14日、先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)閉幕後に記者会見し「2009年度予算案と、08年度第2次補正予算の関連法案を成立させることが最大の景気対策だ」と述べ、国会審議への野党の協力を求めた。
財務相は、G7などの場で米国から追加対策の策定を要請されなかったことも明らかにした。
日銀の白川方明総裁は、今後の金融政策について「前回の金融政策決定会合以降のデータを踏まえ検討する。現時点では何も決まったものはない」と述べた。
このあと外国の報道で会見の様子が報じられたあと、TVそして活字媒体が“異変”に飛びついた。このメディアのやり方には誠意が感じられない。
米ABCニュースによる「日本の財務相がG7会合で居眠り」という記事(
英語の原文)は「15時間のフライトによる時差ボケはつらいだろう。しかし、IMFが今年2.5%のマイナス成長を予測し、トヨタや日産といった最大手の自動車メーカーが万単位で人員削減をしているといった事実は、彼を起こしておくのに十分なはずだ」「中川氏はガイトナー米財務相との会談中はかろうじて目を覚ましていられた」と手厳しい。しかも署名記事だ。
中川氏は動画と名前が世界中に流れてしまい、世界中の笑い物になった。一方、会見に出席していたメディアの連中は名前や顔も流れることがなく批判にさらされることもない。こうしてみると、中川氏がちょっとかわいそうにも思えてくる。日本のメディアが記者会見で単刀直入に質問し、批判的な記事を署名入りで書く日はやってくるのだろうか?