2009年04月01日

ハダカノツキアイとエイプリルフール

 ネットで知り合った温泉マニアのフランス人(多分オッサン)が仕事で日本に来ている。仕事で何をしているのかは知らないが、以前、何年か日本に住んでいて百カ所以上の温泉を訪ねたそうだから、本当に温泉が好きには違いない。

 でも「ハダカノツキアイとは何か、直接会って教えて欲しい」とか「その次の日はコンヨク温泉に連れて行ってくれ」と頼まれ、正直いってかなりひるんでしまった。向こうは純粋に日本の文化について知りたいだけなのかもしれないが、言葉が通じないとニュアンスが分からない。

 だって、ちょっと文章を変えただけで「ハダカノツキアイを直接教えて欲しい」になっちゃうよ…。海外の人に日本の温泉の良さをわかってほしいという気持ちも強いのだが、う〜むと考え込んでしまった。

 言葉が通じる日本人同士でも、どうしても理解できない人はいる。ネットを通じて知り合う人にはその割合が多いかもしれない。それに自分の言いたいことを英語で100%伝えられる自信はない。

 あたしゃもう立派なオバサンなんだから怖いものなし、それほど警戒する必要はないかなぁと思いつつ、やっぱり会うのはやめておくことにした。そんなに何回もメールをやりとりしたわけじゃないのだ。

 日本式にやんわりと「月末月初は忙しいから」(これは本当のこと)と断ったのだが、そんなことじゃ向こうは諦めず「イザカヤでいいから直接会ってハダカノツキアイを…」とメールを送ってきた。

 はっきりと「ネットで知り合ったばかりの人と出かける気になれない。相手が日本人でもネットで知り合った人とトラブルになったことがあるのだから」と返信すればよかったかもしれない。でも、そうすると「自分は怪しいものじゃなくて…」と延々と説明が続きそうな気がして、つい「今日から仕事で関西に行って向こうに泊まる」ってウソをついてしまった。『きょうはエイプリルフールだからウソついても許されるよな』って思ったのもある。

 悪いことしちゃったかな〜と気になっていたのだが、本人からは「そうか、それは残念だ。次回は9月に日本に来るからその時にはぜひハダカノツキアイを…」ってメールが来た。それを読んでウソをついた罪悪感が少し和らいだ。9月かぁ。それまでにこの人を信頼できるようになっているんだろうか。
 
posted by らくだ at 20:22 | Comment(1) | TrackBack(0) | 温泉・温浴 | 更新情報をチェックする

2009年02月12日

2年ぶりの台湾(2)

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 4回目の台湾訪問にして初めて日本語よりも英語を話す時間の方が長くなった。それだけ世代交代が進んでいるということ。もともと台湾の人が日本語を話すというのが不自然なんだし、正常な状態に戻りつつあるということなんだろう。ただ、正直に書くと日本語ペラペラのおじいちゃん、おばあちゃんと話せなくなるのはとても寂しい。

 今回の旅で友だちになったのは、同じバス停でバスを降りたジョングさんという女性。話しかけてきた彼女に「私日本人なの」とたどたどしい中国語で返事をしたら、ごく自然に英語に切り替えての会話が始まった。

「どこ行くの?」
「そこの温泉施設に行くところ」
「あそこの温泉に入るの? 高いわよ」
「実は外国人旅行者が無料で入れるクーポンを持ってるの」
「この先にいい温泉があるんだけど一緒に行かない?」
「川べりにある自然の露天風呂でしょ。そこ数日前に行ったんだ」
「えっ、もう行ったの!? あなた台北に住んでるの?」
「ううん、日本から旅行で来ているの」
「旅行で来てあんなところまで行くなんて、もの好きね」
「うん、すごいもの好きというか温泉好き」
「あなたが行った時、人はたくさんいた?」
「うん、平日の夕方近くだっていうのに数十人いてビックリだった」
「きょうは日曜日だからもっと混んでるわよ」
「えっ、雨が降っているのに?」
「そう。でも誰も来ないところを私は知っているから教えてあげる」

 そう言われたら、ついていかない手はない。2回も同じ野湯に行くなんて自分でももの好きだな〜と思いながら、傘をさしてぬかるんだ山道を彼女と30分ほど歩く。

 確かに数日前に行った野湯(台湾では野渓温泉という)は雨にもかかわらず、数日前よりも混んでいた(写真上)。台湾の人たちってアウトドアが好きなんだな〜と感心する。「こっちよ」というジョングさんについていったら、本当に誰もいない湯だまりがあった(写真下)。なんてラッキーなんだろう! 川の流れを石で調節して湯だまりを適温にし、湯につかりながらおしゃべりを楽しむ。

 台湾と日本で活躍する芸能人の話になったら、私よりも若そうなジョングさんも最近のアイドル系は知らない様子。私は『金城武って金がジンで城はチェンだったかなぁ…』レベルなので全然通じない。テレサテンも『中国名の苗字はケ小平と同じケだったはず』と思ってデン…と言ってみたり、歌を口ずさんでみたのだが音痴なせいか分かってもらえない。

 結局、2人とも知っていたのは欧陽菲菲だけだった。彼女なら中国語読みがオーヤンフェイフェイなので間違えようがない。彼女の代表曲は「ラヴ・イズ・オーヴァー」だと思っているのだが、ジョングさんは知らない様子。「彼女の歌と言えばこれでしょ」と言って歌い出したのは、もんた&ブラザーズの「ダンシング・オールナイト」だった。「あ、この歌なら知っている」と中国語と日本語で大合唱に。「あれ、この歌ってどうやって終わるんだっけ。キリがないわね」、「日本語バージョンなら終わり方がわかるから私に任せて」と、2人で爆笑する。

 ジョングさんのおかげですっごく楽しい一時をすごし、気がついたら2時間近く湯につかって指がシワシワになっていた。これから台湾を訪ねる時、またこんな出会いがあるといいな。

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【関連記事】台北のおばあちゃん(2007年6月17日)
タグ:台湾
posted by らくだ at 22:48 | Comment(3) | TrackBack(0) | 温泉・温浴 | 更新情報をチェックする