2011年10月28日

十津川村の公衆浴場3軒が11/1再開

 台風12号の被害を受けた奈良県の十津川村で温泉の復旧が進み10月25日には十津川温泉に揚湯ポンプを設置された。11月1日には村内の3カ所の公衆浴場(わらびお公衆浴場、泉湯、滝の湯)が営業を再開する(10月28日付の十津川村観光協会公式ブログ)。いずれも11月末まで入浴無料。復旧おめでとうございます。庵の湯と憩いの湯の再開も近いかな?

 観光協会公式ブログの10月26日付記事によると、十津川温泉の旅館・民宿は11月中旬頃の再開を目標にしているとのこと。もう少しだ。

 台風12号の被害をきっかけに当ブログのコメント欄で「まくしみり庵」さんに教えてもらった「新十津川物語」を読み始め、少しずつ読み進めてただいま9巻を読んでいるところ。舞台は奈良の十津川村から北海道、樺太まで広がる壮大な物語で、北海道開拓史はもとより日本の近代史を知る上でもとても興味深い内容。全部読み終わる前に復旧の目処がついて安心した。

【追記1】読売新聞によると、国道168号は10月30日に復旧し、十津川温泉の旅館・民宿は11月11日に営業を再開する見通し。(10月29日更新)

【追記2】実際には「わらびお公衆浴場」は10月30日に営業を再開した。「憩いの湯」は11月1日に再開し、残すは「庵の湯」だけになった。寸断されていた国道168号も一部で片側通行などの条件はあるものの、10月30日から一般車両が通行できるようになった。(11月5日更新)
    
         
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2011年10月09日

悲しき鯖湖湯

IMG_6086.jpg 数年ぶりの飯坂温泉(福島市)はずいぶん変わっていた。駅舎が新しくなった(写真左)。以前の無骨な駅舎に比べたら、かなり印象がよくなった。

 おまけに駅で自転車を借りられるようになった。これは前もって調べていた。9月から始まったばかりの「ももりんレンタサイクル」は普通の実用車なら無料、電動アシスト付きでも300円と、なんとも太っ腹な企画なのだ。私は電動アシスト付きを借りた。これさえあれば、駅からかなり離れている天王寺穴原湯もラクに行けるハズ。

 駅のはす向かいにある観光案内所で地図をもらって行き方を尋ねた。受付の奥にいた男性はサッと立ち上 がって応対してくれ、「片道はこっちのルートを通れば飯坂温泉の中心を観光できますよ」と、新しくできた観光施設「旧堀切邸」について教えてくれ、すかさずパンフレットまで出してきた。

 あちこちで観光案内所を利用しているが、いつもはお役所的な対応をされることが多い。飯坂温泉でも前回はかなり事務的な対応をされた記憶があるので、こちらが尋ねていないことまで気を利かせて教えてくれたのは嬉しい驚きだった。

IMG_6067.jpg 温泉街に繰り出しても変化はあった。波来湯(写真右)は今年1月に新しく建て替えられてオープンし、周辺は川沿いの細長い公園として整備されていた。紹介された「旧堀切邸」は鯖湖湯の近くにある江戸時代の豪農・豪商の旧家で、内部に足湯・手湯もあって入場無料。鯖湖湯の前には古民家風のカフェができていた。なんだか温泉街全体が少し明るくなったように感じた。

 電動アシスト車のありがたさを実感しながらたどり着いた天王寺穴原湯はウワサ通りの激アツ湯。実測で47.1度もある。常連のオバサマ方から指導を受けて10杯くらいかけ湯をし、「水をたくさん出していいから、蛇口の ところに入りな」と言われた通り、水道の蛇口直下にエイヤッと入る。スルッとした肌触りの湯は気持いいのだが、水道の水が届かない足先からジンジンとしび れてくる熱さだ。1分も入っていられない。オバサマ方に失笑されながらも、楽しいひとときを過ごすことができた。

IMG_6078.jpg 飯坂温泉のシンボルである鯖湖湯(写真左)にも久しぶりに立ち寄ったのだが、ここは全然違った。温度は穴原湯よりも少し低く45.9度。ウォーミングアッ プしていたおかげで難なく入ることができた。先客の女性が「端っこの下から熱い湯が出ているから、真ん中あたりに入ったほうがいいよ。あぁ、あなたは熱く ても大丈夫そうだね」と声をかけてくれた。ここまではよかった。

 ふと気がつくと、脱衣所(浴場との境がなく一体型)で話し合っている数人の声が耳に入ってきた。「◯◯さんが来た時どうだった? ぬるま湯みたいだったでしょ?」、「旅行者が熱いからって水をたくさん入れ ちゃってさ…」、「勝手なことされてたまらないよね」、「他にもっとぬるいところあるんだろ?」、「あるある、なんでここに来るんだろう?」、「来なきゃ いいのに…」などなど…。

 もちろん、私自身に向けられた言葉じゃないことは理解している。それでも小耳に挟んでなん だかすごく悲しく、透明人間になりたい気分だった。私に声をかけてくれた浴場の女性にも聞こえたみたいで、気まずそうな顔をしていた。浴場には旅行者に配 慮して湯の温度を43度くらいに調整しましょうというような張り紙があるのだが、どうも説得力ゼロみたいだ。

 鯖湖湯は外も中も趣があって素晴らしい共同浴場だ。できればヨソモノにも開放を続けて欲しいけれど、これだけ地元住民から反感を買っているのでは、今のままの状態を続けるのはお互いにとって不幸ではないだろうか。私だって「来なきゃいいのに…」なんて言われるのはゴメンだ。ヨソモノが入浴可能な時間帯もしくは曜 日を設定するなどで、旅行者でも肩身の狭い思いをせずに鯖湖湯を利用できるようにしてもらいたい。
    
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2011年09月07日

会津・大塩温泉たつみ荘支援のお願い

 この記事は温泉愛好家向けに書く。といっても、温泉関連のニュースサイトをやめた今となっては、温泉好きの人がどれほどこのブログを読んでいるのか皆目分からないのだが、1人でも多くの人に届くことを願う。転載歓迎。

 温泉愛好家の間で季節限定露天風呂が人気の「大塩温泉 民宿たつみ荘」が7月末の新潟・福島豪雨で被災、建物の基礎部分がえぐられて家屋全壊と判定された。避難していた経営者一家は9月4日にたつみ荘に戻って2階で生活しているが、取り壊し・再建は免れない状況だ。

 そんな中でたつみ荘支援者有志が義援金を集める運動を始め、私のところにもお願いが届いたので以下全文を転載する。
 突然のお便り失礼いたします。

 又、大震災、原発災害の被災の方にお送りしてしまっていれば、大変に申し訳ありません。ご容赦ください。

 さて、この度の新潟・福島大豪雨は7年前の豪雨を大きく上回る規模で、私たちの〜山菜採りの、キノコ取りの、渓流釣りの、温泉三昧の、狩猟の、憩いの、遊びの〜拠点であった民宿「たつみ荘」は下に流れる只見川の大増水により、1階床上1メートル浸水の被害を受けました。又、近年温泉ファンに大人気だった幻の季節限定露天風呂も壊滅的打撃を受けてしまいました。(国はこの災害を「激甚災害」に指定しました。)

 幸いにして三瓶さんご一家3人は、修兒さんの実家であり、上の国道に面した「旅館岩崎屋」に避難して御無事です。

 「たつみ荘」のある金山町(福島県大沼郡)と隣の只見町(南会津郡)とその周辺地域は幸いにも3.11東日本大震災とそれに引き続く東電原発の爆発による放射能汚染災害からもかろうじて免れ、「風評被害」があるとはいえ毎日何とか暮らしていける福島県でも唯一と言っても良い地方でした。しかしそこが未曾有の打撃を受けてしまったのです。この豪雨と「電源開発」、「東北電力」2社によるダム放水コントロールの判断ミスは、川の津波を引き起こし、その破壊力は凄まじいものでした。濁流は何棟もの家を押し流し、幾つもの橋と鉄橋を破壊し、山と砂防堰堤を崩し、家屋、田畑に流れ込みました。自然災害と人為ミスによる災害の複合はここでも被害の規模と範囲を大きくしました。

 地域の復活無くして「たつみ荘」の復活も無し、とはいえ、私たちは出来ることから始めたい。それは共に語り、泣き、笑いして来た「たつみ荘」の復活・再興だと考えます。すでに一家は浸水の直後から立ち尽くすこと無く、再生に向け出来る限りの力を注いでいます。私たちもまた、私たちの拠り所である「たつみ荘」の一刻も早い再興を図るべく物心両面の支援を行っていきたいと思います。

 どうか心ある皆様の、熱き或いは温泉のように温かいご支援をお願いいたします。当面一家の生活と再興に向けた取組への義援金・支援金を下記講座に集中して下さい!

郵便振替口座名義 三瓶修兒(さんぺい しゅうじ) 口座番号2200−7−134080(振込用紙の口座記号番号欄の左端に0が印字されていない場合は02200−7−134080)
銀行からは 店名二二九 預金種目 当座 番号0134080
1口5,000円で何口でも(申し訳ありませんが振込手数料は各自でご負担下さい。)

2011年8月
呼びかけ人
渓流たつみ会 会長 鎌倉市 大宮 明

P.S.1 町の調査により、地盤が動いたため「家屋全壊」の判定を受けました。
P.S.2 「たつみ荘」ブログが新しくなりました http://tatsumisou.blog.ocn.ne.jp/
 郵便振替口座番号の頭の部分はオリジナルの手紙には0220と記載されているが2200が正しいことは確認済み。個別の施設に義援金を送るよりも自治体に送りたいという人は金山町の公式サイトに義援金の受付窓口が載っている。それによると10月末まで受け付けている。
     
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2011年07月06日

事故から4年あまりたったシエスパの様子

 直前に書いた映画「無常素描」の上映館・オーディトリアム渋谷がシエスパのすぐ近くだったので、久しぶりに様子を見に行ってきた。去年の8月に行っているので約1年ぶりだ。

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 2007年6月に爆発事故が起きたシエスパ別棟。基本的に変わっていないけれど、ブルーシートが風化してほとんど役目を果たしていない。

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 近づくと(というか望遠で撮ると)ブルーシートが薄くなった分だけ、鉄骨がグニャリと曲がっているのがよく分かるようになった。

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 すでに献花台はなく、張り紙にもお詫びの言葉はなくなっていた。「老朽化」の文字が悲しい。刑事・民事の裁判はどこまで進んでいるのだろう? 私の知る限り今年の6月19日に「事故から4年」という記事はどこにも見かけなかった。風化しているのはブルーシートだけじゃなくて事故そのものといえる。
        
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2011年05月27日

旅館組合が東電に損害賠償を毎月請求だって

 栃木県の鬼怒川・川治温泉旅館協同組合が東電に損害賠償を請求するという(詳しくは下記リンク先記事参照)。損害額は月単位で計算して毎月最大で2億円に達する可能性があるとか。

 記事は「東京電力福島第1原発事故の風評被害を受けているとして」「原発事故による風評被害や計画停電で宿泊客は例年の1割程度」と、なんだか原発事故だけが原因みたいな書き方。仮に原発事故がなかったとしても自粛や消費マインドの低迷による影響はかなりの程度あったと思われるのに、それについては一切触れられていない。

 どこまでが風評被害でどこまでが自粛などによる損害かってどうやって判断するのだろう。それに、このブログでも繰り返し書いている通り、原発関連の損害って「風評被害」によるものかな? 検索で一番上に出てくるウィキには「存在しない原因・結果による噂被害のこと」と出ている。

 仮に原発事故を受けて「栃木県の温泉は放射能に汚染されている」とかいう報道があったり、噂が流れたらそれは風評被害だと思う。でも、原発事故は実際に起きていて、その事故に関するさまざまな事実の報道に触れた人が自分の判断で行くのをやめても「風評被害」なんだろうか? 東電の味方をするつもりは皆無だけど、どうも釈然としない。

 私としては「風評被害」という言葉を使わず、例えば「原発事故により放射能が拡散、人々が放射能を恐れて旅行者が減ってしまった。だから損害賠償しろ」って主張してくれたほうが共感しやすい。

 那須観光協会も損害賠償請求を検討中で、塩原温泉などにも連携を呼びかけるというから、他の県の旅館組合もどっと追随するのだろうか。東電が請求額をきっちり満額賠償するとは考えにくいけれど、多少は支払ってもらえるのかな。

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2011年02月09日

東京の健康温泉ベスト10@テレビ朝日「みんなの家庭の医学」

 海外旅行に出かけていたわけでもないのに、更新を1週間以上サボったのは初めてだ。あまり先が長くないかも…。

 昨日(2011年2月8日)に放送されたテレビ朝日「みんなの家庭の医学」で2011年東京の健康温泉ベスト10というランキングが発表された。どう健康なのかっていうと、塩分を多く含んでいて保温効果があるという点で「冷え性に効く」そうだ。ランキングは以下の通り。
 1位 東京天然温泉古代の湯(葛飾区)
 2位 東京染井温泉SAKURA(豊島区)
 3位 THE SPA 西新井(足立区)
 4位 大谷田温泉明神の湯(足立区)
 5位 Spa LaQua(文京区)
 6位 大江戸温泉物語(江東区)
 7位 保木間の湯じゃぽん(足立区)
 8位 前野原温泉さやの湯処(板橋区)
 9位 高井戸天然温泉美しの湯(杉並区)
10位 天然温泉平和島(大田区)
 1位、5位、7位は未訪問。ということは10軒中7軒は訪問済み。体感的な保温効果には随分違いがある。私がSAKURAを訪問した際はそれほどの保温効果を感じなかった。どう考えても、さやの湯処の源泉浴槽の方が保温効果がありそう。

 というのもこのランキングは、成分表の数値のみに基づいていて、加水や循環濾過は考慮していない。番組内では、「源泉がそれほど高温ではないため、効能が大きく減るほどの加水はないと考えた」と専門家が説明していた。しかし、加水の目的は適温にするためだけじゃない。源泉の湯量不足を補うための加水だってあるはず。湯づかいによる影響は本当にないのかな? そのあたりがどうも雑に感じられた。

 温泉にそれほど関心のない人なら『えっ、東京にもこんなに温泉があるんだ!』って感動モノかもしれないけれど。テレビの健康番組って他のネタの際も多分こんなふうに雑に番組を作っているんだろうな、と感じられたヒトコマだった。

 ちなみにランキングの番外に挙げられていたのは武蔵小山の清水湯。というのも10位までの入浴料を平均すると1500円近くなってしまうそうで、手頃な銭湯料金(450円)で行けるところとしてランキングでは13位の清水湯がコストパフォーマンスの高さで取り上げられていた。
    
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2011年01月29日

温浴施設の不正にみる危機管理の差

 芋づる式に明るみに出ている温浴施設の下水道料金ごまかしで、ようやく一部始終がスッキリと解明されるケースが出てきた。不正が明るみに出てスッキリというのも変な話なのだが、これまで大手メディアが報道した5〜10件のケースに限ると、誰に責任があるのか分からない話ばかりだった。中には「不正とは知りつつ工事したが、誰に依頼されたか覚えていない」なんて笑い話があるほどだ。

 スッキリ解明したのは広島・福山市の「ぐらんの湯」。施設側がプレスリリースを出し、記者会見をして発表したのは私が知る限り初めてのケースだ。ぐらんの湯の公式サイト事業主体・運営のフジの公式サイトにもお詫び・リリースが掲載されている。トップページにお詫びが掲載されているのが潔くてよい。これまで発覚した温浴施設の不正で、このように堂々とお詫びを掲載した施設は他にない。

 リリースの内容と各種報道によると、温浴コンサルの“示唆”により、当時の建設部長(退職済み)の独断によりメーターを通さないバイパス管の設置を決定。計3カ所でバイパス管を設置することにより、下水道料金は2005年の開業時から正規の3分の1しか払っていなかったという。当時の支配人もその事実を知りながら『そんなものかな』と思って黙っていた。しかし、昨年11月に異動の内示を受けて内部告発に踏み切り、同社は11月18日から社内調査を開始、12月15日に福山市に報告、1月5日にバイパス管を切断・封鎖して、28日に発表した。

 他のケースに比べれば、発覚から発表までのスピードはかなり速い。自ら発表できたのは「会社ぐるみではない」という確信があるからだろうか。リリースの内容も最初に「お詫び」とうたっている通り、「福山市民の皆様、および関係各位に多大なご迷惑をお掛けいたしましたことを深くお詫び申し上げます。今後、二度とこの様な事が起こらないよう、コンプライアンスの徹底、企業倫理の向上に努め、再発防止に全社をあげて取り組んでまいります」と基本的な謝罪文が入っていることで好印象だ。

 一方、フジと同じ一部上場企業の共立メンテナンスは、運営していた「古代蓮物語」で同様の下水道不正が明るみに出た際、メディアが報道しても何の発表もせず、メディアの最初の報道から半年以上たってからプレスリリース(PDFファイル)を出した。内容は謝罪ではなく「報告」であり、今読み返してみても言い訳がましさが目立つ。フジのリリースに比べると明らかに見劣りする。企業の危機管理能力の差ってこういうところに現れるんだな〜と興味深く読み比べている。

 ぐらんの湯はコンサルの示唆が発端ということなので、このコンサルがどこかってことを調べて、そこが関わっている温浴施設リンク切れの場合のウェブ魚拓)を立ち入り検査するところから始めればいいのに。今のところ2件クロ。地方自治体がそうした情報を共有して積極的に動いているとは思えないのが残念だ。
   
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2010年09月14日

もったいない英語サイト

日本秘湯を守る会」の英語版公式サイトが9月6日に開設された。日本の温泉に関する外国語の情報は極めて少ないと思っているのでとても喜ばしいことだ。しかし、閲覧して残念なことに気づいてしまった。参考資料としては優秀なサイトながら、実用性に乏しく、予約サイトとしては今のところほとんど役に立たないってことを。

 まず、宿の検索条件がが地域・県別と通年営業か否かしかない。露天風呂があるとか貸切風呂があるとか、公共交通機関だけで行けるかどうかなどの条件がないと使いにくい。県の名前を羅列されても、地図がないと場所を思い浮かべられない人だって多いだろう。

 また、それ以前の問題として、受け入れ態勢が極めてお粗末だ。会員宿192軒の情報を閲覧すると、ほとんどの旅館について"This inn has no plans."と出てくる。要するに「宿泊プランの設定はありません」ということだ。

 宿泊プランが出てきたのは、長野県の地獄谷温泉「後楽館」と和歌山県の川湯温泉「冨士屋」の2軒だけ。他の190軒は、現時点で英語圏のインバウンド客向けの宿泊プランがない様子だ。せっかく英語サイトができ、オンライン予約をするための会員登録もできるようになったのに、内容があまりにも寂しい。早期充実に期待したい。
      
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2010年09月05日

別府の鍋山の湯近くで…

 すごくショックな事件があった。別府の明礬温泉近くにある野湯「鍋山の湯」(リンク先は私の訪問レポ)に通じる未舗装の道路脇で女性の変死体が見つかった。兵庫県から車で九州に来ていた28歳の女性で、首を絞められた跡があることから殺人と断定されたという。

 鍋山の湯へはバス停から片道1時間ほどテクテクと歩いて往復した。覗き目的の変質者が出没するという噂を聞いていたので始発のバスに乗って行った。それも真冬の一番寒い時期だった。早朝だったこともあり、人通りのほとんどない道だった。温泉付近の車上荒らしも多いと聞いた。彼女が何時ころに現場を通りかかったのか知らないが、私と同じような状況だったとしたら、たとえ大声を出したとしても誰にも聞こえなかったに違いない。

 見つかった車は彼女のものだという。車に乗っていたのに、なぜそんな目に遭ったんだろう。私みたいに歩いている人を親切心から拾ってあげたんだろうか? それとも犯人が道の真ん中に飛び出してきて車を止めて乗り込んできた? つまり、野湯にやってくる女性を待ち伏せしていた?

 野湯に来る人は、アウトドア系というかオープンというか、陰湿な人はいないようなイメージがあった。実際にはそんなことはなくて、気持ち悪くて無神経な人も多々いるってことは今じゃ私も常々実感している。でも、こんな殺人事件が起きるところまで行くなんて予想もしていなかった。 

 犯人はどんな人か分からないけれど、鍋山の湯のことを一切知らないってことはないだろう。ある程度は温泉に関心を持っている人なんじゃないだろうか。考えれば考えるほど気持ち悪くなる。亡くなった彼女のご冥福はもちろん、犯人の一日も早い逮捕を祈っている。

 かつて「温泉好きに悪い人なし」と自信満々で断言していた知人は3年ほど前に再開した際、そんなことを一切言わなくなっていた。心ない温泉マニアに随分酷い目に遭わされて傷ついた様子だった。犯罪とはまったく関係ないけれど、ふと彼のことを思い出した。

 そういえば、私のサイトを訪問する人がどんな言葉で検索して来ているかを調べると、「混浴」という言葉がかなり上位に来る…。私が温泉サイトを運営していることは、わずかながら気持ち悪い人を温泉に呼び寄せる効果があるのかもしれないと考えると、さらに暗くなってきた。
   
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2010年08月29日

ここまできた温泉旅館再生

 まったくといっていいほど話題になっていないのが不思議だ。国の有形登録文化財に指定されていた静岡県・伊東温泉の老舗旅館「いな葉」が8月1日に甦った。伊東園や湯快リゾート、大江戸温泉物語による旅館再生なら珍しくもなんともないが、バックパッカー向けホステルチェーンの一角として生まれ変わったのだから驚きだ。名称は「ケイズハウス伊東温泉」。宿泊料金は7人部屋のドミトリーの場合1人2950円。老舗旅館がドミになる日が来るとは思わなかった(ドミだけじゃなく和室もある)。もちろん無人のまま廃虚になっていくよりもずっと喜ばしい。

 閉館が決まった2007年の初夏、いな葉の女将さんと電話で話したことを思い出す。「鈴を転がすような」という表現がぴったりくる女将さんらしい女将さんの話し方だった。主に外国人旅行者を対象としたホステルに変身したと知った時、あの女将さんはあの声でなんて言ったのだろうか。

 700円で日帰り入浴もできるそうなので、そのうち寄ってみようと思う。あるいは一度泊まりに行ってみようか。由緒ある旅館(正確には“元旅館”だけど)に3900円か4900円で1人泊(素泊まり)できるって結構魅力的に思えてきた。上記リンク先の部屋の写真をみても、和室はごく普通の旅館風だ。

 それにしても、ケイズハウスが土地・建物を取得した時点ではニュースになったのに、開業のニュースは商用サイト個人サイトを問わず、どの温泉情報サイトにも出ていないのはちょっと寂しい(下の写真はリニューアル工事中だった昨年3月撮影)。
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2010年08月19日

ひっそりとつぶれた会社

 暑さでぼ〜っとしているため、滋賀県大津市の大栄開発(株)が7月末に自己破産していたことに今になって気付いた。負債額は約9億円だそうだ。

 大企業じゃないから知っている人はそれほど多くないかも。私にはちょっと感慨深い。というのも、関心を持って長期間ウォッチしていた大阪・りんくうシークルの温泉を経営していたのがこの大栄開発だったからだ。

 ワンデイスパが経営難に陥って工事半ばで撤退(その後経営破たん)したあとを受け継ぎ、「寿楽の湯」としてオープンにこぎつけたのがこの大栄開発だった。それまで経営していた兵庫県明石市の「龍の湯」を別の企業に譲渡、経営資源を寿楽の湯に傾ける体制で臨んだにもかかわらずに失敗。2009年2月のオープンからわずか半年余りの2009年9月末で閉館したという経緯がある。

 JC−NETの情報は、自己破産の理由を「多角化の失敗」と一言で片付けている。要するに食品スーパーに専念していればよかったのに…ということ。ダメになる温浴施設って似た話が多い。

 再び経営が替わって今は「りんくうの湯」となっているこの温泉施設、一度行ってみようと思っているのだが、この夏もチャンスを逃してしまった。昨年12月のオープンで半年以上たったから、今回は大丈夫だろうか…。
    
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2010年07月16日

イギリスのお風呂事情

 12日付の英テレグラフ紙に、お風呂に関してイギリスで実施されたアンケート調査のことが載っていて興味深い。

 調査対象は3000世帯。成人がお風呂に入る(浴槽につかる)頻度は1カ月当たり平均5回で、10年前の9回から大きく減った。しかも回答者の11%は過去数年の間に自宅の浴槽を撤去したそうだ。代わりに増えているのがシャワー。1970年にはシャワーの世帯普及率はわずか5%だったのに現在は約80%まで達している。要するに浴槽を取り外してシャワーだけにする家庭が増えているのだ。

 記事によると、その理由は現代人が忙しくなっていて、浴槽に浸かる時間をひねり出せるのは週末だけだから。水資源とか環境問題には触れていない。

 そういえば何年か前、ヨーロッパでホームステイ留学をした日本人学生が「風呂に入りすぎる」との理由で追い出されたなんていう話を聞いたことがある。イギリスにはもちろんスーパー銭湯も共同浴場もない。自宅の浴槽を取り外してしまったら、浴槽につかる機会なんて旅先のホテル程度だろうか。一般的な日本人は限りなく贅沢な風呂ライフを送っているといえそうだ。
    
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2010年04月11日

ユニマットの復帰

 渋谷で爆発死傷事故を起こしたシエスパを経営するユニマットグループが温泉経営に復帰した。4月1日に沖縄県の宮古島に経営するシギラリゾート内に「シギラ天然温泉奇跡の泉」をオープンしたからだ。

 シギラ天然温泉がユニマットグループ傘下だということに気付いている人はそんなに多くないかもしれない。直接の経営母体は南西楽園リゾートって会社なので、ユニマットのユの字も表に出てこない。同社はユニマットリバティーとユニマット不動産の子会社だ。

 シエスパは結果としては爆発と同時に閉館(2007年6月)、六本木のザブーも2008年1月に閉館しており、温泉経営への復帰は2年3カ月ぶり。リゾート内の温泉施設なので普通の温浴施設とはちょっと異なるかもしれないが、温泉施設の運営に復帰することは間違いない。

 このシギラ天然温泉の利用料金は2800円と高い。これを6月30日まで1800円に割り引くそうだが、それでも高く感じる。私が訪問することは多分ないだろう。

 4月11日現在、ユニマットグループの公式サイトには「シエスパ事故に関するグループ関係者の処分について」というPDFファイルへのリンクがあり、役員が在宅起訴されたことについてプレスリリースを出しているが、もう片方の大成建設は、社員の起訴に関するリリースはない。2008年12月の書類送検に関しては「大変重く受け止めています」とリリースを出しているのに、実際に起訴された時はだんまりを決め込むってのが理解できない姿勢だ。こうしてシエスパの事故は風化していく。
   
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2010年03月29日

昨日の穴場温泉

 昨日はオフ会で雪のちらつく群馬を仲間と徘徊。伊香保温泉の石段街にある「処々や」にようやく行くことができた。何年か前にテレビ東京のアド街で見てず〜っと気になっていた。
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 写真の通り、外から見ると蕎麦屋併設のタコ焼き屋にしか見えない。しかし、ここはかつて旅館だったそうで、黄金の湯源泉(本線)を使った男女別浴場がある。ちょど昼時だったのでここでお蕎麦を食べて入浴をお願いした。食事をしたので入浴はタダだった。

 お風呂も脱衣所も一応男女別になっているのだが、奥にある女湯には男性用の脱衣所を通らなくては行けない。お風呂も奥の部分でつながっている! といっても貸切利用だけなので、問題はないはず。女湯は男湯の2分の1程度の大きさ。2人だと窮屈感があるかも。大人数では利用できないので要注意。源泉が40度強なので、当然ながら浴槽内は30度台。ぬるめの湯でまったりと至福の時をすごした。
   
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2010年03月26日

関係者起訴当日のシエスパの様子

 仕事で渋谷を通りかかったので、久しぶりにシエスパまで行ってきた。2、3日前に関係者2人が在宅起訴される見通しになったと報道されていたからだ。

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 2007年6月の爆発死傷事故からもうすぐ3年になる。シエスパ本館は何も変わらないままだった。バリケードは真っ白だったので交換したばかりかも。

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 裏手に回る。爆発した別棟も事故直後とそれほど変わっていない様子。献花台にはキレイなアレンジメントとミネラルウォーターが置いてあった。ちょっと肌寒くなってきた時間帯、私は温かい缶入り紅茶を供えて犠牲者の冥福をお祈りしてきた。

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 変化もある。確か住宅だったはずの左隣はコインパーキングになっていた。

 帰宅してから大成建設のシニアエンジニア(51)と開業時の運営会社ユニマット不動産の取締役(47)が業務上過失致死傷の罪できょう在宅起訴されたことを知った。

 人を癒すはずの温泉が管理者次第で人の命を奪うこともあると知らしめたこの事件をきっかけに、温泉に対する私の思いはずいぶん変わったと思う。最近では新規開業のスーパー銭湯や都市部のスパ施設などにはほとんど行かなくなった。興味もない。私にとって温泉は「遠くにありて思うもの」であり「母なる大地の恵み」である(「母なる大地の恵み」というのは文字通り大自然の贈り物であり、母なる大地を千何百メートルも掘削してポンプアップしている地下水のことではない)。

 3人のご冥福をあらためてお祈りするとともに、ご遺族の方にお見舞い申し上げます。
      
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