2005年07月13日

「通貨燃ゆ」

通貨燃ゆ―円・元・ドル・ユーロの同時代史

 遅ればせながら「通貨燃ゆ 円・元・ドル・ユーロの同時代史」(谷口智彦・日本経済新聞社)を読んだ。本文は日経BPのサイトで全部読めるのだが、やはり紙上で読んだほうがよく頭に入る。知的好奇心を刺激する力作。久しぶりにスーザン・ストレンジを読みたくなった。

 私が常日ごろ不満に思っているのは、例えばアジア通貨・金融危機などの際の報道の浅さ。要するに普段アジアにいる記者さんたちは金融のことなどほとんど知らず、長期債相場が上がれば金利が下がるなんてことには全く興味がない人が多い。どうもカネのことを考えるなんて政治や外交よりも一段劣るというように認識しているんじゃないかと思ってしまう。逆にマーケットの動きに通じたような記者は政治・外交の大局には関心がなさそうにみえる。複合的な考察というのがほとんどないのだ。

 そういう意味ではこの本にはすごく満足できた。太平洋戦争前に通貨の信用をめぐる日本と中国(+米英)の争いがあったとか、戦争直後の日英の立場は「マネー敗戦」という点で似通っていていたとか、とても興味深く読み進んだ。

 戦中からニクソンショックあたりは丁寧に書かれていて読み応えたっぷり。贅沢をいえば、最近のことというか、ユーロと元についてもうちょっと書き込んで欲しかった。次の作品に期待したいところ。
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2005年06月05日

Star Wars人気キャラ調査

 友だちがメールで教えてくれた話。米世論調査会社ギャラップが5月に実施した調査(原文はこのページの下の方)によると、映画「スター・ウォーズ」の登場人物の中で一番人気があったのはハン・ソロだった。順位は以下の通り。
1位 ハン・ソロ(10%)
2位 チューバッカ(9%)
3位 ヨーダ(7%)
4位 ダース・ベイダー(7%)
5位 ルーク・スカイウォーカー(6%)
 そのほかに名前が挙がったのはR2−D2、オビワン・ケノービ、レイア姫、アナキン・スカイウォーカー。

 数字からいってどれか1人を選ぶ調査で複数回答じゃなかったと思う。全体としては納得できるんだが、なぜチューイが2位なんだろ? そんなに儲け役だったかな。ウォーってほえてるところと、図体の割に可愛らしい走り方をしていたことぐらいしか覚えていない。C−3POよりもR2−D2のほうが人気だっていうのはなんとなく分かるな。

 朝日が伝えたゾグビー社の調査だと、ハン・ソロが26%、ヨーダが20%、ルークが7%。こっちの結果のほうが納得できるな。シリーズの中で一番高く評価されているのが「帝国の逆襲」っていうのも分かる。あのハン・ソロは格好よかった。でも、私は一作目が一番好きだ。

 これまでの5作品は全部ロードショーで見ているので、6作目も見に行くつもりだ。最初の3作品はストーリーをかなり鮮明に覚えているのに、最近作になるにつれて印象がぼやけ気味。ちょっと予習が必要かもしれない。秋になって映画館がすいてから行こうかな。
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2005年06月02日

「哀愁でいと」が止まらない

 ここ数日、トシちゃんこと田原俊彦の「哀愁でいと」がエンドレスで頭の中を駆け巡っている。覚えている歌詞は「バイバイ哀愁でいと赤い稲妻」の部分だけなので、そこだけ繰り返し流れているような気分だ。

 なんで急にこんなことになったのか分からず、自分でも気味悪いと感じていたのだが、二子山親方の告別式のニュースを見て謎が解けた。貴乃花親方の髪型のせいだ! あのこんもりした違和感のある髪型は、まさしく昭和末期のアイドル路線。無意識のうちにトシちゃんを思い出していたらしい。ひょっとして奥さんの景子さんは聖子ちゃんヘアだったりして、と観察したら普通の結い髪だった。ホッとしたものの、正直いうとちょっと残念でもある。

 もともと大相撲にはそれほど関心がない私、何年も前に話題になった洗脳とか兄弟の確執とか、二子山親方がどんなに素晴らしい力士だったかなど、そんなことはどうでもいい。なぜかあの髪型だけが気になってしょうがない。

 どうもあの髪型をみていると、「相撲人気を復活させるぜ!」という意欲に燃える相撲部屋の親方というよりも、「アナタ昭和はホントいい時代だったのよぉ」という昭和ノスタルジーを感じてしまう。角界の先行きは大丈夫なのかと余計な心配をしてしまった。 
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2004年11月27日

「テレビの嘘を見破る」

テレビの嘘を見破る 久しぶりに最近読んだ本を紹介する。「テレビの嘘を見破る」今野勉・新潮新書(本体700円)。著者はテレビマンユニオンの役員で、 テレビ業界の視点からドキュメンタリーの「やらせ」「再現」「演出」を考察している。  最初はふむふむと読み始めたのだが、読み終わってあまりスッキリしなかった。というのも、 作り手と視聴者の間にある意識の大きな格差を感じてしまったから。単純な私なんて、 テレビで見ている順番で真実の物語が展開していると信じてテレビを見ているクチだから、 これからテレビでドキュメンタリーをみるたびにいちいち見方が懐疑的になりそうだ。   著者のいうことにも一理ある。厳密な意味でのドキュメンタリーというのはそれこそ「行き当たりばったり」的な撮影になるはず。 それじゃ企画も何もあったものじゃない。つまり、事実を後になってから再現してそれを撮ることも必要だろう。

 それじゃ、どこまでが許容範囲なのか。著者はそういう議論は不毛とみなして「伝えたいことがあれば、 そのために考えられるありとあらゆる最善の方法を考える、というのが作り手の原点」だと言い切る。う〜ん、そうだとしたら、 ドキュメンタリーはジャーナリズムではなくて芸術なのかもしれない。「感動を与えたり受けたりするためには、お互い少々の悪事、 不正に目をつぶるという作り手と見る側の共犯関係が存在するのも厳然たる事実」と言われてもねぇ。 勝手に共犯者にしないでくれと言いたくもなる。

 また、著者は「やらせ」はバレナイと断言する。NHKのムスタンでやらせが発覚したのは、 不満を抱いた現地スタッフが朝日新聞の記者にちくったからだ。

 全体的なテーマを一言でまとめると、「事実の意味が正しく伝われば、それがどのように記録されたかは問題ではない」ということ。書名の 「テレビの嘘を見破る」と内容がチグハグに感じた。このようなタイトルをつければ書店で目を引いて売れるだとうという安易な (編集者や営業サイトの)発想だとしたら、ちょっと酷すぎる。

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2004年08月28日

科学者が選ぶベストSF映画

 英ガーディアン紙が科学者60人を対象に調査・集計した「科学者に聞いたSF映画ベスト10」で、1位になったのは「ブレード・ランナー」だった(元記事のBBC)。この映画、池袋の文芸座で見たのに、正直いってよく覚えていない。もともとSF映画ってあまり好きじゃない。BBCでは、複数の学者のコメントとして「時代を大幅に先取り」していると伝えている。こんなことを聞くと、もう一度見てみようかなという気になってくる。

 私としては今回の調査で2位に入った「2001年宇宙の旅」の方がずっと印象に残っている。5位の惑星ソラリスも良かった。ベスト10のリストは以下のとおり(シリーズ物は複数で1本扱いのようだ)
 1.ブレードランナー(1982)
 2.2001年宇宙の旅(1968)
 3.スター・ウォーズ(1977)/帝国の逆襲(1980)
 4.エイリアン(1979)
 5.惑星ソラリス(1972)
 6.ターミネーター(1984)/ターミネーター2(1991)
 7.地球の静止する日(1951)
 8.宇宙戦争(1953)
 9.マトリックス(1999)
10.未知との遭遇(1977)
 50年代の2本とマトリックス以外は全部みたっていったら年がバレそうだな。個人的には「カプリコン1」に入って欲しかった。あれって玄人受けしそうなのに残念。古いほうの「猿の惑星」も好きな私だけど、あれがランクインしないのは納得できる。
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2004年06月20日

クリントン自伝に辛辣な批評

 クリントン前米大統領の自伝「My Life」が6月22日に米国で刊行される。初版150万部は予約で完売状態で、すでに重版が決まっているみたいだ。ヒラリー婦人の自伝「Living History」の180万部を抜いてアメリカの政治関連の書籍としては販売記録を塗り替えるのは必至なんだって(一週間前のスコットランド・オンサンデー紙)。

 でも、この評価ってどうなのかな。政治関連書に入るとはいえ、みんなが読みたいのはクリントンの政治手腕についてじゃなくて、モニカとの不倫話だよねぇ。在任期間中に財政収支が黒字に転換したり、未曾有のハイテク景気もあったけど、クリントンの名前とセットで後々まで記憶する人っていないだろう。などと思っていたら、すごく厳しい書評がニューヨーク・タイムズに出ているのを見つけた。

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2004年05月25日

歓迎!スパマー御一行様

(注意)このエントリーについているコメントはすべてスパムです。試しに訪問してみた方によると、中には架空請求サイトもあるそうなので、訪問は自己責任にてお願いいたします。

 なんだか分からんランキングとか、「始めたばかりで何を書けばいいか分からん」とか、そんなスパマーな人たちはこちらでお待ちしてま〜す。
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2004年05月23日

次は「肥満問題」映画を!

 カンヌ映画祭でマイケル・ムーアの新作「華氏911」がパルムドールを受賞した。

 「ブッシュ大統領とチェイニー副大統領に感謝する」と皮肉たっぷりに挨拶しているところを昼ごろのテレビでちらっとみたけど、数年前に比べてさらに肥えたな。次回作はぜひアメリカの肥満問題を扱ってもらいたいものだ。彼ならブラックジョークの効いたいい作品を作れそう。

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2004年05月19日

「東方見便録」

東方見便録―「もの出す人々」から見たアジア考現学 ダンディーさんのブログ「アジア駐在員便利張」の13日のエントリーで表題の本の存在を知り、早速買いに行った(斉藤政喜著、内澤旬子イラスト、文春文庫、630円)。

 「もの出す人々」からみたアジア考現学というサブタイトルがまたいい。「もの食う人々」がいれば、当然「もの出す人々」になるわけだ。カバーしているのは中国、サハリン、インドネシア、ネパール、インド、イラン、タイ、韓国。このうち私はサハリンとイラン以外の国には行っているし、タイ北部でトレッキングをしているとき豚の鼻でお尻をつっつかれた経験もあるので、「そうそう」と思いながら一気に読んでしまった。

 私のようなトイレ好きにはもちろん、アジア好きにもお勧め。旅心をくすぐられる一冊。

 ウルムチの移動トイレ私が海外旅行先で好んで写真を撮るのは(1)市場(2)トイレ(3)中央銀行。何の脈絡もないけど、単に興味がある。写真は中国・ウルムチの移動トイレ。車体に流動公厠と書いてある(クリックすると少し大きな画像を見られます)。町中にはたくさん公衆トイレがあるのに、なんでこんなものが必要なのかまったく理解できない。子供のころ利用した移動図書館を思い出して写真をバシャバシャ撮っていたら、入口のおじさんに怒られた。

 インド留学中はちゃんと洋式トイレのある家でホームステイしていたし、外出にはトイレットペーパーを持ち歩いていた。それでも不測の事態は起きるもの。イザとなれば左手と水で洗い流す事もできる私だ。駅のトイレに入ったら4畳半ぐらいのスペースにただ石の床があるだけで、その床のあちこちにブツが落ちて?いたこともある。

 南米ボリビアでは長距離バスに乗ったら途中の休憩所にトイレがなく、「外でやって」と言われた。地元民のインディヘナ(インディオ)のおばちゃんたちは何重にもなったスカートをはいているので、平気であちこちにしゃがんでいる。足元に水溜りが広がって行く以外には違和感ない眺めだ。結局、困り果てた私を見かねたおばちゃん数人が私の回りに壁を作ってくれたので助かった。

 先進的なところでは、オーストリアのウィーンで行ったトイレが面白くて何枚も写真を撮った。水を流すと便座がクルクルと回るの。付け根のところに洗剤を含ませた布みたいなのがついていて、便座が回ってそこを通ると拭く仕組みになっている。何回も水を流して観察していたので、個室を出たら行列ができていた。ひょっとして、並んでいたみなさん、『この人ったら何回も流さないと去って行かないようなモノを出したのかしら?』と思ったかもしれない。 

【訂正】表題を「東方検便録」から「東方見便録」に訂正します。どうもすみません。(6月19日)
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2004年03月28日

「金で買えるアメリカ民主主義」

金で買えるアメリカ民主主義
 アメリカでは活動の場をほとんど与えられていないジャーナリスト、グレッグ・パラストの「金で買えるアメリカ民主主義」の改訂版が文庫本で出た(角川書店、税別705円)から買って読んだ。う〜ん、アマゾンの書評では4人全員が最高点をつけているし、そのほかでも好評を聞いていたのですごく期待していたんだけど、それほどでもなかったというのが正直な印象かな。

 2000年の大統領選挙の際、フロリダ州で不当に投票権を失った有権者が多かったからゴアが負けたっていう話は非常に興味深く読んだ。ニューヨーク・タイムズのコラムニスト、フリードマンに批判的なのは私だって同じだ。

 そのほかにもエンロンとかカリフォルニア州の電力危機、9・11テロ、チリのアジェンデとピノチェト、ボリビアのチャべスなど、私好みの話題がテンコ盛り。でも、ちょっといっぱい盛り込みすぎという感じだ。読んでいるうちに段々だれてきた。もう少しトピックを減らして書き込んで欲しかった。証拠書類のコピーも掲載されているんだけど、それでも私はついて行けない。1人よがりで説得力に欠けるような感じがした。広瀬隆を思い出した。

 私はこのところあまり固い本を読んでいないから、読解力が落ちているのかなぁ。
posted by らくだ at 23:58 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 書評・芸能など | 更新情報をチェックする

2004年03月10日

さよなら噂の真相

 雑誌「噂の真相」がきょう発売の4月号で廃刊になった。眉につばつけて読む分には楽しい雑誌だったのにね。ちょっと残念だ。

 ページの脇に大きめの字で載っていた1行情報がけっこう好きだったな。笑っちゃうのも多かったけど、あれで悪事をあばかれて左遷された人を知っているから、恐さも承知しているつもりだ。

 眉唾雑誌だと確信したのは、夫の話を聞いたとき。神戸でユニバーシアード大会が開かれた際、北朝鮮の選手団が飛行機で成田に到着した。夫は成田でその飛行機を撮影したのだが、当時の編集長がどこからかその話を聞きつけ、写真を貸してくれと頼まれたんだとか。そして貸した写真は「北朝鮮機、強行着陸!」という見出しでいかにも無理やり着陸したかのように掲載されたという。予定されていたフライトだったにもかかわらずだ。事情を知っている人が見たら、のけぞったに違いない。

 いまは無料で読めるいろんな情報がウェブ上にあるから、あの手のスキャンダル雑誌は、やっていけないだろうな。ウェブ上で広告収入に頼ってやっていくことはできないのかな。

 ウワシンのホームページには、
そして3月25日に『サヨナラ噂真』(仮題)の別冊を発売して、すべての刊行は終了する。
とある。雑誌の発行をやめるときは正々堂々「廃刊」ということばをつかうべきで、「休刊」というのはおかしい。

 旅行のためしばらく休載します。18日夜に再開予定。
posted by らくだ at 22:46 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 書評・芸能など | 更新情報をチェックする
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