2006年07月08日

「マオ 誰も知らなかった毛沢東」

マオ―誰も知らなかった毛沢東 上 マオ―誰も知らなかった毛沢東 下

 ここ数日、ブログを更新する暇を惜しんでユン・チアン&ジョン・ハリデイ夫妻共作の「マオ 誰も知らなかった毛沢東」を読んでいた(もう1つのブログは更新してただろ!と言われたら、ハイその通り。どうもすみません)。膨大な資料と多数の関係者へのインタビューに裏打ちされた力作だ。

 毛沢東をはじめとする登場人物のキャラクターが鮮やかでいきいきと表現されていて、飽きずに上下巻を読んでしまった。

 毛沢東といえば人民による人民のための革命を指揮した人ってよりも、冷酷非情な専制君主だったということは、今では定説になっている。この本はそうした見方にさらに磨きをかけ(?)、変質的なまでに自己愛が強く他人を全く信じない人間、他人を追い落とすことでトップの座に上り詰め、それを維持した孤独な独裁者として毛沢東を描いている。

 毛沢東関連本をたくさん読んでいるわけじゃないけど、ここまで辛辣なのは初めて読んだかもしれない。文革で辛酸を舐めた著者が書いていることを思えば納得もいく。

 個人的に意外だったのは周恩来の扱い。米中国交回復などで活躍したせいか、私としては悪役というイメージはそんなになかった。それがこの本では自己保身のために毛沢東の腰巾着に成り下がる日和見迎合主義者のイヤらしい奴として描かれている。毛沢東にいくら尽くしても、ガンの治療を許可してもらえなかったというのが哀れだ。ま、でも私の中では周恩来はかなりイメージダウンした。

 人民の味方をした真のヒーローとされているのは劉少奇と彭徳懐。劉少奇は夫人の王光美とともに気骨のある人物として描かれ、毛沢東の謀で失脚する場面は読むのがつらかった。

 名著「ワイルド・スワン」の著者が書いているだけに文革についての記述が多いのかと思っていたら、予想以上にあっさり。江青&四人組についてもそれほど書き込まれていなかったのが意外だった。要するに各時代がバランスよく書かれていた。

 私のような門外漢にはとても面白い本だった。果たして中国専門家はこの本にどんな評価を下しているのだろう。キワ物扱いの人もいるかもしれない。 

 この本の登場人物に1人だけ会ったことがある。毛沢東シンパとして名前が出てくるハン・スーイン女史(映画「慕情」の原作者)だ。彼女の名誉のために書いておくと、少なくとも80年代末の段階では彼女は毛沢東についての本を書いたことを恥じていて、サインをお願いしたら「私が書いた一番つまらない本にサインしろなんて物好きね」と苦笑された。
posted by らくだ at 18:52 | Comment(3) | TrackBack(0) | 書評・芸能など | 更新情報をチェックする

2006年03月15日

「他人を見下す若者たち」

他人を見下す若者たち 日曜日に新聞でこの他人を見下す若者たち(速水敏彦著)の広告を見て、「自分以外はバカの時代!」というコピーがなぜか頭に残り、きのう書店で見かけて買ってしまった。

 読んで初めて分かった。この「自分以外はバカの時代!」という言葉は吉岡忍が2003年7月9日の夕刊に寄稿した小論のタイトルだった。要するに借り物。コピーの使い方がうまいな〜。つい引っかかって?しまった。

 なんでこの本に関心を持ったかというと、若者かどうかは別として、他人を見下す人が増えているように漠然と感じていたからだ。ネット上でも「自分だけは絶対に正しくて、周りが全員間違っている」みたいに熱くなっている人に出くわすことがある。

 で、そういう人への対処法が分かるかなと思って読んでみた。結果としては対処法は分からなかったものの、フムフムなるほどと思いながら一通り読んだ。それなりにおもしろかった。

 筆者がいうには、怒りを頻繁に感じる子供が増えている。物質的に恵まれて、我慢を知らない子、思い通りになる子が増えてきたのが背景だという。そして「やる気」というか上昇志向がなくなり、他人を軽視することで自分が優位にあるように思い込む(筆者はこれを「仮想的有能感」と表現)人たちが増えているというのだ。

 その解決方法とは(1)しつけの回復(2)自尊感情の強化(3)他人と直接交流する場を増やす−だそうだ。仮想的有能感の解説は詳しくて読み出があるのだが、解決方法はさらりとしている。結局のところ、人と人との関係が希薄になっているのがすべてのような気がした。
posted by らくだ at 23:31 | Comment(6) | TrackBack(0) | 書評・芸能など | 更新情報をチェックする

2006年02月06日

ストーンズの歌詞に検閲

 ことしのスーパーボウルは40年目の記念大会。ダン・マリーノやジョー・モンタナが活躍していた時代はアメリカン・フットボール狂とさえ言われた私なのに、最近はどこのチームが強いのか全く知らない。スティーラーズが勝ったと聞いても、プレーヤーの名前を1人も言えないぐらいだ。

 きょうの関心はゲームよりもハーフタイムショーだ。ローリングストーンズの歌詞が検閲された。「スタート・ミー・アップ」と「ラフ・ジャスティス」の2曲で「セクシーすぎる」単語が削除されたというのだ。「サティスファクション」だけは検閲を免れたという。

 放送した米ABCによると、NFLとプロデューサーの判断だという。ストーンズの連中も年をとってしまったんだなぁ。本番ではしらっとそのまま歌って彼ららしさを見せて欲しかった(この部分は間違いなので打ち消し線にて削除。ミックは全部歌っていたのに、NFLが問題とみなした単語の部分で音声が絞られていたそうだ)。

 きっと2年前のジャネット・ジャクソンによるポロリ事件の「後遺症」だと思うんだけど、歌詞が問題ならそもそもストーンズを呼ぶのが間違いだ。なんだかヘンな方向に行っているなぁ。

【追記】ローリング・ストーンズは7日、広報担当者を通じ検閲について「本当にバカバカしくて全く必要のないものだった」とコメントした。これに対しNFLの広報担当者は「適切な時期にミックのマイク(の音声)を絞ることを彼らは知っていた。彼らとはスーパーボウル間の先週に話し合ったことだ」と説明している。

【参考】
Stones' Super Bowl songs censored (BBC)
NFL Edits Out Explicit Stones Lyrics (AP)
Rolling Stones Decry Super Bowl Censorship(AP)
posted by らくだ at 23:16 | Comment(2) | TrackBack(0) | 書評・芸能など | 更新情報をチェックする

2006年01月01日

紅白歌合戦は苦手だ

 昨晩の紅白歌合戦は全部で10分も見なかったと思う。これまでの最短記録を更新した。いまだにどっちが勝ったのかも知らないし興味もない。視聴率はすこしは上がったのだろうか?

 ちらっと見たときは、まったく知らない歌手がが知らない歌を歌っていた。若者に人気の歌手なんだろう。そうかといってNHKが全面的に若者を意識しているかっていうと、断じてそんなことはない。私が子どものときと同じような応援風景があったりするし、紅白歌合戦しか出番のないような「大物歌手」が出場していたりする。

 要するにNHKとしては、子どもからおじいちゃんおばあちゃんまで一緒に楽しめる番組を目指しているのだろうけれど、八方美人的な番組作りもここまでいくとついていけない。みのもんたと仲間由紀江の共存に象徴されるチグハグ感が全体的に漂っていて、『うわっ、なんかいけないものを見てしまった』という気持ちになり、じっくり見る気になれなかった。

 NHKが自らを変えるつもりがあるのだったら、制作費不正流用の舞台ともなった紅白歌合戦をいっそやめることも検討してみたらいいのに。「昔のやり方では数字が取れないから、少し民放テイストを取り込んでみました」みたいな中途半端な番組作りはどうも苦手だ。
posted by らくだ at 23:32 | Comment(5) | TrackBack(1) | 書評・芸能など | 更新情報をチェックする

2005年12月19日

「ディープ・スロート 大統領を葬った男」

ディープ・スロート 大統領を葬った男 私は大学時代のゼミで「大統領の陰謀」を読んでレポートを書いたこともあり、70年代のアメリカの調査報道っていうやつにはいまだに憧れがある。そういう意味では「ディープ・スロート 大統領を葬った男」を読んで後悔した。学生時代に感じたワクワクするような興奮が皆無だった上に調査報道ってやつに幻滅を覚えたからだ。

 私にとって「大統領の陰謀」は2人の若きジャーナリストが些細な事件をきっかけに手がかりを広げ、ニクソン政権の不正を次々に暴いていって最後には大統領を辞任に追い込むといった、手に汗握るノンフィクションだった。この新作を読むと、視点を180度変えて改めてウォーターゲート事件を考えたい気分になった。

 つまり「FBIの生え抜きながらトップに上り詰められなかったナンバー2(マーク・フェルト)が、政権への復讐のために若い記者を利用、スクープを書きたかった記者との利害が一致した」ってこと。あたしも年をとって素直に物事をみられなくなっているのかなぁ。

 優秀な記者は賢くウソをつく嫌なヤツなんだろうか。少なくともウッドワードはそうみたいだ。ワシントン・ポストのコラムニストだったリチャード・コーエンがディープ・スロートはフェルトだってことに感づいて記事を書こうとしたとき、ウッドワードはコーエンに対し、フェルトはディープ・スロートではない、君は間違っていると、平気でウソをついた。

 自分は次々にスクープ記事を書いているのに、他人のスクープはウソをついてボツに追い込む。ウッドワードの正義感なんて大したことなさそうだ。「何も言えない」とか「否定も肯定もできない」で押し通せなかったんだろうか。おまけに、もしコーエンが記事を書いたら自分も大陪審に召喚される可能性があり、証言を拒否したら拘留されるかもしれない、と心配している。

 ディープ・スロートのフェルト自身はかなり認知症が進んでいるってことも、読後感の悪さにつながった。この夏にディープ・スロートの正体が明らかにされたときは、フェルト本人が暴露に同意したような話になっていたけど、本を読む限りではフェルトはすべてを理解しているとはとてても思えない。本人がボケちゃった段階で周りがお膳立てしたってわけ。本人が自覚した上で名乗り出るのでなかったら、墓場まで秘密を持って行ってもらいたかった。 
posted by らくだ at 23:44 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書評・芸能など | 更新情報をチェックする

2005年12月01日

NYTの今年の本ベスト10に「海辺のカフカ」

 12月に入ったので、タイトルバナーの写真を紅葉から枯葉に代えた。季節の移り変わりに合わせるのも大変だから、来年になるまでに季節感を無視した写真を探そうと思う。

Kafka on the Shore 流行語大賞や紅白の出場歌手が発表され、1日から一気に年の瀬感が盛り上がった。米ニューヨーク・タイムズは「今年の本ベスト10」を発表。なんと一番最初に村上春樹の「海辺のカフカ」が掲載されている。

 たぶん順不同で、一番上に載っているから1位というわけじゃないと思う。フィクションとノンフィクションで5冊ずつ選ばれていて、それぞれタイトルのアルファベット順に並んでいるとみた。11日付のニューヨークタイムズ紙に載るというので、10日に配達される新聞のアドバンスコピーが早くもネットで公開されているってわけだ。

 村上春樹はかなり好きな作家だけど、この「海辺のカフカ」は読んでいない。中国をはじめアジアでも人気だと聞いてはいたが、世界的に評価されているんだな。「海辺のカフカ」よりも読みたいのは、「ワイルドスワン」を書いたユン・チアンが書いた毛沢東の伝記「マオ−誰も知らなかった毛沢東」(上下)だ。
posted by らくだ at 20:51 | Comment(2) | TrackBack(0) | 書評・芸能など | 更新情報をチェックする

2005年11月25日

「デフォルト」

デフォルト[債務不履行] デフォルト[債務不履行](相場英雄著、ダイヤモンド社)を借りて読んだ。

 著者の相場英雄氏はこの作品で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞したそうだ。つまりこれが小説としてのデビュー作ということになる。シンプルなプロフィールしか載っていないが、作品を読む限り日銀の記者クラブに在籍したことがあるか、少なくとも金融担当記者だった経験がある方だと想像する。

 というのも、背景とか小道具の描写には現場の雰囲気が伝わってきて納得できる部分もあるからだ。筋も練られているとは思うのだが、随所で描写が粗いというか話の展開が雑というか、登場人物が描ききれていないような気がしたのが残念。登場人物の心理描写をもうちょっと丁寧にすれば、手に汗握って一気に読みたくなる本になったかもしれない。

 仲間との復讐劇としては、随分昔に読んだジェフリー・アーチャーの「百万ドルをとり返せ!」は文句なく面白かったな。
posted by らくだ at 22:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書評・芸能など | 更新情報をチェックする

2005年11月13日

「私の頭の中の消しゴム」

 韓国映画を見たのはすご〜く久しぶりだ。考えてみたら「シュリ」しか見たことない。で、この映画は要所要所で泣かされたとはいえ、全面的に感情移入することもできず、点をつけるとしたら60点といったところだ。

 結婚後に奥さんが若年性認知症にかかっていることが分かる。症状が進んでからふと自分を取り戻して夫に手紙を書くところは「君に読む物語」にも出てきた場面(といってもこっちは本を読んだだけで映画は見ていない)。『絶対インスパイヤだ〜』と思っいながら泣いた。

 あと、主演の2人が結婚しても夫婦らしくない。生活臭というものが匂ってこない。若い人だったら「超感動した!」という人が多いかもしれないが、オバさんに言わせるとちょっとキレイすぎなのよ。

 どちらかといえば「寄るカメラ」よりも「引くカメラ」の方が好きだなぁということを実感した映画でもあった。
posted by らくだ at 17:15 | Comment(2) | TrackBack(0) | 書評・芸能など | 更新情報をチェックする

2005年11月05日

意地悪のチラリズム

先達の御意見 図書館の新着図書の棚に酒井順子の「先達の御意見」があった。あの大ベストセラー「負け犬の遠吠え」の続編と聞いていたので、『今度も売れるのかな?』と野次馬根性で手に取った。中身は対談集のローコスト本だった。これを続編というのは無理があるなぁ。

 前の本も本屋での立ち読みで済ませたぐらいだから、これは読まなくてもいいかと思ったのだが、何気なく開いたページでふと気になる表現があった。林真理子との対談の項で、林真理子が酒井順子に向かって「(前略)…ものを書く人だから、当然意地悪な視点はお持ちなんだけど…(後略)」と言っていた。この一行が気になって本を借りてしまった。

 林真理子は「もの書きなら意地悪な見方をするのは当然」と思っているわけだ。そして「物書きのあたしは意地悪な物の見方をするけど、あんたも物書きだから同じよね」と言っている。確かにちょっと意地悪だなぁ。他の職業の人がそんなことを言ったらイヤミ以外の何物でもない。

 考えてみれば、酒井順子だって「あたしは負け犬だけど、世の中の多くの女性だって負け犬なのよ」と前の本を書いた。二人とも自虐的な意地悪さがあるかもしれない。

 そんな風に考えたことはこれまでなかった。でも、いわれてみると、その通りかもね。文は人なり。素直ないい人が書く文章って、全部読まなくても結末が分かるっていうか、捻りがないっていうか…。要するに毒にもクスリにもならないって感じなのだ。私がほとんど毎日のように訪問しているサイトも、林真理子のいう「意地悪な見方」がそこはかとなく感じられるところばかりだな。

 この意地悪さ加減がプロとアマの分かれ目なんじゃないだろうか。「いい人」を前面に出して無味乾燥なものを書いてもつまらない。かといって、毒を吐きすぎてトゲだらけのハリネズミになったら誰にも相手にされないか、逆に反撃されるかのどちらかだ(ブログの場合炎上しちゃう)。

 トゲで刺しているのか、鍼(はり)治療で癒されているのか分からないぐらいがちょうどいい。意地悪一辺倒にしないであくまでチラッと見せるのがプロ(あ、でも、プロの記者とか元雑誌編集長のブログが炎上したりしているか…)。

 林真理子って興味がなくて彼女の本は一冊も立ち読みすらしていないのだが、この一言はすごく印象に残った。 
posted by らくだ at 23:08 | Comment(2) | TrackBack(0) | 書評・芸能など | 更新情報をチェックする

2005年10月15日

「世紀の象徴」1位にビートルズ

 米ヴァラエティ誌が読者を対象に実施したアンケートで「世紀の象徴」にビートルズが選ばれた。これは同誌の創刊100周年を記念した調査で、過去100年間にエンターテイメント界で活躍した候補者の中から選ばれた。10位までの順位は以下の通り。
 1位 ビートルズ
 2位 ルイ・アームストロング
 3位 ルシル・ボール
 4位 ハンフリー・ボガード
 5位 マーロン・ブランド
 6位 チャーリー・チャップリン
 7位 ジェームズ・ディーン
 8位 マリリン・モンロー
 9位 ミッキー・マウス
10位 エルビスプレスリー
 アメリカの雑誌だから1位にイギリスのグループが入っただけでも驚くべきかな。それにしても古い。10位までの中ではビートルズが一番若い。50年代、60年代中心だ。これを見る限り、70年代以降は不毛の時代っていえそう。

 懐かしい名前があった。ルシル・ボール。大昔にテレビで見た「ルーシー・ショー」に出ていた人だ。話はたいして覚えていないのだが、このルシル・ボール扮するルーシーが毎回おバカなことをして笑わせてくれた。ヴィヴィアンという女の人とムーニーさんという上司のおじさんも楽しかった。こんなにおもしろいテレビはないと思っていた。幼稚園児だったころに見たテレビなのに、「めちゃくちゃ面白い」という印象は今でも鮮明に残っているのだから、やっぱり「世紀の象徴」にふさわしい人なんだと納得した。

【参考】Beatles named 'icons of century' (BBC)
posted by らくだ at 22:05 | Comment(0) | TrackBack(1) | 書評・芸能など | 更新情報をチェックする

2005年09月20日

「ブログ 世界を変える個人メディア」

ブログ 世界を変える個人メディア 「ブログ 世界を変える個人メディア」(ダン・ギルモア著、平和博訳、朝日新聞社)を読んだ。帯にホリエモンの写真が載っていて「ホリエモンもお勧め!」と書いてあったので3歩ぐらい後ずさりしたくなって買う気が失せたのだが、中をパラパラ見ると知らないことがたくさん出ていたので買ってしまった。

 正直言って全面的にお勧めする本じゃない。読み物としてはタルイし、情報は細切れだ。少なくとも私に限っては、ワクワクしながらついつい読みふけってしまうなんてことはなかった。それでも価値があると思うのは、アメリカでのブログ・ジャーナリズムの動きを丁寧に追っているのと、資料的価値がすごく大きいから。

 個々のトピックはとても興味深く読んだ。例えば97年にはディープリンクしただけで訴訟沙汰になったことや、ある本の著者がアマゾンで自著に好意的な書評を寄せていたことなど、私にとってすごく面白そうな話が数行で終わってしまうのはもったいない気がした。

 紹介されているニュース・ブログは一部しか知らなかった。お気に入りサイトがこの本のおかげで少し増えた。ニュース系ブログを運営している人やジャーナリズムに興味のある人は読んで損はないと思う。ブログでもっと何かできるのではないか、こんなダラダラしたブログを書いていていいのだろうか、という気にさせてくれた。

 本文よりも価値があるかもしれないと思えるのは、巻末のリンク集と脚注に記載されている資料のURLだ。これさえなかったら図書館で借りて済ませてもよかった。

 たまたま見つけた情報によると、著者のダン・ギルモア氏(本人のブログ)は9月26日夜に銀座のアップルストアで講演する予定とか。詳細と予約はこちらのサイトでどうぞ。
posted by らくだ at 23:11 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書評・芸能など | 更新情報をチェックする

2005年08月17日

「国家の罠」

国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて きのうの更新をサボってしまったのはこの「国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて」という本を読んでいたからだ。昨年マスコミをにぎわせた「ムネオの腰巾着」または「外務省のラスプーチン」の佐藤優氏が書いた内幕物。すんごく面白かった。冷静かつ客観的な観察と緊張感がある文章に好感を持った。ときたまユーモアのセンスも感じさせ、全く飽きさせなかった。傑作。

 一連の事件の当事者が書いているだけに、決して報道されることのない外務省内の権力争いやら外交の実際など、興味深いことが次から次に出てくる。いかに国益を最優先して動いていたかが繰り返し述べられるのは、やや「いい格好しい」という感じがしないでもない。取り調べのかけ引きを通じて担当検事と個人的な信頼関係を築いていく過程は、まるで映画かTVの人間ドラマのようでもあった。

 佐藤氏は、小泉政権の誕生前後で日本の根本的な方針が大きく変わったと指摘。その変化の1つとして次のように書いている。
 田中女史が国民の潜在意識に働きかけ、国民の大多数が「何かに対して怒っている状態」がつづくようになった。怒りの対象は100パーセント悪く、それを攻撃する世論は100%正しい二項図式が確立した。あるときは怒りの対象が鈴木宗男氏であり、あるときは「軟弱な」対露外交、対北朝鮮外交である。このような状況で、日本人の排外主義的ナショナリズムが急速に強まった。
 小泉政権の誕生やマキコせんせがキッカケになったかどうかはともかく、『多くの人が何かに怒っている状態』とか『自分と異なる意見はすべて間違いと見なし攻撃する』傾向というのは、漠然とながら私も感じていたので興味深い。佐藤氏の指摘する通り、日本は「危険なナショナリズム・スパイラル」に入りつつあるのだろうか?
posted by らくだ at 22:22 | Comment(7) | TrackBack(0) | 書評・芸能など | 更新情報をチェックする

2005年08月08日

イブライム・フェレール死去

 ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブのメンバー、イブライム・フェレールが死んだ。享年78歳(BBC)。彼の歌う「カンデラ」は大好きだった。東京フォーラムのコンサートにも行ったし、キューバに行ったときも「イブライムのCD見せてくれる?」ってあちこちの店をのぞいた。ほかのメンバーよりも若いからもっと活躍してくれると思ってたのに。ちきしょ〜。悲しすぎる。
posted by らくだ at 00:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書評・芸能など | 更新情報をチェックする

2005年08月06日

世界を変えた歌、人生を教えてくれたウサギ

 英Uncut誌(登録しないとコンテンツは見られない)が映画スターや大物歌手を対象に実施したアンケート調査で、「世界を変えた歌、映画、テレビ、本」の1位にボブ・ディランの「ライク・ア・ローリング・ストーン」てが選ばれた。トップ10は以下の通り(歌は歌手名、映画は監督名を表記)。
 1位 ボブ・ディラン「ライク・ア・ローリング・ストーン」
 2位 エルビス・プレスリー「ハートブレイク・ホテル」
 3位 ビートルズ「シーラブズ・ユー」
 4位 ローリング・ストーンズ「サティスファクション」
 5位 スタンリー・キューブリック「時計じかけのオレンジ」
 6位 フランシス・コッポラ「ゴッファーザー パートT パートU」
 7位 デビッド・ボウイ「ジギー・スターダスト」
 8位 マーティン・スコセッシ「タクシードライバー」
 9位 セックス・ピストルズ「勝手にしやがれ」
10位 英テレビシリーズ「The Prisoner」
 トップ10をみると、回答者の年齢層は全般に高そう。どれもリアルタイムでは知らない。ひょっとするとセックス・ピストルズぐらいはラジオで聞いていたかもしれないけど、パンクロックは好きじゃなかった。たとえ聞いていても無意識のうちだ。映画はどれも名画座で見た。この中で一番のお気に入りは9回見た「タクシードライバー」。人生を変えたってほどじゃないけどね。

 米ローリング・ストーン誌が先に実施した音楽関係者へのアンケート(結果はこちら)でも、「ライク・ア・ローリング・ストーン」が最も偉大な500曲の1位に選ばれている。こっちの調査だとビートルズ関連では「イマジン」(3位)、「ヘイ・ジュード」(8位)がトップ10入り。「シー・ラブズ・ユー」は、それほど偉大ではないけど世界を変えたって解釈でいいのかな。三人称の歌詞が当時は革命的だったと聞いたことがある。

 歌と映画のほか、テレビ番組も10位以内に入っているのに対し、本は19位に入ったビート詩人ジャック・ケルアックの「路上」が最高だっていうのは、かなり意外だった。

 翻って自分はどうだろう。影響を受けた映画や音楽はあるかもしれない。映画は学生時代には1年に200本ぐらい見ていた。子供のころから本が好きだったから、本の影響が大きいかな。それでも人生を変えるところまで行っているかどうか。あらためて考えてみると、何に影響を受けたかなんてハッキリと分からない。

 こういうときに哲学書の名前でも挙げれば格好いいのに、パッと思い浮かんだのはなぜか児童文学の「ウォーターシップダウンのうさぎたち」たちだ。古典的作品でもないし、そうかといってハリーポッターみたいに人気が有るわけでもない。それでもリンク先のアマゾンの書評をみれば分かる通り、一部に根強いファンがいる。

 この話、人間はあくまで添え物で最初から最後までウサギたちが主人公だ。それぞれが自分の長所を利用して仲間を助け冒険を繰り広げる、勇気と愛と冒険の1作。最初に読んだのは小学校高学年か中学に入ったころだ。それ以来何十回も読んでいるが、読むたびに必ず勇気をもらう。「人生に必要なことは全部ウサギが教えてくれた」っていったら大げさかな。でもそんな気分。
posted by らくだ at 21:28 | Comment(6) | TrackBack(1) | 書評・芸能など | 更新情報をチェックする

2005年08月01日

「きみに読む物語」

きみに読む物語
きみに読む物語
 久しぶりに小説を読んだ。変わった話というか風変わりな構成だった。大人の童話(韓流ドラマ?)みたいな過去と、あまりにも現実的かつ厳しい現在が対照的。数時間で一気に読んだ。ラスト近くの手紙の文章が切なくて泣ける。

 この本、心に残る部分が若者世代と熟年世代で違うと思う。どちらかといえば倦怠期の熟年世代にお勧めしたい。私にこの話を教えてくれたのも50代のオッサン(Kさん、ごめんなさい)だ。

 映画化作品を見逃してしまった。そんなに話題になっていなかったようだけど、興行的には成功したのかな。私の好きなジーナ・ローランズが出ているので、DVDが出たら見てみよう。
posted by らくだ at 23:13 | Comment(4) | TrackBack(0) | 書評・芸能など | 更新情報をチェックする
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。

×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。