2009年06月21日

Web2.0のなれの果て?

ちょっと前に話題になっていた梅田望夫さんのインタビューをようやく読んだ。それに前後して関連のある本も読んだ。読んだ順番は次の通り。

(1)ウェブはバカと暇人のもの
ウェブはバカと暇人のもの (光文社新書)

(2)ITメディアニュース「日本のWebは『残念』梅田望夫さんに聞く(前編)

(3)ルポ米国発ブログ革命
ルポ 米国発ブログ革命 (集英社新書)

 どれも興味深く読んだ。(1)はタイトルで関心をひくタイプの本といえそうだが、内容も「ネットの世界は気持ち悪すぎる」と言い切っているのは小気味よい。著者がニュースサイトを運営しているとのことなので自虐的な本ともいえそう。「無給で情報をアップする者と、彼らのアップした情報を無料で活用し、カネを得るものが共存する構図」という表現にはわが身を振り返って苦笑させられた。

 「ウェブ進化論」で時代の寵児となった?(2)の梅田さんがネット上でボコボコにされたのは昨年の秋だったっけ…。彼のいわんとすることは何となく分からないでもない。

 私は今年に入ってから英語圏のブログを以前よりもフォローするようになった。ブックマークしていない新規のブログに限れば、日本語よりも英語を見ている方が多いくらい。感じるのは実名&顔写真出しのブログが多いこと、個人の趣味ブログはもちろん、ある程度アクセスの多いブログでもコメント欄で冷静なやり取りが多いことだ。

 たぶん梅田さんの残念感は(3)で紹介されているような動きが日本では見られないことなんだろう。この本はアメリカのメディアと政治におけるブログの話なんだけど、「日本ではしぼんじゃった感のあるWEB2.0という花がアメリカでは見事に咲いたんだ。うらやましいな〜」と思ったもん。

 日本もこんな風に(例えばブロガー主催のオフ会に次期首相候補がそろって出席するなど)なるんだろうか、っていうと全く期待していない。なぜかっていうと、梅田さんがかつて期待していた?日本の「最先端・最高峰の一流の人たち」の多くはネットで発信することに価値を見出していないから。むしろネットは「暇人の遊び」と認識して冷やかなまなざしを送っているのではないかな? こんなことを書くと、また(1)の話に戻ってしまうのだけど。

 私が自覚している「残念感」は梅田さんとは多分ずいぶん違うものだと思う。私が失望したのは一部の「最先端・最高峰の人たち」だ。そういう「上の人」たちが「情報を無料で活用し、カネを得る」だけに飽き足らず、私の想像をはるかに超えた方法でウェブを悪用するのに心底嫌気がさした。私がもう一つのブログをやめた理由はまさにそこにある。どんな立場の人のどんな行動が私を絶望させたかは、そのうち書くつもり。

 とにかく今私はネットの世界に疲れていて、(1)と(2)はタイムリーな内容に感じられてそれぞれ共感できる部分があった。「もう、やってらんね〜」と開き直っていたところへ(3)を読み、喝を入れられた気分だ。

 関心のある方はぜひご一読を。順番は(3)を最後にするのをお勧め。取りあえずネットで読める(2)から読んでみてはいかが? 
posted by らくだ at 18:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書評・芸能など | 更新情報をチェックする

2009年04月23日

中身よりも付録

 最近のファッション誌は付録で売れ行きが決まるのだという記事(4月18日付のJ−CASTニュース)を『ふ〜ん、中身よりも付録で勝負ってのも編集サイドとしたら悲しい話だねぇ』を冷やかに見ていたのだが、自分も付録の威力をいやというほど実感することになった。

 福岡の出版社が出している「温泉博士」というマイナーな月刊誌が所用で必要になった。毎月10日発売だから発売日からまだ10日程度しかたっていない。当初の九州・山口版が西日本版に拡大し、全国版になったのは昨年の秋から。東京あたりではまだあまり知られていないはずで、そんなに売れないだろうと高をくくっていた。発売の直後に池袋ジュンク堂内の2カ所に置いてあるのを確認していたし。

 ところが、である。そのジュンク堂に行っても見当たらない。在庫を確認してもらったら、あっさりと「在庫が切れてしまいましたので、お取り寄せになります」と言われた。それから4軒回ったが3軒は売り切れで1軒は取り扱っていなかった。

 なんでこんなに売れるかっていうと、無料入浴特典があるからだ。雑誌を持っていくと、あちこちの温泉(今月号は全国127カ所)で無料入浴させてもらえる(GWなど除外期間あり)。雑誌が450円だから、普通なら1カ所行くだけでも元が取れる計算だ。有効期間は雑誌発売日の5日後から1カ月(今回は4月15日から5月15日まで)。

 そんなわけで温泉好きの間ではあっという間に評判となり、発売と同時に購入する人が多い様子。雑誌の記事内容が話題になった記憶はないが、「今月はどこどこの温泉に無料で入れる」という話題ならあちこちで見かける。まさに記事よりも付録で売っているクチだろう。ファッション誌だけじゃないんだ。

 「出版不況」という言葉は今回の景気後退以前からずっと言われている。雑誌の廃刊が相次ぐこのご時世に5軒の本屋を回っても手に入らないバカ売れ雑誌があるとは思わなかった。

 結局、本屋はあきらめてネットで買ってセブンイレブンで受け取ることにした。最初からネットで注文しておけば無駄な時間を使わないで済んだけれど、所用に間に合うかどうかギリギリのところだ。


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2009年01月31日

「007慰めの報酬」

 007の最新作「慰めの報酬」を見た。つまらなかった。前作の方がよかった。

 夫が映画館に貼ってあるポスターを見て「ジェームズ・ボンド役の人って元猿岩石の有吉に似てない?」なんて言い出すもんだから、始まる前からなんとなく嫌な予感がしていた。それに見ている間中『一体どこが有吉に似ているんだろう?』と気になってしょうがなかった。

 映画そのものはプロットが練れていないというか、脚本が雑というか、人間関係が適当というか…。登場人物ばかり多いのに話が整理されていなくて、誰が味方で誰が一番の悪党なのか混乱してしまった。こちとら頭の回転が遅くなりつつあるのでついていけない。若者ならスッキリと頭に入って楽しめるのだろうか?

 おまけに目の動きも鈍くなっているから、画面の切り替わりにもついていけない。殴り合いとかカーチェースとか、前の方の座席で見たわけでもないのに動きが追い切れない。殴り合いの効果音だけが印象に残った。あと、ガラスが割れる場面大すぎ。派手で見栄えはするかもしれないけどさ。テレビで見ればいいや。

 夫の感想は「ドンパチやるだけなら石原軍団で十分」。まさにそんな映画だ。ちなみにボンド役の人は有吉には全然似ていなかったけれど、確かにポスターを見ると顔の形が似ているかも…。
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2008年12月13日

アウトプットが足りない



 ベストセラー「脳を生かす仕事術」(茂木健一郎)を衝動的に買って読んだ。数時間でさらっと読める本ながら、教えられることは多かった。

 特に気になったのは「感覚系」と「運動系」を均衡させる話。「感覚系」というのは五感で情報を入力して理解すること、「運動系」というのはそれを実践することで、要するにインプットとアウトプットの関係だ。

 インターネットなどメディアの発展が進んだ現在は自然にインプットが多くなっているので、意識的にアウトプットをしてバランスをとることで仕事の能力が鍛えられるという。

 なるほど〜と深くうなずいた。私にとってこのブログはアウトプットの場のひとつ。それでも目いっぱい出力しているかっていうと、絶対にそんなことはない。『あ、こんなことを書いたらおもしろいかも』と思いつつ、闇に葬ってきたネタは数しれない。言い訳はたくさんある。『いい加減なことは書けないからもっと調べなくちゃ』とか『こんな日非難めいたことを書くとコメント欄が荒れるんじゃないか』とか『別に書いたって何が変わるわけじゃないし、書かなくたって同じだ』といった具合。こうして文字にしてみると、どうしようもない低レベルの言い訳だ。

 とりあえずアウトプットをすることが大切だと著者はいう。そのうえで少しずつ修正を重ねて完成に近づけていけばいいのだと。インプットはテレビやパソコンの前にいれば無意識のうちにできるけれど、アウトプットは意識的にする習慣をつけなくては満足に身につかないのだから。インとアウトのサイクルがうまく回ることで、仕事の能力向上にもつながるという。痛いところをつかれた。

 この本を買ったのは、最寄り駅前の小さな本屋に平積みで誇らしげに5冊ほど置いてあったから。以前この店で働いていた人(もう辞めたらしい)が「話題の本はみんな大型書店に行っちゃって、うちみたいに小さな本屋にはなかなか回ってこないんですよ」とぼやいていたのを思い出し、ちょっと嬉しくなって買ってしまった。内容が気になったのではなく、ベストセラーが零細書店にあったという事実に喜んで買った本はこれが初めてだ。

 著者の茂木健一郎については「テレビに出ているもじゃ頭のおっさん」くらいの認識しかなかった(す、すみません)。ビジネス書のベストセラーを買うのってなんだか気恥ずかしいのだが、ベストセラーになるにはそれなりの理由があるのだと納得した。

 しかし、こんなことを書くとブログの更新をさぼりにくくなりそうで、自分で自分の首を絞めているような気がする。

【参考】茂木健一郎氏のブログ「クオリア日記」
posted by らくだ at 15:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書評・芸能など | 更新情報をチェックする

2008年09月07日

冒険小説ランキング

 gooランキングの「子どものころに胸をときめかせた冒険小説ランキング」というのを友人に教えてもらった。ほとんど全部読んでいる。

 ランキングで2位になっている「十五少年漂流記」が私にとっては1位だな。ブリアンはマイヒーローだったし、読みながらマジで『私も混ぜて!』って思って何回も繰り返し読んだ。ニュージーランドという国があることを初めて知ったのもこの本を読んだからだ。

 次点は「ロビンソン・クルーソー」か「ドリトル先生」か迷うところ。どちらかといえば「ロビンソン・クルーソー」かな。ロビンソン・クルーソーの持ち物をノートに書き写して暗記していた。あのころは「漂流願望」みたいなものがあって、『いつか漂流したときに役に立つかもしれない』なんて真剣に思っていたような気がする。

 ドリトル先生シリーズは、なんといっても2作目の航海記が面白かった。冒険小説として読んでいたわけじゃなくて、動物の言葉を話すお医者さんが出てくる“おとぎ話”みたいに思っていた。各登場動物のキャラクターが丁寧に書き込まれていて楽しめた。

 「ドリトル先生」が英語ではDr. Dolittleだと知ったのは大人になってからだ。これを「ドリトル先生」と日本式にピタリと訳した井伏 鱒二のセンスに感服した。「原住民に対する差別的な部分があり問題だ」なんて騒いでいる人の存在を知ったのも大人になってから。子どものころはそんなことまったく意識していなかったから驚いた(それは「ちびくろサンボ」も同じことだ)。

 その他ランキングで特に好きなのは宝島、海底2万海里といったところかな。どうも私のツボは漂流物にあるらしい。トム・ソーヤーとハックは夢中になるところまでいかなかった。
posted by らくだ at 23:59 | TrackBack(0) | 書評・芸能など | 更新情報をチェックする

2008年08月15日

最近読んだ新書4冊

 一時期遠ざかっていた新書を7月下旬から4冊読んだ。しばらく読まなかったのは、新規参入も含めて多くの出版社が競うように出版して質が落ちているように感じたからだ。もともと1000円もしない本にそれほど多くを求めるのが間違っているのかもしれず、最近買った本は全体的にレベルが高かった。私が新書を読むのはもっぱら電車の中。旅先の本屋で目に付いた本を買うことも多い。

◎調べる技術・書く技術=野村進(講談社現代新書)
 とても価値ある740円。野村進の文章はスキがなく、内容がみっちりと詰まっている。材料を集めてモノを書くノウハウ本だが、文章を書くことへのこだわりを教えてもらった。新書は1回読んでそれっきりになることが多いのだが、この本は折にふれて何回も読み直すと思う。

○わかる! 使える! 広報活動のすべて=山見博康(PHPビジネス新書)
 全体的によくまとまっている。広報担当者が読むにはものたりないが、一般的な社会人が「広報とは何か」を知るにはお勧めできる一冊。ただ、内容がちょっと古い気もした。というのは、「インターネットを駆使しよう」という項目があるのに、駆使の仕方についての記述に乏しい。著者がネットを駆使しているとはとても思えなかった。

○ジャーナリズム崩壊=上杉隆(幻冬舎新書)
 帯を見ただけで内容はだいたい分かった。記者クラブ問題は私の知っている限り10年以上前から同じように取り上げられているので新鮮味はない。全面的なNYタイムズ礼賛もちょっと鼻につく。それでも読んで価値があると思ったのは、たとえネット上でもモノを書いて公表する責任について考えさせてくれたから。

×旅館再生=桐山秀樹(角川oneテーマ21)
 期待が大きすぎたのか、不満が残った。ほぼ全編を通して著者は再生旅館と再生業者のスポークスマンになってしまっているように感じた。もう少し突き放した視点で書いてほしかった。

 内容が1、2年前の古い話に感じられたっていうのもある。例えば、星野リゾートによる長野・浅間の「夜まつり長者」再生について、著者は「星野リゾートの再生事業のもう一つの特徴は一度コンセプトを決めたら、目に見える結果を出すまで実行するという『粘り強さ』だ」と書いているが、夜まつり長者は目に見える結果を出す前に伊東園グループ入りしている。この本の校正が出た時期には既に名称も新たにオープンしていたはず。

 細かい部分では「債務を100%減資」という表現も気になった。減資で減らすのは資本金で、債務を100%減らすなら債務免除になるのではないだろうか。そのほか「山梨県小淵沢町」には「おぶちさわちょう」とルビがついている。のけぞったのは「皆生温泉」の読みだ。著者が「旅やホテルに関する著作多数」というのにルビは「かいけい」となっていた。これは著者よりも編集者を責めるべきなんだろうか? 角川書店て大手だと思っていたのに、こんな雑に作られた本を出して経営の屋台骨は揺るがないのか疑問だ。
posted by らくだ at 22:30 | TrackBack(0) | 書評・芸能など | 更新情報をチェックする

2007年12月06日

「女性の品格」

 今年のベストセラー書籍がこの「女性の品格」だそうで、いまさらながらに読んでみた。意外なほど当たり前のことが書いてある。なんて書くと、自分に品格があるといってるみたいで、実際の私を知っている人は心の中で『どこに品格があるんだよ!』と突っ込んでいるかもしれない。

 かなり普通のマナー本だと思う。これだけ売れたのは、タイトルに「品格」という言葉があるのがよかったんじゃないだろうか。去年は「国家の品格」がベストセラーだったから、品格つながりで話題になりやすかったように思う。

 真ん中あたりまで読んだところで、「無料のものをもらわない」っていう項目にギクリとした。品格のある女性は無料のティッシュをもらっちゃいけないんだって。これ絶対に無理。道を歩いていて、何かを配っている人がいると、チラシなのかティッシュなのかを瞬時に判断してティッシュの場合は避けないようにしている。品格のある女性になるのは諦めた。
posted by らくだ at 22:29 | Comment(2) | TrackBack(0) | 書評・芸能など | 更新情報をチェックする

2007年10月05日

「人間の証明」

 森村誠一の「人間の証明」を何十年かぶりで読み直す。日曜日に雨の中を霧積温泉に行ったら、私のツボにスポッとはまってしまったからだ。

 読み始めは内容をほとんど覚えていないことに気づいて愕然としたものの、読み進んでいくうちに自然と大まかな内容を思い出してきて一気に読めた。

 それにしてもまったく救われない話だ。まるで韓流ドラマのように偶然が絡み合っていて、それがひとつずつ悲劇的に終わる。どうでもいいような伏線の話まできっちりしていて、この作品の完成度の高さをあらためて実感した。

 肝心の霧積温泉は予想したほど登場しない。それでも30年前に発表されたこの小説で描かれる霧積温泉と、先日実際に見てきた様子はそれほど違わないように感じた。こんな大ベストセラーに出てくる温泉が、あんなにひっそりとしたまま残っていることが不思議でしょうがない。
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2007年05月28日

ZARD

 ZARDが死んだ。正確にはZARDのボーカリストの坂井泉水が死んだと表現しなくてはならないようだ。今日の訃報を聞くまで、ZARD=坂井泉水だと思い込んでいた。

 十年以上も前、社内外のオッサンたちとカラオケに行くのも仕事の一部だった日々、ZARDは私の十八番だった。当時のオッサン達の間では知名度が低く、『知らない人の知らない歌を歌われても…』と反応はイマイチ。ユ−ミンとか竹内まりやの方が受けは良かったけど、性格の悪い私は構わずに歌っていたっけ。

 ZARDのCDを数えたら今でも5枚持っている。人生の一時期をZARDの歌とともに過ごしてきただけに、きょうの訃報はナントカ還元水の人よりもずっとずっとショックだ。あらためてCDを聞いていたら、初マラソンのトレーニングの時に「負けないで」をよく聞いていたことも思い出した。

 子宮頸がんが肺に転移、入院治療中に転落死というのが彼女の歌からイメージできない。「靴をはいていた」「遺書はなかった」という報道を聞くと、自殺が疑われているのだな。テレビにも出ないし、ライブも少なくて最後まで謎めいた人だった。どうもお世話になりました。ありがとう。40歳での若すぎる死に合掌。
posted by らくだ at 23:18 | Comment(5) | TrackBack(0) | 書評・芸能など | 更新情報をチェックする

2007年05月27日

「フューチャリスト宣言」

フューチャリスト宣言 ネットの世界に泳ぎ疲れたときには梅田望夫がよく効く。私にとって彼は“ネット界の癒やし系”ってところだ。表題の本を店頭でみかけ、タイトルの横文字が安易な感じでイマイチだし、対談集だったし、対談相手の茂木健一郎という人が何者なのか知らなかったのだが、つい買ってしまった。

 疲れていたのは、もう1つのブログのせいだ。ブログというツールをただの日記よりも実用的に使う実験をしようと、このブログよりも1年半以上も遅れてスタートした情報ブログ。10日余り前に記事数が1000を超え、数日前にアクセスカウンターが100万件に達したところで目標がなくなっちゃった。数字を目標にしていたわけじゃない。もともと始めたときは2005年末までの実験というつもりだった。気がついたら『いつやめよう』なんて後ろ向きなことばかり考えていた。

 この本を読むと、私の頭では意味の分からない言葉があちこち出てきて落ちこぼれ気分を味わいながらも、「せっかく始めたのだったら続けなくちゃ意味がないよ。このままやっていれば新しいことが見えてくるかもよ」と背中を押されている気分になった。

 ここんとこ、ヘンタイとしか思えない人間からメールが来たり、こちらの本名など個人情報を明かさないことで急に態度を変える人がいたりで暗くなっていたところ。この対談集で梅田望夫が「いい出会いのほうが圧倒的に多いんだけど、一個のイヤなことが吹き飛ばすようなときがあるんですよね」と言っているのを見て、そうそうとうなずきながら少し気分が晴れてきた。

 梅田望夫の楽天的なものの見方を批判する人がいるっていうのはよく分かる。それでも私は彼の楽天的なところはは大好きだ。新しい世界が開けてくるんじゃないかってどことなくワクワクさせてくれるから。自分はあまり時代についていけてる自覚はないのだが、ノーテンキな人間だからツボにはまるのかもしれない。

 そんな風に少し元気をもらったこの本、一般的に勧められるかって言うとちょと疑問。そもそもこの本は3分の1くらいが対談集、残りが講演録になっていて、いかにも省エネ本といった感じだ。昨年の「ウェブ進化論」と違い、何回も繰り返して読む気にはなれなかった。
  
posted by らくだ at 23:56 | Comment(2) | TrackBack(0) | 書評・芸能など | 更新情報をチェックする

2007年05月07日

「何度も見た映画」ランキング

 BBCで「何度も繰り返し見た映画」ランキングというのを発見した(元記事=英文)。調査を実施したのは英Sky Moviesだそうで、調査対象者の人数や年齢層などは不明。男女別の上位ランキングは以下の通り。
■男性
1位 スターウォーズ3部作
2位 エイリアン
3位 ターミネーター
4位 ブレードランナー
5位 ゴッドファーザー

■女性
1位 ダーティ・ダンシング
2位 スターウォーズ3部作
3位 グリース
4位 サウンド・オブ・ミュージック
5位 プリティ・ウーマン
 女性の1位がダーティダンシングって…。この映画だけ見ていない。パトリック・スウェイジが出ていたような記憶があるものの、そんなに話題になった映画だったっけ。不思議でしょうがないランキングだ。

 私自身は、やっぱりスターウォーズ3部作ははずせないとして、2位はタクシードライバーかな。3位以降の順位はあいまいながら、サウンド・オブ・ミュージックが入らないことだけは確実で、パピヨンとかディア・ハンターが入りそう。自分でいうのもなんだけど、まるでオッサンが選ぶランキングみたいだ。

 次点グループにはニューシネマパラダイス、ひまわり、ローマの休日とオーソドックスなところが入るかな。忘れている映画もたくさんあるような気がする。
   
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2007年01月21日

「フラット化する世界」(上)(下)

フラット化する世界(上)フラット化する世界(下)

 ニューヨークタイムズのコラムニスト、トーマス・フリードマンの書いた表題の本(日本経済新聞社)を読んだ。技術屋さんの書いたWeb2.0関連の本は何冊か読んでだいだいの傾向は分かった。この本は外交畑の記者がとらえたweb2.0の世界を描いているというと語弊があるだろうか。彼のいう「フラット化」というのは広い意味でのweb2.0だと私には思えた。そう考えると新鮮なweb2.0本だった。

 全体的にはアメリカ人に対する警告の書で、日本についてはブロードバンドが安価で普及していることや携帯技術の進展などを指摘して好意的なんだけど、果たして日本は安心していていいのか…という気にさせられる。

 特徴的な部分として印象に残ったのは、「現在の中国では、ビル・ゲイツはブリトニー・スピアーズなみのスターなのだ。アメリカでは、ブリトニー・スピアーズのほうがスターだ。−−それがアメリカのかかえている問題なのだ」というのと「文化大革命は終わったと思う? とんでもない、始まったばかりだ。ただ、中国の今回の新文化大革命は−−フラットな世界のプラットホームのおかげで−−トップダウンではなく、ボトムアップで動かされている。そして、ツールは毛沢東主義者の「毛沢東語録」でじゃなく、アップルのちっぽけな銀色のiPodだ」という下り(ともに下巻)。

 というと『本の内容はおおよそ検討がついた』と思う人は多いかもしれない。それでも、これまで知らなかった話が盛りだくさんで、私は楽しく読むことができた。たとえばヨルダンの小荷物配送会社アラメックスがエアボーンとの提携を一方的に切られても、自社ネットワークを立ち上げて営業を続けられた話はとても面白かった。

 ただ、あまりにもあちこちに話が飛ぶせいか、全体的には同じフリードマンが書いた「レクサスとオリーブの木」を読んだときのような興奮は感じなかったな。それでもなお、お勧めの2冊ではある。
posted by らくだ at 22:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書評・芸能など | 更新情報をチェックする

2006年12月07日

【映画】007カジノロワイヤル

 007シリーズ最新作カジノロワイヤルを見た。ボンド役の俳優が代わっただけでなく、エピソード1という位置付けのためか、シリーズ最新作というよりも全く別の映画みたいに感じた。

 ソニーエリクソンの携帯は出てくるし、ボンドが使っているパソコンはVAIOだし、デジカメは(確信はないものの)サイバーショットみたいだった。ソニー製品がこれでもかと出てくるのが、さすがソニーピクチャーズという印象だ。

 映画自体は、すごく良くできているとかシリーズで最大のヒットとか聞いていた割には、そこまでいいとは思えなかった。どちらかといえば面白い程度。100点満点で採点すると60〜70点かな。「つまらなかった」という夫の採点は50点。面白かった私とつまらなかった夫の採点がそれほど違わないのには理由がある。

 私は学生時代、「映画館の行き帰りに学校に立ち寄る」といわれた人間。1年で200本程度はフツ〜に見ていた。その私があまり魅力を感じなかったのが007シリーズで、テレビで見れば十分だと思っていた。一方の夫は映画嫌い。その夫が例外的に好んで見るのが007。つまり2人の趣味は正反対で、潜在的な評価も大きく異なっているのだ。

 映画を見る予定のある人は、ここから先を読まないでください

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タグ:映画 007
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2006年08月01日

「ブログがジャーナリズムを変える」

ブログがジャーナリズムを変える 今回のお出かけに持参したのはNTT出版から出ている時事通信・湯川鶴章氏編集委員の「ブログがジャーナリズムを変える」だった。

 あまり旅行向けの本じゃなかったとは思う。それにしても、正直いってこれまで読んだブログ関連本の中では最もイマイチ感がある本だった。著者の考えがまとまっていないというか、一本筋が通っていないというか、うまく表現できない。なんなんだろう?

 タイトルは「ブログが…」となっているけど、実際は「ネットが…」という感じ。著者本人はあとがきで「わたしの本当にいいたいことは、個人の情報発信がジャーナリズムを変える、ということである」としている。

 考えてみると、最新のネット関連本にしては時代に半歩遅れているような気がする。内容がどことなく古臭いのだ。去年の今頃だったら納得しながら読んでいたかもしれない。

 愛読していた著者本人のブログ「ネットは新聞を殺すのかblog」は2回目の炎上が終わって燃えカス状態になっている。そんなことも引っかかっているのか、読み終わって寂しさが残った。
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 留守中に梅雨が明けていた。あわててタイトルバナーをひまわりの写真に変更。「らくだのひとりごと」の文字が花にかかってしまっているので、左上に動かして文字の色を変えようか検討中。とりあえず数日はこのままです。それにしても東京は寒い。
タグ:ブログ 書評
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2006年07月22日

「Web2.0でビジネスが変わる」

Web2.0でビジネスが変わる 雨後のタケノコのように出てくるWeb2.0関連本のひとつ「Web2.0でビジネスが変わる」を今回のみちのく旅行に持参した。それほど深さはなくさらっと読める。前にちらっと紹介した「ウェブ進化論」よりも初心者向きで私にも分かりやすかった。

 最近になってWeb2.0という言葉だけが一人歩きしているような気がしていたのだが、この本を読んで、私が昨年秋に無意識のうちに始めたもうひとつのブログは「消費者発信型メディア」と訳されるCGM(Consumer Generated Media)のひとつであり、Web2.0の世界に足を踏み入れているのだと確信することができた。まぁ、なんつうかそれなりにスッキリした。

 ただ同意できないこともある。この本では個人のサイトはWeb1.0的でブログはWeb2.0的と区分けしている。でも、私がこのブログを書き始めたのは、CGIスクリプトで書いていたWEB日記がISPのトラブルで何日も書けなくなったせいだ。つまり個人サイトとブログの間の違いは全くといっていいほど感じていなかった。ただ『コメントが書けるのは便利だな。トラックバックってなんだろう?』と感じたぐらい。このブログはいまだに自己完結型で何も変わっていない。

 もうひとつのブログは自分で意識しない当初段階から他人を巻き込むことになった。黙っていても協力者が集まってきた。そしてその輪がどんどんと広がっていっている。ネットの世界では個人情報の開示はご法度と思っていたのに、いつのまにか本名や住所を載せたブログ用の名刺をあちこちで配っているのが自分でも不思議だ。

 当初3カ月の実験として始めたはずのプロジェクトを1年間に延長、最近では「多分もう止められないよ。回りが許してくれない」という人が増えてきた。自分でも薄々とはそれに気づきながら、ブログ2つと個人サイト1つを運営していく自信もない。さてどうしよう。

 本の話に戻ると、ブログの特徴のひとつとして「自分にとても近い他人が見つかる」ことが挙げられていたのが興味深かった。著者によると、トラックバックを追いかけることで、会ったことはなくても興味が自分に近い他人を見つけられるというのだ。そしてリアルな世界の友達も「たまたま職場や学校が一緒だから」という理由で付き合っているかもしれず、むしろブログのほうが「本当に知り合いになるべき他人と出会うことが可能なのかもしれない」としている。

 そんな風に考えたこともなかったけど、一理あるかもね。これまでは「遠くの親戚より近くの他人」といったけど、Web2.0は「近くの友人より遠くの他人」の時代なのかな、などと考えてしまった。 
タグ:Web2.0 書評
posted by らくだ at 23:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書評・芸能など | 更新情報をチェックする
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