2011年07月12日

FRAU8月号で「感謝台湾」特集

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 月刊誌「FRAU」8月号の表紙の文字につられて中身もみないで購入。なんたって「感謝臺灣」、「ありがとう、台湾!」「訪れて楽しむことが、一番のお礼だと思うから」と書いてある。これじゃ買わないわけにいかない。

 中身も特集の最初に「義援金180億円突破!! 世界で一番、日本を愛してくれている台湾のこと、もっともっと知りたい!」と、私のツボを押さえた表現で嬉しくなった。

 女性誌の旅行特集って、普通の場合は私の趣味とかけ離れているので買ったことがない。おしゃれな場所ばっかり出ているんだもの。例えば温泉が紹介されていても、行きたくなる温泉が載っていることはまずない。

 でも、この雑誌はさすがに「感謝臺灣」をうたうだけあって、台湾の歴史年表も出ているし、もちろん震災後の台湾からの支援についても書かれているし、ちゃんとした内容で好感が持てた。

 誠品書店信義店が見開き2ページで紹介されているのもいい。ここは私が台湾に行ったら必ず訪ねて最低でも数時間は過ごすお気に入りスポットなのだ。台湾関連本の紹介は少ないながらもオーソドックスな司馬遼太郎の「街道をゆく台湾紀行」、女性誌としては意外なチョイスの「台湾人と日本精神」など。

 まだパラパラ見ただけなんだけど、なんだか急に台湾に行きたくなってきた。秋に行くつもりだけど、まだかなり先だなぁ。
    
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2011年07月06日

東日本大震災のドキュメンタリー映画「無常素描」

20110706.jpg 友人のKさんが送ってくれた鑑賞券で東日本大震災のドキュメンタリー映画「無常素描」を見てきた。音楽もナレーションも地名などのテロップも一切なく、長回しのカメラで被災地と被災者の姿を淡々と綴っている。素描=スケッチに対してまとまった感想を書くのは難しいのだが、思いつくままに書いてみる。

 印象に残った場面はガレキの山の高さや集められた写真の多さなどたくさんある。その中でも目を引いたのが嗚咽する被災男性の肩越しに映るラッパ水仙。単なる背景のヒトコマなんだけど、津波に洗われても変わらずに花を咲かせているその黄色が画面のそこだけ鮮やかでドキッとした。テレビではこうはいかない。

 また、「あんまり海の近くには住みたくない」という祖母に対し、「でも、海が好きだもん」という女の子がカメラに向かって「海の近くに住んでみた方がいいですよ」と語りかけたのは意外だった。終盤にまっすぐな視線を向ける彼女が再び登場したことに、私としては希望を感じることができた。

 アクセントになっているのは随所に挿入される芥川賞作家の僧侶、玄侑宋久さんのインタビュー。暗い中でメモも取らずに聞いていたのでうろ覚えだが、ラオス(のある場所?)では橋が毎年洪水で流されているので、またそのうち流されることを前提に竹で橋を作っているとか、(東北でも)次の津波がきた際に大丈夫なように新しい町を作ったら昔の町は忘れられていく、という話がなぜかストンと自分の中に入ってきた。

 これまで西アジアなどで大地震が起きると「なんで鉄筋を入れずに日干しレンガを積み上げて家を作るんだろう。同じことを繰り返していたら、次の地震が来たら同じように壊れちゃうのに…」と不思議だった。彼らからしてみれば実現可能な最善策に違いなく、そんなことを感じる私は単に被災国を見下す傲慢な人間なのかもしれないと初めて思った。

東京・オーディトリアム渋谷での上映は15日までの予定(10日は上映なし)
       
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2011年07月02日

「つなみ 被災地のこども80人の作文集」

文藝春秋増刊「つなみ 被災地のこども80人の作文集」 2011年 8月号 [雑誌] / 文藝春秋 (刊)

 書店でこの作文集が平積みになっているのを見つけて買った。東日本大震災で津波の被害を受けた保育園・幼稚園児から高校生まで80人分の作文が収められている。その一部は手書きの原稿用紙をそのまま掲載しているので、その思いがより生々しく伝わってくるように感じる。

 まだ、一部をパラパラと読んだだけなのだが、みんなしっかりしているな〜。これなら東北と日本の未来は大丈夫だ、という気になった。みんな心のどこかで『なんで自分(たち)だけがこんな目に遭わなくてはいけなかったんだろう』という理不尽な思いを抱えているはずなのに、友人や家族の命や自宅を奪った震災の悲惨さだけでなく、震災のせいで気づいたこと、分かったことなどを前向きに受け止め、それをこれからの人生に還元していこうと考えている子が多くて頼もしく思った。

 飛ばし読みをしながら印象に残った部分をいくつか引用しておく。
−−でも今、私達を全力で支えてくれている世界のたくさんの人達がいます。避難所で、イライラすることもあるけれど、世界中の人達が応援してくれていると考えると、頑張れます。だから、もう少し私たちを応援していて下さい。世界中の人達のおかげで、私たちは生きていくことができます。災害にあって、本当に人の優しさがわかりました。これからも、世界中の人達に感謝して、いつか恩返しできることを信じながら、元気に生きていきたいと思います。   
  閖上中学校2年 小斎可菜子さん
−−でも、いつまでも何なよなよしてんだ!!と言い聞かせ、私は友達の分まで生きようと思いました。まだ、余震が続いて怖がっている方もいるので、子供の笑顔で元気にしていきたいです。
  閖上小学校5年 武藤ゆいさん
−−僕は人間の汚い心を見てしまうことがあります。避難所に来た物資を被害を受けていない大人たちが持ち去ってしまったり。みなさんは、この愚民たちの愚かな行動をどう思いますか。
  東松島市矢本第一中学校2年 尾形大輔さん
−−今、言いたいことは、世界の人にありがとう、がんばります、と言いたいです。私達は負けません。だいじょうぶです。世界の人が、このことを忘れないでほしいです。
  陸前高田市高田第一中学校1年 鈴木麻子さん
−−自えい官のみなさん、久しぶりのおふろ気持ちよかったよ。あったかいごはんもありがとう。夜中のパトロールもありがとう。けいさつ官のみなさん、夜中のパトロールやいっしょにあそんでくれてありがとう。
 全国のみなさん、勉強どうぐやいろいろしえんしてくれてありがとうございます。ぼくも大人になったらみなさんに少しでもお礼ができるよう、優しくて、たくましい大人になりたいと思います。
  釜石市鵜住居小学校4年 小笠原響綺さん
 呼んでいると自然に涙が出てくるので、少しずつ読み進めるつもり。これは子供たちによる作文集と同時に貴重なルポルタージュ作品でもある。表紙と巻頭カラーの子供たちの写真は笑顔のものが多くて救われた。関心のある方はぜひご一読を。文藝春秋の8月臨時増刊号で800円。
    
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2010年11月13日

映画「トロッコ」

torocco.jpg 芥川龍之介の「トロッコ」が原作だが台湾が舞台。原作を大幅に換骨奪胎したオリジナルな作品として鑑賞した。

 台湾人の夫と日本で暮らしていた日本人女性が夫の死後に息子2人を連れて夫の実家を訪ねる話で、義父は戦中派。日本人になりたくてもなれなかった現実、日本軍に2年間従軍したものの軍人としての恩給が受け取れない場面など出てくる。私がほんの少しのぞいた世界だ。『そうそう、こんなことある』などと頷く場面もあった。

 主人公と義父が互いに相手を思いやり「ここにとどまって一緒に暮す」「日本に帰りなさい」と会話する場面にやさしさがにじみ出ていてよかった。川口浩史監督(脚本も)が台湾の人たちに魅了されたのが伝わってきた。映像もキレイだし、音楽(川井郁子のバイオリン)もいい。

 義父が「日本人は礼節を尊び…」と日本人を理想化する発言をする場面は我が身を振り返ると胸が痛かった。先日、春子ばあちゃんとその家族に結果としてとんでもなく失礼なことをしてしまい、どうしようもなく恥ずかしい思いをいまだに抱えている。

 映画全体的にはトロッコと家族、日台の歴史的経緯といろんな要素を詰め込みすぎな印象はあった。また、戦中派のお姑さんは日本語があまりうまくないのも気になった。たぶん、日本語を話せない役者さんが台本を覚えたのだろう。『本物の戦中派の日本語力はね、こんなもんじゃないよ』って、先日会ったばかりの陳さんを思い出した。

 台湾の田舎が好きな人にお勧め。私は日本家屋の佇まいを見ているだけで癒された。しかし、台湾に興味がない人がみたら、散漫でつかみどころがないかもしれない。映画館はガラガラで数人の入りだった。東京での上映は渋谷のシネマ・アンジェリカで11月20日まで上映中。

参考:映画トロッコ公式サイト
    
タグ:台湾 映画
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2010年09月12日

「借りぐらしのアリエッティ」

 スタジオ・ジブリの作品を映画館で観たのは初めて。それどころか、映画館でバイトしていた時期を除けば、劇場でアニメ映画を観た記憶がない。ひょっとして子供の時の「東映まんが祭り」以来かもしれない。

 そんな化石の私にとって、この映画はとても新鮮だった。絵がきれいだ。しかも昔のアニメと全然違って写実的。特に水というかしずくが美しかった。人々や動物の動きも緻密に再現されている。ハラハラするシーンはあるものの、全体的には心穏やかに観られる作品だ。一時間半ほど別世界を漂えた。

 一つだけ残念に感じたのが心理描写。あまり詳しく書くとネタばれしてしまうので簡単に書いておく。お手伝いのハルさんがなぜあんな行動を取ったのか、説明になる部分がない。彼女をどういう人物として解釈すればいいのか悩んだ。
   
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2010年05月19日

書籍「台湾人生」

 「台湾人生」(文芸春秋刊)を購入。ハードカバーの本を買うのは久しぶりだ。著者の酒井充子氏は、台湾の日本語世代の人たちを長年にわたってインタビューして同タイトルのドキュメンタリー映画を撮っている。私はこの映画を見ていないので、この本が映画のノベライズ版といっていいのかどうか分からない。

 この本を読み、3月に私が会った陳さんと春子ばあちゃん(2010年3月10日付の「2人の陳さん」を参照)が私に対して遠慮して言わなかったことがあるのを感じた。一つは日本統治下の台湾では台湾人と日本人の間には歴然とした差別があったこと、もう一つは「台湾は日本に捨てられた」という思いだ。

 それでも、この本に登場する人たちはこぞって日本を愛してくれている。「男に生まれていたら特攻隊に志願して天皇陛下万歳といって死んでいった」なんて話す人は、たとえ建前だとしても日本では1人も会ったことはない。そんなことを言う人が台湾に存在するっていうことがすごくないですか?

 原住民パイワン族の方が2008年7月に亡くなった際、最後に発した言葉は日本語だったので家族は誰も理解できなかったという人物紹介が涙を誘った。登場するのはみな日本人以上に日本人の人たちだ。

 彼らがつらい目にあったのは戦中よりもむしろ戦後かもしれない。親日派として密告されれば連行されて拷問に遭った。身内が殺された人も何人か登場する。台湾で38年間も続いた戒厳令が解除されたのは1987年だから台湾の人々が自由に物を言えるようになってからまだ20年余り。ようやく口を開けるようになった「元日本人」たちに残されている時間は長くはない。この本の登場人物も何人か亡くなっている。

 この本を読んでいるうち、台湾の春子ばあちゃんからまたサンゴのネックレスが何本も送られてきた。私が唱歌と戦時歌謡のCDを送ったお礼だという。この分でいくと私はそのうち店が開けるほどのサンゴ持ちになりそうだ。秋には再び台湾に行く予定で、春子ばあちゃんには絶対に会いに行くつもり。

 ばあちゃんも楽しみにしていて手紙には「今度会ったらまた日本の歌を歌ってあげます」と書いてあった。軍歌かな〜。でも、ばあちゃんの歌う軍歌なら素直に聞けるんだ。これが不思議。日本で軍歌を聞かされたらドン引きするに違いないのに。

 「台湾人生」の映画版も見たいのだが、6月2日の上映は平日の昼間だし5000円もかかるのだったらDVDを買ってみた方がいいか。6月20日の西東京市での上映に行ければいいのだが。

【参考】映画「台湾人生」の公式サイト(予告編があるので音が出ます)


台湾人生

台湾人生

  • 作者: 酒井 充子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2010/04
  • メディア: 単行本



台湾人生 [DVD]

台湾人生 [DVD]

  • 出版社/メーカー: マクザム
  • メディア: DVD



 
タグ:台湾
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2010年05月03日

「一生モノの勉強法」

 ゴールデンウィークといっても、私の生活はいつもとほとんど変わらない。ちょいと仕事をしてブログのタイトル画像を入れ替え、午後は夫と一緒にテレビ台を買いに行った。初めてニトリに行ってみた。さすがに安い。配送料込みで3500円かからなかった。ほかにも雑貨を買ってきた。

 読み終わったのは「一生モノの勉強法」。ふと図書館で目に止まって借りてみた。「京大理系人気教授の戦略とノウハウ」というサブタイトルにひかれた。私みたいな文系人間は理数系と聞いただけで別世界の頭のいい人に思えてしまう。

 この本から得た教訓は少なくとも2つある。一つは「パソコンは極力アウトプットに使う」ということ。確かにパソコンはダラダラとインターネットを使っていると、いくらでも時間が経ってしまう。自分としても非生産的な時間は極力減らさなくてはいけないと反省した。

 もう一つは「手紙の返事を求めてはいけない」ということ。手紙は届いただけで成立していて、相手の心を打ったときに初めて返事が返ってくると思っていた方がいい、という部分にすごく共感できた。幻冬舎の見城社長が五木寛之の作品を読むたびに手紙を送ったいたものの最初はまったく相手にされず、18通目で初めて返事が来て25通目で初めて会うことができたというエピソードも面白かった。

 多分ほかにもいいことが書いてあるのだと思う。しかし、私の頭のキャパではこの2つを仕入れただけでいっぱいになってしまった。


一生モノの勉強法―京大理系人気教授の戦略とノウハウ

一生モノの勉強法―京大理系人気教授の戦略とノウハウ

  • 作者: 鎌田 浩毅
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2009/04/03
  • メディア: 単行本


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2010年03月25日

風呂マンガ「テルマエ・ロマエ」

 漫画本を久しぶりに買った。少なくとも15年以上ご無沙汰していた。買ったのはマンガ大賞2010を受賞した「テルマエ・ロマエ」の単行本第一巻。自サイトの掲示板で友人の索さんに教えてもらい、風呂&浴場が題材・舞台のマンガというのは聞いたことがないので早速買ってみた。アマゾンで注文してから届くまで4日かかった。

 ローマ時代の浴場設計士が主人公。ふとしたことから現代の日本の銭湯やら温泉へのワープを何回も繰り返すことになりそこで見たものをローマで再現して…というお話。荒唐無稽ながらなかなか面白い。

 浴場の描き方もさることながら、ワープしてやってきた銭湯で日本人を見て奴隷衆だと思い込むのがウケた。古代ローマ人が何の先入観もなく日本人に接して自分たちよりも劣る人間だと判断したという設定に納得している自分に苦笑した。

 温泉卵を作っている傍らで入浴している(火傷すんだろ!)という場面など、ちょっと突っ込みたくなるところもあったものの、風呂&温泉好きならグフフ…と笑って読めると思う。

 ところどころに挿入されているコラム風の文章によると、作者のヤマザキマリ氏はイタリア留学経験があり、現在ポルトガルに住んでいるらしい。とにかく不思議なマンガ。

 普段マンガ本売り場なんて行かないし、連載されているコミックビームなんていう雑誌、見たことも聞いたこともない私にとって、まったく新しい世界だった。たまにはこんな刺激も楽しい。

 多分、2巻目も出たら買ってしまうだろう。しかし、そんなにネタが続くんだろうか。大深度掘削技術を持ち帰ってローマ帝国のありとあらゆるところに温泉…なんて展開にならないことを祈りたい。

【追記】作者のヤマザキマリ氏のブログはこちら→http://moretsu.exblog.jp/ プロフィールによると、中学2年の冬休みにヨーロッパ1人旅に挑戦し、17歳でイタリアに渡ってフィレンツェで絵の勉強を始め、現地で結婚してあちこちで生活してポルトガルに落ち着いたそう。中2の冬休みにヨーロッパひとり旅とは、やはりタダものではなかった。

テルマエ・ロマエ I (BEAM COMIX)

テルマエ・ロマエ I (BEAM COMIX)

  • 作者: ヤマザキマリ
  • 出版社/メーカー: エンターブレイン
  • 発売日: 2009/11/26
  • メディア: コミック


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2010年02月06日

「海角七号 君想う、国境の南」

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 幅広い世代から支持されて台湾映画史上最大のヒットを記録したという「海角七号 君想う、国境の南」を見てきた。タイトルは「うみかど」ではなく「かいかく」と読む。いきなり日本語のナレーションで始まるという不思議な映画だ。

 というのも、この映画は戦時中に台湾に赴任した日本人教師と現地の教え子の実らなかった恋愛と、台湾男性と日本女性の現在進行中の恋物語が絡み合って描かれる映画だから。台湾人の目を通してみる日台関係と言えば大げさかもしれないが、「台湾人にとっての日本人」がどのような存在なのかを考えさせられる映画だった。

 登場人物は脇役も含めてみなどこかに傷を持っている。例えば主人公の男性は音楽での成功、女性はモデルとしての成功を諦めるしかない現実をかみしめている。そして皆、傷を負っているからこそ優しい。悪役は誰も出てこない。

 ふと考えてみると、台湾が植民地支配を受けて深い傷を負ったのはいうまでもないが、支配者だった日本も敗戦国となり結果としては傷を負ったといえるのかもしれない。映画の背景にそんな解釈があるように感じられた。台湾でこの映画が作られて、しかも空前のヒットを記録したということは素直に嬉しい。一方でこのような映画が中国や韓国で制作されることは絶対にないだろう。台湾て本当に不思議な国だ。

 映画としては各登場人物の設定がうまくできているのに感心した。もう少し深く描いてほしい部分もあったけれど、全体的によくできた佳作。ただ、万人に推薦できるかっていうと疑問で、台湾に興味のない人が見て楽しめるかどうかは微妙なところだ。東京・銀座での上映は2月19日まで。各地で上映される予定があるので、関心のある方は映画の公式サイト(音が出ます)をご覧ください。

 見ていて思い出したのは、2007年6月の台湾訪問で会ったおばあちゃんのことだ。おばあちゃんは貧しい家庭に生まれて学校に行くのを諦めていた。日本軍が来て学校を造った上に子供は学校に行けと命令を出したので2年間だけ学校に行くことができ、彼女のお母さんは日本の兵隊さんが来るとたくさんご飯を食べさせたのだと、嬉しそうに話してくれた(詳細は2007年6月17日付の「台北のおばあちゃん」を参照)。あのおばあちゃんは今でも元気で温泉に通っているのだろうか。
     
タグ:台湾 映画
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2010年02月03日

「午前十時の映画祭」が始まる

 「午前十時の映画祭」というイベントが2月6日から始まる。期間は来年の1月21日まで。1950〜70年代を中心とする海外の名作映画50本が週替わりで上映され、しかも大人は1000円。「午前十時の…」というくらいだから上映時間は午前十時からだ。ちょっと時間的な制約があるものの、何回かは見に行きたいと思っている。

 というのも普及の名作がめじろ押しでよだれが出そう(上映される「何度見てもすごい50本」の一覧はこちら)。私はもともと映画が大好きな人間だった(過去形)ので、50本のうち見ていないのは「ショーシャンクの空に」と「バベットの晩餐会」だけ。両方ともこの中では新しい作品だ。

 しかし、やはり見たくなるのは以前見た作品。この中で一番好きな「ニュー・シネマ・パラダイス」はもちろん、デビッド・リーン監督の「戦場に掛ける橋」や「アラビアのロレンス」、スティーブ・マックイーンの主演作の中では一番の傑作だと思っている「パピヨン」、オールスターキャストの「大脱走」、ロバート・ショーが主演2人を食う演技をした「スティング」、名画座で何回もみた「ライムライト」など…。ややオヤジくさい趣味かも。(苦笑)

 いろいろな権利など絡むのだろうけれど、このほか選んで欲しかったのは、パッと思いつくところで「或る夜の出来事」、「駅馬車」、「シェーン」、「失われた週末」、「パリテキサス」、「ディア・ハンター」、「ドクトル・ジバゴ」だ。

 札幌から鹿児島までの全国25カ所で上映するそうなので(劇場一覧はこちら)、上映劇場が便利な場所にあって映画にも関心のある方は出かけてみてはいかが? 
    
    
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2009年11月20日

「目立つ力 インターネットで人生を変える方法」

 友人が「あんたとは正反対だけど…」と苦笑交じりに新書「目立つ力 インターネットで人生を変える方法」をくれた。最近話題の?勝間本だ。題名を見るだけで正反対だっていうことは分かるし、読後感も「予想通り」としか言えない。逆に言うと、何の先入観もないままに読んでいたら違和感が残っただろう。

 この本を読んで、「目立つ」「有名になる」「出版にこぎつける」などの見返りを見込んでブログを始めようなんていう人がいるのだとしたら、かなり罪作りな本だと思う。著者のレベルまで行くにはブログを書いて情報を共有するなんていうこと以上に、「私は優秀よ!」「私は他の人と違うの!」「私を見て!」と自分を売り込む押し出しの強さが不可欠なはずだ。

 報酬を求めてブログを書いている人は、もともとたくさんいる。個人のアフィリエイトブログを別にしても、いわゆる社長ブログとか企業の○○部が運営しているブログなど。著者のいうように目標を設定してブログを運営すれば成果がでるかっていうと、今までのところそうでもないと思う。

 これまでに読んだことのある社長ブログや企業ブログには逆効果と思われるものだって数多くある。たとえば、有名企業の某チームが大学のサークルのノリでつづっているブログとか、中高生の作文並みとしか思えない某社長ブログとか。『このブログを読んで、ブログ主に仕事を頼もうって気になる人はいるんだろうか…』と心配になったことも1回や2回じゃない。ブログをビジネスに生かすことができたのは著者やホリエモンやサイバーエージェントの藤田晋社長など、ごく限られた人たちだけだ。

 世の中にあまたいる凡人にいたっては何をか言わんやだ。このブログのアクセスが2005年の4月末、この記事をきっかけに爆発的に増えた。2ちゃんねるのあちこちからリンクされ、1日1万超のアクセスが殺到、数分おきにコメントが寄せられて手がつけられなくなった。自分の見たこと聞いたこととその感想を書いただけなのに、なんでみんなそんなに興奮するんだろう? アクセスが増えても、嬉しいどころか困ったし正直いって怖かった。

 私がやったことは著者とは正反対。更新頻度を落とし、当たり障りのないつまらないことを書き、新聞・雑誌の取材はすべて断った。とにかく閲覧者を減らしたかった。ひとり言を垂れ流しているだけのブログなんだからそれでいいじゃない。みんながみんな何らかの見返りに期待してブログを書くなんて、欲望がギラギラしていて気持ち悪い。目立たなくていいんだよ。

 本書によると「αブロガーの定義は、おおむね、月に5万PV(ページビュー)と定義する人もいるくらいです」とのこと。この定義が成り立つのだったら、昨年末で更新をやめた別ブログについては私はαブロガーということになる。毎月10万以上のPVがあったから。

 でも、こっちもアクセスが増えるといいことよりも悪いことが増えた。自分がαブロガーだなんて実感したことは皆無だったな。情報の共有を目指して始めたブログで、常識が共有できない人の多さに気付いたってところだ。

 アクセスが月間10万PVを超えるブログを運営して知り合えた人は大きく分けて2種類。世の中にはこんな素晴らしい人もいたのか〜というほど感動的な人と、どうしようもないほど非常識な人と。普通の人は黙って見ているだけなのでコンタクトはない。

 この2種類のバランスが>から<に変わった時点で消耗が著しくなり、ブログを続ける意味がなくなった。具体的には、ある大手企業課長の職業倫理観を疑う行動により、昨年夏の段階で心がポキンと折れちゃった(この人は自身を“純粋”だと自認しているのでつける薬はない)。協力してくれる人に悪いからとズルズル続けていたブログをやめることができたのは、父の死がきっかけだった。
 
 目立たずほどほど、テキトーに。これがブログを始めてからの5年半で身に付けた私なりの「長くブログを続ける方法」だし、今年読んだネット関連本では、やはり「ウェブはバカと暇人のもの (光文社新書)」に一番共感できた。ツイッターもアカウントを取ったまま放置状態。こんな私はいつの間にかネット利用者の落ちこぼれになりつつある。


目立つ力 (小学館101新書 49)

目立つ力 (小学館101新書 49)

  • 作者: 勝間 和代
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2009/10/01
  • メディア: 単行本


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2009年10月01日

夢やぶれて夢かなう

 48歳のシンデレラ、スーザン・ボイルさんが久しぶりに話題になっている(彼女については当ブログ4月20日付の「おばさんシンデレラ」を参照)。

 コンテストの準決勝はユーチューブで見た。ミュージカル「キャッツ」のメモリーを歌っていたけれど、声に伸びやかさがなかった。ちょっと音を外しているんじゃ、って思った場面もあった。それでも決勝に進み、もういちど最初に話題になったレ・ミゼラブルの「夢破れて」を歌ったものの、若者グループのDiversityに負けて番組からデビューすることはできなかった。

 まさに夢やぶれた彼女なのだが、今度CDデビューすることが決まったそうだ。日本でも11月25日に発売だそう(情報源はBARKS)。しかも、CDのタイトルは「夢やぶれて」。番組からプロデビューするという夢がやぶれた彼女が「夢やぶれて」で夢をかなえる−−なんだか複雑だ。

 収録曲にはマドンナやローリング・ストーンズのカバーも入っているそうで興味深い。アマゾンを調べたら、既に輸入版については予約を受け付けているみたい。でも、下記の画像を見る限り、アルバムタイトルは本人の名前に見えるのだが、本当に「夢やぶれて」なんだろうか?

 彼女のCDはぜひ聞きたい。ある意味で彼女はビジュアル系(!)でもあるから、ぜひ動画もみたいな。垢ぬけた姿を見せて世界中のおばさんを勇気づける「おばさんの星」になってもらいたい。


Susan Boyle
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2009年09月14日

「金融大崩壊」

 リーマン・ショックから明日で1年になるから、というわけじゃないのだが、たまたま書店で目についたNHK出版の新書を買って読んだ。昨年12月に出た本なので内容はやや古いながら、平易な言葉で昨年来の金融危機が解説されていて、とても読みやすかった。

 アメリカを金融帝国に造り上げたルービン元財務長官とグリーンスパン前FRB議長の責任を指摘、アメリカ中心、ドルが基軸通貨の時代は終わってEUが世界の中心になっていくと予想し、日本については公共投資を実施しても景気のテコ入れにはならず、需要回復の活路は海外の新興国にあると指摘している。

 サブプライムローン・ビジネスの仕組みについては「返済の可能性が低い人に融資をつける。それを証券化して転売していけば、自分のところにリスクは残らない。残るのは儲けだけ」とスッキリ説明されている。

 昨年来の金融危機とは何ぞや? そして日本にとってどんな影響があるのかを知りたいと思っている人にはお勧めできる。ただし、全く予備知識がないと難しいかも。後半はちょっとダレ気味にも感じた(自分の知識不足のせいかもしれない)。

 著者の水野和夫さんには一度だけお目にかかったことがある(当然ながら向こうは覚えていないだろう)。当時は国際証券(現三菱UFJ証券)のエコノミストで、持論を理路整然と説明してくれたのがとても印象的だった。

 国際証券と言えば中堅証券会社。当時は野村、大和、日興、そしてあの山一が四大証券会社と称され、中堅どころとは随分格差を感じ、ひそかに『こんな優秀な人がなぜ大手証券にいないんだろう』と思ったものだった。こうして頻繁にメディアに登場する有名人になったのもいわば当然。あと何年かしたら、政府に招かれて経済政策を担当しているんじゃないかと予想しておく。

金融大崩壊―「アメリカ金融帝国」の終焉 (生活人新書)

 
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2009年07月11日

「剣岳 点の記」

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 封切り後3週間にしてようやく映画「剣岳 点の記」を見に行くことができた。友人(正確には父の友人だが今じゃ私にとっても友人だ)が技術指導やチョイ役、危険シーンのスタントで撮影に関わり、ぜひ見てほしいと前売り券を送ってくれたのだ。

 見る前に原作を読んだ方がいいと言われ、実家にあった昭和52年の初版本(写真右上)を読んで行った。私の場合は確かに前もって原作を読んでいってよかったと思う。原作の淡々とした感じは映画にも反映されていた。原作にないドラマチックな演出は多少あったけれど。

 絵にこだわってつくっただけあり、山の景色が素晴らしい。雪渓を登っていく人間たちがなんとちっぽけに見えることか。撮影は想像を絶する大変さだったに違いない。ヴィヴァルディの音楽が山のシーンによく合っていた。

 ただ、アムンゼン対スコットみたいな話や人間模様を期待して見に行くと、肩透かしを食らった気分になるかもしれない。新田次郎は集めた資料を忠実に小説として再現、基本的に映画もそのスタンスを貫いているからだ。

 要するに“映像”として心に残るシーンはいくつもあったのだが、“映画”としていつまでも私の心に残るかっていうと、それは疑問だ。山好きの人なら絶対に気に入ると、自信を持ってお勧めできる。逆にいうと一般人の評価は分かれるかもしれない。

 豪華キャストの中でガイド・長次郎役の香川照之の演技が光っていた。この人の演技は期待外れだった記憶がない。いつもうまい。安心して見ていられる。次は何を演じるのか楽しみな俳優の1人だ(この映画とは関係ないけれど、若手ではマツケンこと松山ケンイチに注目している)。

 個人的には最後に字幕で説明が欲しかった。この映画(というか原作)は実話に基づいていること、測量隊の選んだルートの谷は長次郎の名前にちなんで「長次郎谷」と名づけられ、これからも語り継がれていくであろうことを。そうしたらもっと感動していたと思う。ま、そういうことをしないのがこの映画の持ち味なのかもしれない。

 2月にもらったプレスシート(劇場用パンフレットと内容が違うかも…)には新田次郎の息子の藤原正彦が文章を寄せていて、「これを一番見てほしかったのは父だ、としきりに思った」とまとめている。私も父に見せてあげたかった。映像を楽むのはもちろん、友人の名前をエンドロールに見つけてすごく喜んだに違いないから。私もなんだか誇らしい気持ちになって映画館を後にした。

【過去の関連記事】
二次の隔たり(2009年3月25日)
泣き笑い(2008年11月26日)
  
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2009年06月26日

2人のスター

 一世を風靡した人気者のファラ・フォーセットとマイケル・ジャクソンが相次いで亡くなった。自分の中にある70年代と80年代の思い出が、ほんの少しながらさらさらと音を立てて出て行ったような気がする。しかも出て行くときにチクリとどこかを刺して行った。

 2人とも決して好きなタイプではない。ファラ・フォーセット(私はファラ・フォーセット・メジャーズという名前のほうが馴染みがある)は、お世辞にも演技がうまいとはいえなかったし、わざとらしく口を開けて歯を見せたあの笑顔が好きになれなかった。彼女は結局のところ「ピンナップガール」「チャーリーズエンジェルの人」以上にはなれなかった。

 ファンには怒られそうだが、マイケル・ジャクソンのパフォーマンスに足を踏みならしてブーイングをしたこともある。スリラーが出る少し前のこと、スティービー・ワンダーの武道館公演に行ったら本人は風邪をひいたとかで途中で楽屋に戻り、代役として若かったマイケルが出てきて1、2曲歌い、スティービー・ワンダーの歌を聴きに来ていた私たち観客から大ブーイングを浴びたのだった。

 それからほどなくしてスリラーが爆発的に売れ、私は偉そうに「あの時のブーイングが彼を育てた」なんて解説していた。マイケル・ジャクソンのアルバムで唯一買ったのがスリラーだ。

 彼の音楽はそれほど好きじゃなかったけれど、音楽を「聴くもの」から「見るもの」に変えたという点で彼は歴史を変えたと思う。特にスリラーのプロモーションビデオはとてもよくできていて、何回見ても飽きなかった。ジョン・ランディス監督(ブルースブラザーズ)が手掛けただけのことはあった。

 スリラー以降、彼の顔はどんどん変わり、奇行が報じられるようになり、裁判沙汰になったり、顔を隠したり、訳が分からなくなった。あまりにも早く頂点を極めすぎてしまったんだろうか。アルバム「BAD」の出来も平凡だったし、たまにテレビやネットで見る顔は、新婚時代だってとても幸せには見えなかった。最近の話題は「金欠」とか「顔が溶け始めた」など、ほとんど東スポが扱うようなネタばかりだった。

 一方のファラ・フォーセットは肛門ガンが全身に転移していたそうだ。ほかの人達のガン治療に役立ちたいという思いからガンと戦う自らの姿をTVドキュメンタリー化することを願って実現したと聞いた。チャラチャラしたTVタレントだと思っていたが、最後に気骨を見せてもらった。長年のパートナーだったライアン・オニールに看取られて亡くなった一方、オニールとの間にできた息子は薬物使用で逮捕されて拘置・矯正中。親の最期を見届けられなかったそう。

 2人が人気絶頂だったころ、こんな亡くなり方をするなんて全く予想していなかったよ。2人の早すぎる死に合掌。
 
posted by らくだ at 20:50 | Comment(2) | TrackBack(0) | 書評・芸能など | 更新情報をチェックする
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