2004年10月18日

前ECB総裁とルノー会長の共通点

 きのう「ユーロ」と「オイロ」の話を書いたので思い出した。迷惑するのは、同一人物の名前が時と場合によって全く違って表記されることだ。

 なんとなく表記が統一されれば、それはそれでいい。例えば、子供のころの記憶を手繰り寄せると、故レーガン元大統領は最初に出てきたとき「リーガン」と伝えられていたのが、いつの間にか「レーガン」に統一されていた。近くはロシアの大統領プーチンも、最初はプチンというところもあったのがいまではプーチンに落ち着いている。

 結局まとまらなかったのが前欧州中央銀行(ECB)総裁のDuizenberg。彼の名前の読み方はドイセンベルクとダウゼンベルヒの2種類ある。双方に言い分はある。彼はオランダ人なのだから、本国での読み方を尊重しようというダウゼンベルヒ派。いやいやECBの本部はフランクフルトにあり、公式行事などでもドイセンベルクと発音されるのだからドイツ語読みが適当と主張するドイセンベルク派。普通ならどちらかに収斂されていくのに、この人の場合はドイセンベルクが優勢ながらも退任までダウゼンベルヒが生き残った。知らない人が聞いたらとても同一人物とは思わないだろう。

 現ECB総裁のTrichet(フランス人)はトリシェという読みで統一されていることからして、出身地と活躍の場のどちらを尊重するかという問題じゃなくて、オランダとドイツという国の規模というか重要性が問題にされていたような気もする。例えばスペイン人のRojasという人が総裁になったとしたら、ロハスじゃなくてドイツ語風にロヤスと発音すべきだという声が出るんだろうか? 

 同じようにルノーのSchweitzer 会長兼CEOも「2つの名前」を持つ。フランス語読みのシュベゼールと、ドイツ語読みのシュヴァイツァー。スイスのジュネーブで生まれて以来、ずっとフランス語圏で生活してきたようにみえるのだが、シュヴァイツァー(シュバイツアー)という表記にこだわる人も多い。これも知らなければ全く別人に聞こえる。シュヴァイツアー派の1人に理由を聞いたことがある。「アフリカでの医療活動でノーベル平和賞を取ったシュヴァイツアー博士と血がつながっている」ということだった。なんだか分かったような分からないような。ちなみに会長はサルトルのいとこだそうだから、名門一家の出だってことは確か。

posted by らくだ at 20:57 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 話題 | 更新情報をチェックする
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