私が耳にしたのは「海外からアメリカに入国したテロリストが、10月の7日か9日にベビーカーかブリーフケースに仕掛けた爆弾を爆発させる」というもの。市長の最初の発表じゃなくて、あとでいろいろと情報が付け加えられていった内容だ。ところがニューヨークの警戒レベルは5段階の上から2番目のまま引き上げられなかったと聞き、おかしいなぁと思っていた。
あとになってからマクレラン報道官がテロの脅威について「信頼性が疑わしい」と言ったことや、国家安全保障省も6日のうちに同省とFBIがテロ攻撃の情報を信頼性を疑問視しているとの文書を回したことが分かった。要するに市と連邦政府の対応がチグハグだったわけだ。
最初の行き過ぎた警戒が収まると、NY市長選を控えてのパフォーマンスだという見方や、6日は市長選のディベートがアポロ劇場で予定されていたから、それをサボるための口実だったのではないかと勘ぐる人まで現れた(アポロ劇場はハーレムにあるから、観客の反応はプ元ブロンクス区長でプエルトリコ系の対立候補フェレール氏に好意的とみられていた)。
単純に考えたら警告通りのテロは起きないだろう。テロリストたちは自分の命なんて惜しくもないんだろうけど、厳重警戒の中で行動を起こしても飛んで火に入る夏の虫で、狙っているような効果が得られない可能性が大きいから。だから、警告だけで何もなく終わりそうという意味では、ブルームバーグはこれからさらに非難されるかもしれない。
でも、これで何もアナウンスしないままにテロが起きていたら、ブルームバーグが再選どころの騒ぎじゃなくなる。マスコミもこぞって「知っていたのに市民に知らせなかった。なんて酷い市長なんだろう」って叩くのは100%確実だ。先日のハリケーン「カトリーナ」のときだって、市・州・連邦政府の備えが十分じゃなかったって散々非難されたばかりだ。
私はブルームバーグは好きじゃない。それでも、今回の件では彼を支持する。当局が決めたある一定の警戒水準を超える情報を入手したのだったら、私としては情報を公開してもらいたいと思う。それで何の準備ができるってわけじゃないけど、知らないうちに地下鉄の警備が厳重になっているなんてかえって不気味だ。
ニューヨークに住む反ブルームバーグの友人は、「そんなこと言えるのはニューヨークにいないから。ビクビクピリピリして毎日暮らすなんてもうたくさん。『知らぬが仏』っていうでしょ」という。う〜ん、確かにその場にいないからこうして無責任なこと掛けるのかもしれない。