有罪になってなんとなくホッとした。5月に彼女自身が有罪を認める証言をしたものの、あとになってから「上司に言われてやったことで本人は自分が何をしているかわきまえていたなかった可能性がある」とかいう話になり、5月の証言が採用されないことになってしまったから、ひょっとして無罪なんていうこともありえるのかな〜とちょっと引っかかっていたのだ。
私は昨年5月に虐待の事実が明らかになった際に「イラク人虐待の象徴となった女」で、自分が彼女の立場だったら同じことをやっていたかもしれないと書いた。今でもその気持ちは全く変わらない。というよりも、自分の性格の悪さからいって、その場にいたら絶対に虐待に加担していた気がする。それでも、あれだけの悪事を働いたなら、上司がどうこういう前に1人の人間として当然罰せられるべきだという気持ちにも変わりはない。
彼女に同情の余地があるとしたら、小柄な女性だったから注目されやすかったってことだろうか(久しぶりに写真を見たら随分太っていた…)。私が新聞社・雑誌社の編集長で何百枚もの虐待写真を入手したならば、やはり彼女の写真を一番大きく載せようとするだろう。男性兵士が虐待している写真よりもインパクトがあるからだ。それはゴシップ中心のイエロージャーナリズムだろうと高級紙だろうと変わらない。実際、私が見たすべての新聞のサイトは彼女の写真を大きく扱っていた。その結果、多くの人はリンディ・イングランドの名前は忘れていないのに、虐待に加担したほかの兵士の名前は全くといっていいほど覚えていないということになった。
BBCによるとイングランドの上司で虐待を命じたとされるグレーナーJr.が禁固10年だから、彼女の刑期はもっとずっと短いだろうと予想する。上でリンクしたAP通信の記事(AOLニュース)併設のアンケートだと、「どれだけ厳しい量刑が適当か」との質問に「最低限」との回答は47%と半分近くを占める。「最大限」は30%で「中間」は23%。それでは「実際に量刑がどうなると思うか」には「中間」が52%、「最大限」が29%、「最低限」が19%となっているのが興味深かった。私が参考にした時点のアンケート結果は、日本時間午後9時前の段階で回答数は3万9699件。
これとは別に、イラク関連で見つけたのは英オブザーバーの記事で、米政府がイラク復興費用の提供を国民に募ったところ、これまで集まったのは2週間でわずか600ドルだって話。思わず600の後ろにミリオンか何かが抜け落ちているのではないかと最後まで読んでしまった。天災なら募金をする気にもなるけど、米政府の呼びかけでイラク復興費用を募金する気には私だってなれないから、まあ当然の反応ではある。
【追記】
イングランド上等兵には27日、不名誉除隊と禁固3カ月の罰が下った。(9月28日記)
なんかやだな…。