そんな私でも8日付の最新エントリーは思わず全文読んでしまった。内容はハリケーン「カトリーナ」についての報道について。各メディアはブッシュ政権の対応が遅く不十分だとして思う存分に糾弾している。まるで昨年の大統領選の仇をカトリーナでとるかのよう。マスコミの攻勢はウォーターゲート事件以来の厳しさとの声もあるほどだが、ローゼン氏はそういった報道を冷静かつ客観的に検証している。印象に残ったのは次の部分だ。
Spine is always good, rage is sometimes needed, and empathy can often reveal the story. But there's no substitute for being able to think,and act journalistically on your conclusions. What is the difference between a “blame game” and real accountability? If you’ve never really thought it about it, your outrage can easily misfire.硬い文章なので勝手に意訳してみるとこんな感じだ。「気骨はいつだって価値があるし、時には怒りだって必要だ。感情移入(の結果)が記事になることだってよくある。しかし、考察に代わるものはない。「非難ゲーム」と説明責任の違いはなんだろう? もし、あなたがそれを真剣に考えていなかったら、あなたの怒りは意図した効果を全くもたらさないかもしれない」
そして、市当局、州政府、連邦政府それぞれは何に対して責任があるのかを考えて自分なりの結論を出していなかったら、満足に取材することは不可能だというのだ。これはカトリーナだけの問題じゃなくて、日本での災害・事故報道でも感じることがある。何かが起きると冷静な考察はどこへやら。短絡的な「犯人・責任者」探しをして感情的に叩いたり、上っ面だけ取り繕った内容の乏しいインタビューなどが多いような気がする。
CNN/USA Today/Gallupが9月8−11日に実施した世論調査では、回答者の49%が「メディアは責任者探しに時間を使いすぎる」と答えた。フロリダの陸軍州兵からは、アンドルーのときは相当数の州兵が被災地に入るのに5日かかったのに、カトリーナは3日だったから連邦政府の対応は遅くないなんていう声も挙がっている。(post-gazette.com)
ここ数年、普通の人が情報を自由に発信できるようになったのは(たとえ内容が玉石混交でも)、喜ばしい。私はつい何年か前まで、新聞やテレビで伝えられることを額面通りに受け止めてきた。インターネットの普及により、マスコミの報道を客観的に見直せる機会ができるなんて考えてもいなかった。これまで構造改革なんてまったく無縁だった既存の大手マスコミも、あと何年かしたら大きく変わっているだろう。