2005年08月31日

消えた傘

 私の前を走っていた自転車から何か落ちた。グレーの細長くて小さな包みだ。自転車に乗っているサラリーマン風の男性は気づいていない。「すいません、何か落ちましたよ」と声をかけたのだが、私にも気づかない。

 今にして思えばここで判断を誤った。止まってその包みを拾えば良かったのだ。ママチャリに乗っていたら拾っていたかもしれない。私はスポーツタイプのサドルの高いチャリに乗っていたので、自転車から降りないと手が届かない。無意識のうちに「面倒くさい」と判断、前の自転車に追いついた。この間数メートルだったと思う。

 今度は向こうも気づいた。「何か落としましたよ。すぐそこ」と振り返ったら、落としたあたりには何もない。人は数人歩いているのに、手にそれらしき物を持っている人も、しゃがみかかっている人もいない。「あれ、グレーの包みを落としたように見えたんですけど、気のせいかもしれません」と、急に自信をなくした。

 その人は、荷物を調べて「いえいえ、傘がなくなっています。折り畳み傘です」という。やっぱり幻覚じゃないよな。そういう意味では安心した。「もっと手前だったかも」と2人して少し逆戻りしてみたのだが、あたりを見回しても傘は影も形もない。

 ほんの数秒だったと思うのに、折りたたみ傘なんていうありふれたもの(普通の折りたたみ傘よりも小型で軽量のやつみたいだった)が、あとかたもなく消えてしまったというのが自分でも信じられない。よく海外旅行の体験談で、「ホテルのフロントでチェックインの手続きをしているとき、ほんの少し目を離したらカバンがなくなっていた」とかって聞くけど、まさにあんな感じだ。
posted by らくだ at 22:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | 更新情報をチェックする
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