2004年09月19日

オレオレ詐欺被害者の体験記その2

 9月7日に書いた「オレオレ詐欺被害者の体験記」に、きょうになって本当に被害に遭ってしまった人からのコメントが寄せられた。被害者のタイニーさんは本当にお気の毒で、読んでいてこっちがつらくなる。同時に犯罪者への怒りがこみ上げてきた。オレオレ詐欺って大方の人が認識しているよりもずっと身近な犯罪になっているのは間違いない。

 Internet Watchによると、ことし1月から7月のオレオレ詐欺認知件数は7623件、そのうち実際に被害にあったのは4647件。ざっと6割だ。まぁ、被害を未然に防いだ人は「あ〜よかった」と安心して届け出ない人もいるだろうから、実害にあった人の割合が大きくなっているとは思う。それにしても、ちょっとこの数字多すぎませんか? しかも被害総額は77億2023万円、平均すると1件当たり166万円の被害になる。検挙は580件だから検挙率は12%ってとこ。

 その上なっとく法律相談を読むと、たとえ犯人が検挙されてもお金を取り戻すのは大変そうだ。提訴に時間とお金がかかるだけでなく、犯人に財産がなかったらそれまでとか…。

 こんな深刻な事態に警視庁はどうしているのだろうとホームページを覗きにいって見つけたのが、敬老の日スペシャル警視庁特別カードというオレオレ詐欺防止掲示板セットとメッセージカード(ぜひリンク先に飛んでいって見てね)。拡大してみて思わずのけぞった。なんじゃこりゃ。「あの〜警視庁のみなさん、ご存知ですか? オレオレ詐欺って日々進化しているんですよ。こんな子供だましみたいなグッズで犯罪が防げると本当に思っているんですか?」といいたい。犯罪者側が大学生か大学院生の知識をもっているのに警察側が幼稚園児か小学生レベルだね、これじゃ。なんかもう、お先真っ暗だ。

 交通事故を装ったオレオレ詐欺が増えているのだから、「実際に事故があったときの処理はこういう流れになります」っていうのを発表すればいいのに。また犯人側が対策を講じてイタチゴッコになるからと諦めているんだろうか? ちょっと怠慢すぎるよ。

 マスコミも力不足だ。「オレオレ詐欺があって被害者は○○○万円を騙し取られました」というような報道は数あれど、どんな方法で騙されたかの具体的な説明はない。模倣犯が出たらまずいと思っているのかなぁ。だから一般市民は「またオレオレ詐欺なの? なんでこんなに話題になっているのにこの期に及んで騙されるのかなぁ」などと油断しているのだ。次に被害に遭うのは自分かもしれないのに。

 そういう意味では、ブログなどネット上で手口が読めるのは本当にありがたい。でも、大方の場合、こういう情報を得られるのは自分から探した人だけなんだよね。騙されて、あるいは騙されそうになって初めて手口を調べる人もいそうだ。

 そういうわけで、先日リンクしたサイトを含め、参考になりそうなサイトを以下に列挙するのでぜひご覧ください。英語の電話がかかってくることもあるそうでビックリ。

【関連サイト】
オレオレ詐欺の最新手口(悪徳商法・詐欺の犯罪対策室)
オレオレ詐欺、4部作(from Shun)
実体験!オレオレ詐欺の手口1(Filtration)←9月7日のエントリーで紹介した体験記(全5回)の1
posted by らくだ at 17:17 | 東京 ☁ | Comment(10) | TrackBack(0) | 話題 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
むぅ、マスコミとしては手口を細かく紹介することにより「こうすればできるのか」と真似されるのを恐れているんですかねぇ
#というよりも、「手口を紹介したから増えた」と批判されることを恐れて及び腰になってる?
Posted by あるる at 2004年09月20日 10:16
 私が聞き知っている限りでは、まったく違う事件ですが警察側から「模倣犯が出るかもしれないから、明らかにするのはここまで。これから話すことは報道しないでください」みたいなお達しが出た例があります。オレオレ詐欺について、自己規制しているのか、保身を考えているのか、何も考えずにこれまでやってきたように伝えているのか、知るよしもありません。

 警察もマスコミもなるべく早く「敵はあなたの個人情報を仕入れて芝居を打ってくるので、丸腰だと騙されます。たとえば犯人が知っていた個人情報にはこんなものがあります」という形で具体的に情報を開示して警戒を促してもらいたいです。
Posted by らくだ at 2004年09月20日 22:39
らくださん。本当に共感します。自分が悪いとはいえ、警察の方には真剣に考えて欲しいです。人が現実に死に至るわけでもないので後回しになっているのでしょうね。でも、ケースによっては、死に至ってしまった方もいると思います。我が家は貯金を全額振り込んでしまったわけではないので、離婚とか、自殺とか、そういった類のケースまでは進みませんでした。額が被害者にとって大きければ死まで考えるのは当然な気がします。私だって・・・考えましたもん。

もう少し、警察から電話があったら・・・とか、事故処理の仕方とか・・・私以外にもそういった知識の乏しい人のために情報は欲しいです。私は実家が遠いので、今度、実家の父が・・とか何とかで、俺俺がまたかけてきたとしても、払ってしまいそうなんです。今すぐは大丈夫でしょうけど、少し経ってからはもう引っかからないとはいえません。銀行にも振込み後すぐに引き落とせなくするように対策を練ってほしいです。私の場合、口座を10分後に凍結しましたが手遅れで、2箇所のコンビニあるいはスーパーのATMにて引き落とされていました。これ以上被害を拡大しないためにも何とかしたいですね。
Posted by タイニー at 2004年09月21日 09:21
 10分の間に2カ所でおろせちゃうのですか…。こうしてみるとハイテクも便利なようでいて、弱者に優しくないですね。

 これまで実績のない口座振込みについては、資金移動に一定の時間がかかるようにするとかできないんですかね。

 警察も「騒ぎに巻き込まれたとされる本人とまず連絡を取ってください」とかアドバイスしているようですけど、連絡が取れないように妨害されてしまったら、万事休すですよね。やはりどう考えても、犯罪者の方が役者が上です。
Posted by らくだ at 2004年09月21日 22:10
先日私の両親もおれおれ詐欺の被害にあってしまいました。なんとか被害額を取り戻したく、情報を集めています。タイニ−さん、個人的に連絡とりたいのですが、メールいただけませんか?bea-hap73@ttmy.ne.jp
です。よろしくお願いします。
Posted by しょっくりん at 2004年09月27日 12:33
しょっくりんさん、
 初めまして。タイニーさんが今でもこのページをみているか分からないのですが、連絡がつくといいですね。
Posted by らくだ at 2004年09月27日 21:16
私はアメリカの経済紙の記者のマーティンです。東京支局で働いています。今、オレオレ詐欺について記事を書いています。この詐欺の手口をできるだけ広く、世界で報道したいと思っております。そのため、実際に被害に遭った方のお話を直接に伺わせていただきたいと思っております。よろしくおねがいします。martin.fackler@wsj.com。電話番号は03-3595-7564。
Posted by マーティン at 2005年03月16日 14:26
マーティンさん
 初めまして。ウォールストリート・ジャーナルの記者さんがこんな場で情報収集されているなんてびっくりしました。

 この記事はかなり前のものなので、あまり人目につかないかもしれませんが、誰かから連絡があるといいですね。

 両親が被害にあったというしょっくりんさんがメールアドレスを出して前の方にコメントしていますから、連絡してみたらどうですか?
Posted by らくだ at 2005年03月16日 23:36
らくださん、
ご返事、ありがとうございました。被害者のかたを探すのはなかなか大変です。皆さんは多分、恥かしいから、被害に遭った事についてあまり話したくないだろうと思います。でも、被害者だから、悪い事をしたというわけではないですね。
Posted by マーティン at 2005年03月23日 11:33
マーティンさん
 このオレオレ詐欺について、私は当初「マスコミがあれだけ伝えているのに引っかかるほうが悪い」と思い込んでいました。たぶん、いまでもそう思っている人はたくさんいるでしょう。

 だって手当たり次第に「母さん、俺だよ」って電話をかけるのと、個人情報を入手したうえで「あなたのご主人が交通事故を起こしました」って電話をかけるのでは、レベルが全然違いますよね。マスコミの報道があまりにも画一的だったので、ネットの方がよほど警戒を促すのが早かったです。

 マスコミが「あなたの個人情報を知っている人から電話がかかってくることもありえる」と伝えだしたのは、最初にこの話を書いてから1カ月ぐらいたっていたと思います。

 あと、被害に遭ったら「もう思い出すのもイヤ」って人も多いかもしれません。
Posted by らくだ at 2005年03月25日 00:11
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