彼は独身の電気技師。英国には合法的に滞在していてロンドンには3年間住んでいたという。ロンドン警察は彼の「服装と態度」が誤解を招いたとしているが、それに加えて住んでいたところもまずかった。
前日の事件で爆破しなかったリュックの中から彼の住んでいるロンドン南部Tulse Hillの住所を示すものが見つかって私服警官が張り込んでいたところ、野球帽に青いスウェット、バギーパンツ+夏には不自然な厚手のコート姿で彼が午前10時ごろに家から出てきたという。地下鉄駅に向かったところで警官は逮捕を決意し制止を命じた。彼はそれを無視、改札を飛び越えて地下鉄に飛び乗ろうとした。厚手のコートを着ていたものだから、その下に爆発物を巻きつけている可能性があるとみなされ、瞬時に5発の銃弾を撃ち込まれた。
彼の身元が判明する前から議論はあった。ほかの市民も回りにいる中で至近距離から5発も撃つ必要があったのかどうか。自爆する恐れのある人間に対しては、体ではなくて頭を狙うのが鉄則だそうで、『下手に負傷されて自爆されたらさらに被害が広がるから、しょうがないのかな』と、それなりに納得していたのだが、まさかこんなことになるとは…。こういうときに「遺憾」とよく言われるが、真心が感じられない言葉だ。字面だけで反省・後悔を示す便利な言葉だと思う。
彼がなぜ逃げたのか分からない。相手は私服だったっていうから、警官とは思わずヤバそうな相手だと思って逃げたのかもしれない。「警察だ!」と言われて信じなかったのかもしれない。こんな形でテロ関連の死者が1人増えたってことが、ただ悲しい。テロにまったく関係ない英国在住のイスラム教徒も戦々恐々としているに違いない。
【参考記事】
Man shot in terror hunt was innocent young Brazilian(The Observer via The Guardian)
Shot man not connected to bombing(BBC)
爆発物の入った荷物に彼の住所を示すものがあったといのは、犯人がわざといれていたってこともありますよね。そんなものとか服装で警察は確信してしまうのかって、裏づけとしては心もとない気がします。市民を守ろうという気持ちは分からないでもないんですが。
テロに遭わない心配だけじゃなく、テロリストに間違われない心配もしなくちゃいけない世の中になりましたね。不必要な厚着をしないで、野球帽をかぶらず、リュック・バックパック類も決して持たないってところでしょうか。
「遺恨」ではなく「遺憾」ではないですか?
ご指摘ありがとうございます。ただいま訂正しました。
>やぎさん
私も最初はそう聞いた覚えがあります。床に押さえつけたとか何か…。あと最初のテロ絡みではエジプトでつかまった人が無関係だったそうですね。