2005年07月19日

ネット書評バトルの行方

 昨日友人からアマゾンの書評をめぐるバトルを教えてもらった。問題の本は吉田望という人が新潮新著から出している「会社は誰のものか」(バトルの原因となった書評は既にリンク先から削除されている)。

 ことの経緯は、評者nomadica氏のブログに【まとめ】AMAZONレビューをめぐる著者とのやりとりというエントリーがあるので、こちらを読むと分かりやすい。本の著者である吉田(ハンドルはbold)氏のブログは、きのうまで「amazon書評者nomadicaとバトル中…」というエントリーがあったのだが、きょうはそれが「amazon書評者nomadicaにお詫び」というタイトルに変わっていて、文頭に23行の反省の弁が書き加えられていた。

 著者本人が読めばショックな書評だったのかもしれないが、誹謗中傷しているわけじゃない。第三者が客観的に読めば問題はどこにも感じられない。「ふ〜ん。そう読む人もいるんだ」で済みそうな話だ。吉田氏は、nomadica氏が別の本の書評でこの本との比較を論じたことについても「営業妨害」としている(nomadica氏自身も営業妨害といわれれば否定できないと返答)のだが、私は同意できなかった。何冊も本を書いている方にしては「表現の自由」に鈍いような気がする。

 著者から評者にフィードバックが寄せられるというのはいいことだと思うし、双方のブログのコメント欄でのnomadica氏の大人の対応には感服させられた。私だったら絶対あんなに冷静沈着に対応できないもんな。でも、結果としてアマゾンのサイトから書評が消されて決着した格好なのはちょっと残念だ。

 私はアマゾンの書評はそれほど参考にしたことがない。ひねくれ者の私のこと、星4つとか5つばかりの本を見かけたら却って「サクラを使っていい書評ばかり書いてもらってんじゃないの?」って疑うかもしれない(アマゾンでそういう不正を防ぐシステムを導入しているかどうか知らない)。読む人全員に共感してもらう文章を書くなんて不可能だ。

【関連エントリー】
ネット書評バトルの宣伝効果(8月3日)
posted by らくだ at 00:11 | Comment(11) | TrackBack(1) | Web&ブログ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
む〜〜〜〜(汗)
なんちゅうか、ガキですなぁ(汗)<著者の人

わたしはAmazonの書評とかを参考にしてるほうですが、Amazonの評はサクラとまでは思いませんが、「いい」と思う人が書く率が高そうなんで甘めになっているのは確かでしょうねぇ
Posted by あるる at 2005年07月19日 00:55
書評なんていりませんよ、あんなもの。
どんな高名な評論家が絶賛しても、自分が面白いとかすばらしいとか感じるとは限りませんから。
ああいうのがあるとやはり売り上げが上がるんでしょうか?
Posted by ぶたまねき at 2005年07月19日 06:27
インターネットの世界はバカでもアホでも発言できる(もちろん僕のコメントもそう)。もうちょっと何とかすべきだとは思いますが、ネットの世界で見るバカと、新潮新書で本を出した著者とが同類に見えるというのも不思議なことです。実名だからと言って必ずしも理性的な発言ができるわけではないのだと分かりました。ネットを規制するのなら別の方法がよさそうですね。ネットのない時代だったら著者の正体が暴かれることも無かったんだろうし、非実名かつ顔を出さずに発言が出来る環境はずっと残して欲しいですね。
Posted by やぎ at 2005年07月19日 14:10
インターネットでの文字のやり取りでは、お互いに相手のことは分かりません。しかし、全く分からないわけではありません。書き込みした内容から相手がどのような人物かを少しは推測することができます。

なぜ、推測することができるのか。それは、書き込んだ文章には、書き込みした人物の人格が反映されているからです。つまり、書き込んだ人物の一部分を直接見ているのと同じことだからです。もっと分かりやすくいうと、日常生活で自分が「Aさんはこういう人、Bさんはこういう人、Cさんは・・・。」と認識することと同じことだからです。

すなわち、書き込みを見た読み手が受け取る印象は、日常生活において、書き込みした本人と直接出会った時に感じる印象と同じだと考えることができます。

だから、社会的地位が確立されている人物であっても人格に問題のありそうな人物の主張は、「本人が書き込んだ文章から感じる印象」だけで「この人物の主張は信用できない。」と判断することができます。今回の書評バトルはその一例ですね。


・おまけ
さて、自分の主張を展開したハググですが、「文章から感じる印象」だけで判断するなんておかしいと考える人もいると思うので身近な例を一つ書き込みます。

写真好きな人には心当たりがあると思いますが、別に写真うつりが悪いわけではないのに「自分が格好良く写っていないので気に入らない。こんなの自分ではない。」ということをしていませんか。カメラやプリクラは被写体に媚びたりしません。ありのままを写します。出来上がった写真に写っている自分は、どんなに気に入らなくても間違いなく自分自身なのです。いかに印象が悪かろうと自分の一面なのです。文章も写真と同じです。自分の一部分なのです。書き込んだ本人の特徴が知らず知らずのうちににじみ出ているのです。だから、「書き込んだ文章から感じる印象」も結構参考になるわけです。

最近、書き込み過ぎている気がするハググ。次の書き込みは一段落ぐらいに短くできないか模索中(笑)。
Posted by ハググ at 2005年07月19日 19:17
 ちょっと前の日経新聞でリービ英雄が「書くことは、さらされること」だと話していたのを思い出しました。個人の匿名ブログでも、有名人の書く本でもそれは変わりませんね。「文は人なり」ってことでしょうか。

 何年か前に異業種交流会みたいなところで出版社の書籍編集者から話を聞く機会がありました。将来見込みがありそうな書き手は、どこか変わった人やアクの強い人が多いそうで、「誰もが誉めるイイ人」より「どこからみてもイヤな奴」の方が売れる本を書く可能性が大きいとのことでした。この著者にも凡人を突き抜けた個性を感じ、あのときに編集者が話していたのはこういうことだったのかなと思ってます。

 ひょっとすると、ネット上で書評バトルが話題になったことで、本と著者の知名度が上がって結果的に宣伝になっていたりして…。
Posted by らくだ at 2005年07月19日 21:35
「馬鹿と天才は紙一重」と言いますし「個性がある人」≒「変わった人」なんでしょうね。大勢いる平均的な人では、「売れる本」はなかなか書くことができないということですか。らくださんのおっしゃる通り、今回の件で著者にとっては良くも悪くもいい宣伝(知名度が上がる)になったのでしょうね。   ≒・・・約(ほぼ同じという意味で使いました)
Posted by ハググ at 2005年07月20日 00:01
アマゾンでレヴューしてますが、懸命な読者は自分の判断で買います。☆ひとつしかなくても、それは個人の感じ方であり「営業妨害」だなんて被害妄想だと思います。最近「※ カスタマーレビューは他のお客様により書かれたものです。ご購入の際はお客様ご自身の最終判断でご利用ください。」などとわざわざ注意書きされるようになりました。
おかしな話ですが、書評に対して書評をするという人がいることも事実です。気に入らないレヴュアーに対して、マイナス票をごっそり投じるという嫌がらせも後を絶ちません(わたしもされています)。
そういう陰湿なものに比べたら、ある意味直接対決したわけですから、それはそれでいいことだと思います。でもわたしも冷静には対応できませんね。バトルに疲れたから謝って終わらせたのかもしれませんが、「言論の自由」という点では、話し合って頂きたいと思います。
Posted by おかめ at 2005年07月20日 01:13
似たような話、とは言えないかもしれないけど、石原都知事が「フランス語は国際語失格」と発言して提訴されたらしいが、あのおっさんは偉い。理路整然と自分の主張を説明し、自分の発言は間違ってはいない、といった。

一旦主張した内容を、どこかから突き上げを食らったら、あっさりと言をひるがえし謝罪するケースが多いように思う。最初からどうでもいい主張だったのか?

自分の主張をするのが難しい世の中なのかもしれないけど、個人的にはしっかりはっきり主張し、簡単には曲げない人間はカッコイイと思う。
Posted by at 2005年07月20日 20:10
2005年7月20日の20時10分にコメントを書き込んだ人へ

石原都知事に関して

糸の切れた凧みたいに定まっておらず、主張している内容をころころ変えていないという点は評価できます。しかし、自分に間違いがあった場合には謝らなければなりません。自分の意見を押し付けるだけでなく「謝罪する」という謙虚な姿勢を持っている人こそ本当に格好いい人間だと私は考えます。

今回の「フランス語発言」の主張内容は明らかに石原都知事に非があります。考えてみてください。逆にフランスの偉い人がこんなことを言ったらどう思いますか?「日本語は漢字、ひらがな、カタカナがごちゃ混ぜになっていて面倒極まりない。だから、日本語は未熟な言語だ。」石原都知事の発言内容は、この発言内容と一緒ですよ。だから、石原都知事はちゃんと謝罪しなければなりません。今後の対応によって石原都知事という人間の器が分かりますね。

らくださん、日記の内容と直接関係ない書き込みをしてごめんなさい。
Posted by ハググ at 2005年07月20日 21:09
 おかめさんは実際にアマゾンで書評を書いているのですね。書評の批評もあるということは、今回のような著者と書評者とのこんなやりとりも初めてではないのかな? 私は友人からメールで教えてもらってびっくり仰天の世界でした。

 おかめさんの経験をほんの少し教えてもらっただけでも、なんだか大変そうだなぁという印象です。ヘタレな私はこのブログで「チラシの裏」的におとなしく読書感想文を書くのが性に合っていそうです。

 石原都知事の話は直接関係ないので、コメントは控えさせていただきます。私は首尾一貫した主張をできる人を尊敬しますが、自分にはそんな能力はなくて間違いだらけの人間だってこともわきまえています。

 ネットの世界だけに限りませんが、「自分は絶対正しい」という思い込みは、私にはとても危険だと感じています。自分が間違っていることに気づいたときは、素直に誤りを認められる人間になりたいです。
Posted by らくだ at 2005年07月20日 23:18
コメント1件削除。理由は以下の通りです。
1)エントリーと関係がない。
2)幸いまだ誰からもレスがついていない。
3)投稿者が「議論も批判も同意もノーセンキューです」としている。
Posted by らくだ at 2005年07月22日 06:42
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Tracked: 2005-07-27 02:50