「風評被害とはなんぞや?」と考えるようになったのは、ある方(ここではAさんとしておく)からメールをいただいたのがきっかけだった。Aさんに了承をいただいたので、内容を紹介すると以下の通り。
Aさんは私と同じく「青春18きっぷ」を使って温泉めぐりをするのを趣味にしている。この夏は信越本線で日本海側を北上し、新潟県の某温泉旅館に泊まる計画だった。ところが地震に伴って信越本線は不通に。そこで予約をしていた宿に連絡して「今回はキャンセルしたい」ことを告げた。
電話の相手(つまり旅館の人)は了解したことを告げたあと、ポツリと「風評被害には悩んでいるんです」というようなことを言ったそうだ。それはAさんのキャンセルとはまったく関係なくたまたま出てきた言葉なのかもしれないが、Aさんにしてみれば『自分のキャンセルも風評被害のうちみたいで、なんだか自分が加害者のような気分になってしまった』という。
この場合、乗りたい電車が動かないという事実に基づいてのキャンセルなのだから「風評被害」とは関係ないはず。Aさんは『移動ルートを変えてその温泉を訪問するべきだろうか』と悩んでいたので、「そこまでする必要はないと思う」と返信メールを出した。
辞書で調べると「風評」とは「悪いうわさ」のこと。今回の中越沖地震の「風評被害」ってやつは刈羽原発のトラブル関連が中心みたいだ。東電の情報公開のもたつきはあったとはいえ「海や農作物が人体に危険なレベルまで放射能で汚染された」なんていうセンセーショナルな報道はなかったように思う。
被災地周辺に出かけるのをやめた人は、トラブルに関する報道(つまり起こった事実)を自分なりに解釈して「なんとなく不安だから行くのをやめておく」という判断を下したんじゃないのかな。別にメディアや特定の団体が先導しているわけではなく、個人個人の判断だ。
実際に起きたことや、その事実に基づく個人の判断を「風評」というものなのだろうか。ネガティブな情報はたとえ事実であってもすべて「風評」とみなされているようにも感じる。「風評被害」という言葉の裏側に「ネガティブな情報を流すな」という意味があるのだとしたら、それは報道の自由を脅かす大問題だ。
O−157の時にカイワレ大根が風評被害に遭ったというのはすごく納得できるし、子供のころに広がった「マクドナルドのハンバーガーは猫肉でできている」なんていうウワサ(これを知っている人は私と同世代以上だ)も風評被害に入るのだろうけれど、今年の2回の地震についてはどこまでが事実でどこからが風評なのか、私にはさっぱり分からない。
風評被害かどうか判りませんがキャンセル率
が例年よりあがっています
キャンセルの増加より「予約が伸びない」
ほうが辛いです。
2004年「地震」2005年「豪雪」、去年「豪雨、寡雪」、今年「地震」・・・
気息奄奄といったところです。
「キャンセルの増加」よりも「予約が伸びない」ほうが辛いというのは、考えたこともありませんでした。実際にかかわっている人ならではの実感なんですね。
被災地にボランティアとして出向いた友人から、某所の女将さんが「廃業するしかない」と泣いていたという話を教えてもらったのですが、とても電話確認してニュースにする気になれなません。ヘタレなもんで、そこまでニュースを追いかけられない…。ある意味で自分と自分のブログの限界を知りました。
犬肉ってのもありましたが・・・