この日に2時間だけ電気を消したからどうなるってもんじゃないだろう、と文句をいいつつ毎年ちょっとだけ参加している。今も部屋の電気を消してデスクライトだけでこれを書いているところだ。一般家庭にどれだけ浸透しているのだろう? 東京タワーは真っ暗だそうだけど、我が家の窓から外を見るといつもと何も変わらない。
2年前のこの日だったか、照明を消してロウソクをつけていたら、カーテンがふわっと広がってヒヤリとしたことがある。インドで生活していたときは毎日といっていいほど停電があり、夜はランプをつかっていた。本を読むのに顔を近づけないと暗い。近づくと暑くてたまらない。地球にやさしい生活は結構しんどい。火を使えば危険も伴う。いつもの明るい便利な暮らしに慣れすぎている。
温泉もそうだ。そこかしこに温泉ができて「ちょいと近所の温泉へ」って、ごく当たり前になった。「あまりにもあちこちで掘り過ぎじゃないのかなぁ」とか「私が地球だったら「いい加減にしろ!」って言いたくもなるだろうな」と思いつつ、新しいところがオープンすると行ってみたくなり、ホイホイ出かけていた。どうみても言行不一致だ。
そこへあの事故。数日たって分かってきたのだが、メタンガスを密閉するとあのような爆発事故の恐れがある。教えてもらったところでは、メタンは二酸化炭素に次いで地球温暖化に及ぼす影響が大きな温室効果ガスで(100年間の地球温暖化係数は二酸化炭素の20倍強にもなり、考えようによっては二酸化炭素の20倍の温室効果があるそうだ)、大気中に放出すると地球温暖化を促進しちゃう。
要するに、南関東ガス田がある一帯で温泉の大深度掘削をしたら、地球をほじくりかえすことと、メタンガスを放出することで、二重に環境を破壊することになる。いままでそんな風に考えたことはなかった。
癒しを求める人がたくさんいるから多くの業者が一儲けを狙って参入してきて、あちこちに温泉ができて、それで今回のような事故が起きて、大気中に自然放出すれば大丈夫って話になって地球温暖化が進む…。そんなサイクルを考えていたら、人間の罪深さをひしひしと感じてここ数日妙に暗くなっていた。
きょうだけは寝るまでデスクライトだけ使い、わずかばかりの罪ほろぼしをしよう。