この「おっかさん」の中には結構こわい人がいる。今回の旅行中、2回も舌打ちされちゃった。両方ともモロッコの駅での話。タンジール(タンジェ)駅構内でベンチに座り、夜行列車の改札が始まるのを待っていたところ、おっかさんがやってきた。髪と体は黒い服とスカーフで覆われているものの、顔だけは出ている。アラビア語で何か言うのだが、こっちは意味が分からない。舌打ちして去っていくのを見て、『あんた、ちょっとこの席譲ってくれない? あたし座りたいのよ』とか何とか言っていたのだろうと推察できた。
もう1回は駅で切符を買おうとしていたときのこと。モロッコでは行列を作って順番待ちなんてことはまずない(ラバト・ヴィル駅だけは別で駅員が整列させていた)。窓口を中心とした半円状の塊を形成し、四方八方から窓口に手を差し込もうとする。私が切符を買おうとした瞬間、おばさんが横から割り込んできた。駅員がおばさんに「あんたは後」とか言ったらしく、おばさんは私の顔をにらんで舌打ち。怖かった〜。
ところ変わってアラブ首長国連邦(UAE)のドバイはコスモポリタンシティ。観光客もさまざまな国から来ている。デザート(砂漠)サファリツアーに参加したら、同じツアーの別の車には全身覆われて目だけ出している女性が2人参加していた。どこの国の人かは知らない。

そんな中、斜面を走り回っていた車が止まり、全身黒ずくめの女性が1人だけ車外に出た。同じツアーの車だ。私は『あ、トイレか。足首まであるコートを着ているから、これだけ車が走り回っている砂漠の中でも気にならないのかな。結構勇気があるなぁ』などと思ったのだが、彼女はおもむろにお祈りを始めた。
この写真を見てちょっと想像してみてくださいな。斜面に止まった車の傍らで地べたに土下座状態にお祈りしている人がいて、周りの車は砂を巻き上げて走り回っているところを。
それから5分ほどしてもう一度車が止まり、今度は別の女性(だと思われる)が降りてきてお祈りを始めた。TPOなんてものよりも信仰が大事なんだろうけど、それにしてもなんで2人一緒にやらないんだ? すごく不思議な光景だった。イスラムのおっかさんにはとてもかなわないな〜と実感した旅だった。
イスラムでは日に5回の祈りの時間は決まっているけど、自分の都合でずらしても良い事になっています。
祈る方向に関してはタクビール(開始の時)にキブラ(カアバの方向)を向いていれば良いそうです。(動く乗り物の中でも祈れます)
私もチュニジアに行きました。ラマダン中でしたが、偶然知り合ったチュニジア人の家庭に転がり込んで、とても楽しくすごしました。
モロッコとチュニジアの間には未知の大国アルジェリアがあるせいか、それとも私がチュニジアに行ったのが昔だからか、モロッコはまた違った感じでした。もちろん、私が行ったイスラム圏の国の中では両国は近い感じです。
お祈りをしたいときにするというのは初耳です。あと、私はイスラムの女性は虐げられているだけだなんて少しも書いたつもりはなく、むしろ強いということを書いたつもりなので、コメントの趣旨がよく分かりませんでした。
>索さん
イスラムの人と共同生活ですか。なんか魅力的な響きですね。私はインド留学中にフィールドワークで1カ月間バングラデシュにホームステイしました。
インドのクラスメートが1人除き全部ヒンズー教徒で、イスラム教について散々ネガティブな先入観を植え付けられていたせいか、すっかりバングラが好きになってしまい、インドに戻ったらみんなあきれてましたっけ。
このときコーランの一説を習っていまでも暗唱できるので、イスラム圏に行くときには役立っています。特にパキスタンでは大歓迎されました。
今回の砂漠サファリで見かけた彼女たちの祈りは1日5回の祈りのうち4回目のmaghribにあたるものでした。モロッコだったらまさに「マグレブ諸国」だったからピッタリだったんですけどね。
エミレーツ機は個人のモニターにカーバ神殿の方角が示されました。ドバイで泊まったホテルにも天井に矢印があったけど、モロッコでは見かけませんでした。
日本人も「おばさん」だったらかなりタフだと思いますよ(笑)