「らくださんテレビに出てるよね? 見てますよ〜」
「えっ、あ、あれはたまたま映っちゃったというか何というか、出演というほど大げさな話じゃないし、1年の契約が3月で終了してもう二度と映ることはないから大丈夫だよ。安心して!」
「やっぱり、らくださんだったんだ! 最初に見つけたのはB(別の同級生)なんだけど、同姓同名の別人かもしれないって言ってたんだ。俺はらくださんに違いないって一目で分かったよ。随分ふくよかになったけれど、昔の面影があるし、昔から鋭いことを言ってたよね」
「ちょ、ちょ、ちょっと… ふくよかで鋭い??? テレビに映ったのってプライムでもゴールデンでもなくて見ている人がいないはずの時間帯なんだけど、まさかマツコ・デラックスと見間違えたってことはないよね?」
「ギャハハ、そういうところが変わってないな〜。ふくよかって言ったってさ、まだそこまで行ってないから安心してよ。子供の時のらくださんてアメンボか蚊トンボみたいにガリガリだったじゃない」
要するにアメンボか蚊トンボがマツコに向かいつつあると言いたいらしい。確かに子供のころに比べれば体重は随分増えたし、今じゃ健康診断のときに「痩せすぎ」と書かれることもない。それでも標準体重だと自覚していたし、「随分ふくよか」なんて言われたのは、多分生まれて初めてのことだ。
ショックは大きく、何も言い返せずに適当に会話を切り上げて電話を切った。毒舌はどっちだよ!! 昔はクラス内で「Aの言うことじゃアテにならないな〜」みたいにバカにされていたのにさ…。
何がショックって、これが
これですよ?(マツコさん、ゴメン)
こんな変身モノがあったらコワすぎる。寝ている子も泣き出すに違いない。待てよ、ホラー映画にはなるかもしれないなぁ。男性がハエになる秀作映画「ザ・フライ」もその昔にヒットしたし。ハリウッドで映画化する際は、ぜひ過渡期役に抜擢してください。監督には「ザ・フライ」のデビッド・クローネンバーグを逆指名!といきたいところだけれど、まだ現役で活躍しているのだろうか。