2005年02月07日

消されたブログ、消されなかったブログ

(6日に投稿するはずだったエントリーです。サーバ落ちのためアップが遅くなりました)

 例のNHKと朝日新聞問題について、私とまったく違う考え方のブログ「しがない記者日記」の存在を友人からメールで教えてもらった。それから数日おきに訪ねていたのだが、さっきみたら全エントリーが削除されていた。

 削除されるまでの経緯はブログ「幻影随想」さんに詳しく載っている。私が興味を持ったのは、このしがない記者さんが『朝日新聞の捏造(報道)はこの場合ありえない』というようなことをかなり断定的に書いていたから。もちろん一言一句たがえず覚えているわけじゃないし、エントリーを消されてしまった今では確認もできないが。「しがない」と謙遜しつつも記者さんなのだから、何か私とは違う情報をお持ちなのだろうと思った。ウォッチしているうちに「しがない記者日記」にコメントが殺到。2ちゃんねるで話題になったらしい。結局は名前と所属まで暴かれて全エントリーを削除してしまったようだ。朝日新聞の記者さんだという話を読んで妙に納得した。

 コメントは真面目な意見や批判も多かったのに全部削除されてしまって残念。個人名を特定されては仕方ないのかもしれないが、ブログという双方向のコミュニケーションが可能なツールを使っているのだから、ディベートとして発展していくのに期待していた。

 ちょうど1カ月前にも同じように全エントリーを消したブログがある。北海道の放送記者が書いていた「素晴らしき世界」だ。こちらで話題になったのは、インド洋大津波の被災者とイラクで人質になった日本人を同列にして『人質に自己責任だとか飛行機代を払えというのだったら、津波被災者にも同じことを言わなくてはおかしいのではないか』というような記事。こちらもネット界で話題が炸裂し、いつの間にか全エントリーが削除されていた。こちらは削除したことについての説明が残されているだけ、読者のことを考えているといえるのかもしれない。

 一方、大騒動になっても消されなかったブログもある。共同通信の編集委員室有志が持ち回りで書いている「署名で書く記者の『ニュース日記』」だ。昨年6月26日のエントリー「社長日記に異議アリ!」で、ライブドアの堀江社長に噛み付いた。「CEOの堀江という人」などと肩書きからして間違えているところがイタタ…なのだが、スポーツジム通いや食べ歩きの話を堀江社長が自分のブログ「社長日記」に書いていることについて「いかに商売がうまくいっているといっても、この程度の内容を載せて、結果的に若い人たちをだまくらかすのはちょっとどうかと思う」、「ちょっと言いすぎたかもしれないが、こういうのが鼻持ちならないというやつだ。読んでいる人たちにはぜひ言いたい。こんなのにだまくらかされていてはいけない!」とバッサリやった。

 これに気づいた堀江社長は、「署名で書く…」の当該エントリーにリンクを張りながら「なんか鼻持ちならない人間らしい>自分。こんなこと言われたのはじめてかも。感動。もっと感動したのはスノッブだといわれたこと」と大人の対応。ちょうどライブドアが近鉄の買収に名乗りを上げた時期が重なり、堀江社長のブログ訪問者が増えたところ。リンクされた「署名で書く…」も訪問者が急増。コメント欄には堀江社長を擁護する意見が多かったが、翌27日の「署名で書く…」は、「会社の戦略!?」というエントリーでさらに追い討ちをかけた。
(略)web上の文章もまた、書いた人間を表す。「文章は人」だからだ。長い(ただ長いだけだが)記者経験から、僕にはそれが分かる。だから、この「社長日記」の文章を読めば、この堀江というlivedoorの社長さんの人間が読める。人間は、どんなに背伸びをしても、正体を隠そうとしたとしても、しょせん、その人間以上の文章は書けないのだ。また、会社の戦略であろうが、書いたものレベルが低いことの言い訳にはならない。以上をトータルして、僕はこの「社長日記」の内容は「スノッブ」そのものだし、鼻持ちならないと思う。それはたぶん、この社長さんの人間自体がそうだからだ。
これが火にアブラを注ぐ結果となり、結果としてこの「署名で書く…」は2カ月更新されずに放置状態となった。鈍感な私だって、この文章には企業ジャーナリストとしての「選民意識」みたいなものを感じた(これはほかの2つにも共通する)。

 この「署名で書く…」が最近の2つと違うのは、実名で書かれていたことと、エントリーだけでなくコメントやトラックバックも削除されなかったことだ(一部のコメントが削除されたという情報あり)。もっとも、ビビッてしまったのか再開後は当たり障りのない内容に終始していて全く面白くなくなってしまい、最近ではほとんど訪問することもない。

 3つのブログの騒動を見物して、自分の意見を書き表すことも難しいけど自分の書いたことに最後まで責任を取るのはさらに大変だということを教えてもらったような気がする。朝日新聞とNHKの全面対決、報道関係者の取材姿勢や取材される側の責任を省みる意味でも絶対に白黒をはっきりさせてもらいたいものだ。法廷に持ち込んだり、すり合わせをしなくても、事実は簡単に判明しそうなものだが…。

【関連エントリー】
看板に偽りあり(NEWS23) (2月8日)
アメリカでもブロガーが「記者」を攻撃(2月12日)

【追記】今回の騒動について書かれたさまざまなブログをRAGEさんの松坊堂日乗「しがない記者日記について」がまとめ、各記事にリンクを張っている。膨大な量だ。当ブログも「『okumagoro氏を批判はするが,個人情報晒しは行き過ぎだ』派,或いは中立派」として載せていただいている。感謝!


posted by らくだ at 08:18 | 東京 ☀ | Comment(2) | TrackBack(3) | 話題 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
申し訳ありません。
Seesaaが不調のようでTBがいくつも行ってしまいました。
ご不快でしたら重複分は削除してください。
失礼いたしました。
Posted by 黒影 at 2005年02月08日 16:55
ご丁寧なお知らせありがとうございます。私もSeesaaユーザーなので不具合には慣れております。

 それよりも黒影さんはあんなに話題のエントリーを書きながら、このような泡沫ブログにまでトラバ返ししているのですね。律儀さにビックリ&感動しました。
Posted by らくだ at 2005年02月08日 20:20
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Tracked: 2005-02-07 21:39

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Tracked: 2005-02-08 16:49

しがない記者日記について
Excerpt: 誉めてもらえたわーい.これを肥やし(燃料?)として今後も励みますのでよろしく (何に?)
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Tracked: 2005-02-10 17:49