2004年05月28日

ニューヨークタイムズの反省

 米紙ニューヨークタイムズ(以下タイムズ)が「タイムズとイラク」という一文を掲載している。アメリカをイラク戦争に導いた責任の一端があることを認め、反省しているのだ。

 タイムズはイラク国民会議(INC)のチャラビ議長を名指しし、「このところ信頼性が論議の的になっている海外亡命者らに情報の一部を依存した」ことを認めている(チャラビはマスコミだけじゃなくて米政府も信頼していたみたいだけど、最近になってイランに情報を流していた疑惑が浮上している)。

 タイムズが問題を認めている記事の具体例は以下の通り。
2001年10月26日付と11月8日付の1面
 亡命者の情報として、イラクにはイスラム教テロリストを訓練し生物兵器を製造している秘密キャンプがあると伝えた。こうした情報は独自には確認できていない。

2001年12月20日付の1面
 生物・化学・核兵器の秘密工場で働いたエンジニアだというイラク人亡命者の話を伝えた。ただし、ナイトリッダーが先週伝えたところによると、米当局者が本人を現場に連れて行ってもこうした兵器製造の証拠は得られなかった。
 以上は抄訳で原文はもっと詳しいし、ほかにも問題の記事が紹介されているので、興味のある人は一番上にリンクをはった原文をご参照あれ。

 このところリベラル派の間ではタイムズの人気は低下気味だ。過去3、4年で報道の質が低下したという声を良く聞く。捏造問題なんかもあったしね。ワシントン・ポストやLAタイムズに負けているという見方が一般的(あくまでリベラル派の間の話)みたいだ。

 反省文を載せたっていうことで評価する人も多いみたいだけど、結局は同じことを繰り返すと思う。だってイラクに特派員がいなければ、国外にいる亡命者に話を聞くしかない。イラク問題を報道しないわけにいかないから。国外にいる人なら英語も話すだろうから取材は簡単だ。その相手が「目障りなフセインを追放できるようにアメリカの世論をもっていきたい」という意図があるかどうかを見抜くのは困難だ。これからもいいかげんな報道が垂れ流されるだろう。

 そして日本の新聞はこういう情報を「○日付のタイムズによると…」って転電するはずだ。翻訳は楽だし、たとえ大元の情報が間違っていても「悪いのはタイムズだ」って言い訳できるもんね。今回タイムズが反省している個々の記事も、たぶん翻訳転電しているところはあるはず。もちろん知らん顔して済ませるんだろうな。日本国内の報道だって、1年前とか5年前の記事を読み返してみると「え〜っ!」って絶句しそうな記事がありそうだ。
posted by らくだ at 00:10 | Comment(6) | TrackBack(0) | メディア | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
30日午前 家人の好きな朝日TVで、新聞社がが反省していた。らくださんのこの記事見ていたので…フウ〜ン…全く自主性がないなあ〜でした。 また、北朝の総理の出迎えがなかったのを直ぐに「馬かにされたと報道」総理が出迎えを頑固に拒否していたのを知らなかったからだと言い訳をしていたそうだ。なんと言う言い訳なんでしょ? 報道人としての基本的なものが無いように感じる。 また今回の評価の賛否報道にしても・…おいおいお前はほんとはどう感じているの?
なんとも、私はお馬鹿な瞬間湯沸し人間になってしまうのです。
Posted by 演芸場の観客 mos.mos.hedawhig at 2004年05月30日 23:52
 今降り返ってみると、今回の戦争に至るまでの過程についてニューヨークタイムズは責任を感じるべきだと思います。

 ただ、この反省をしないメディアがほとんどなのも事実で、日本の新聞だったらマネをして反省のメッセージを出すことはあっても、先頭を切って反省することは絶対にないのでは?
Posted by らくだ at 2004年06月01日 00:06
誠に同感です。 
NT 日本のメディア・… 各メディアが枕詞に良く御使いの 「責任の取り方」はいかになさるのでしょう。
ゴシップダブロイド誌と同じ世界観で物事を見ていられるように思います。 
またこれらを許容しているのか、認めているのか、無視しているのか? 
我々、読者にも少しは責任があるのかもしれません。

Posted by 演芸場の観客 mos.mos.hedawhig at 2004年06月01日 15:07
 新聞、テレビ、雑誌を問わず、大手メディアで働く人って実態は「サラリーマン」なんですよね。でも「ジャーナリスト」としてのプライドだけは高いって感じがします。
Posted by らくだ at 2004年06月02日 23:48
感想文と中傷文と批判文・・… 紙一重で、言論の自由といっても むづかしいなあ。 個人では、命は取られたくないし…
企業や新聞社であれば、反省文、謝罪文で終わらせられる、日本の社会。  んんん〜ん。
Posted by 演芸場の観客 at 2004年06月07日 23:51
 やはり受け手の私たちが無批判かつ疑うことなく報道を100%信じ込むのは危険ですね。次の日になってから訂正じゃなくて辻褄合わせの記事を出すこともありますし、やり方はいろいろです。
Posted by らくだ at 2004年06月08日 00:31
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