この人はスリランカのどこで被災したのか知らないが、少なくともコロンボから離れたビーチリゾートであったらしい。水着1枚の着の身着のままで避難。途中で現地の人が洋服をくれたそうだ。2日がかりでコロンボの日本大使館に着いたら誰だって「これで大丈夫」と安心しそうなもんだが…。津波に巻き込まれたと言っても「お金は貸せません」とピシリ。さらに
「貸せるのは130ドルまでです。パスポート再発行には1万円かかります。借用証を書いていただき、利息は1日1%…云々」そうで、この人に心から同情するとともに、大使館の対応には開いた口がふさがらない。幸運にも、翌日には大使館側の態度が一変し、無事にスリランカを脱出できたとか。
窓口で差し出されたのは、なんと4枚にわたる規約と日割りの計算表、返済用の振込み用紙だった。
各種報道をみていても、連絡がつかない行方不明者として伝えられる人数はツアー客に海外の日本人学校関係者をプラスした程度なのでは? 大使館の対応がこの程度じゃ個人旅行者の被災の全貌なんてつかめるはずもない、と限りなく暗い気持ちになっていく。
思えば約20年前にバンコクで会ったバックパッカーは、東南アジアを初めて個人旅行している私に「何かあったら日本大使館に行っても絶対に助けてもらえないから、アメリカ大使館かイギリス大使館に行ったほうがいいよ」と教えてくれた。その時は『ふ〜ん、そんなもんかな。でも、自分の国にまったく関係ない外国人に駆け込まれる英米の大使館にしてみればエライ迷惑なのでは?』とぼんやり思った。幸いにしてどこの大使館にも駆け込んだ経験はないけど、彼が言っていたのはなるほどこういうことだったのかと思わないでもない。
津波による日本人の犠牲者は20数人とかいう話だったが、ここにきて時事とか朝日新聞とかがタイだけで100人以上の日本人が安否不明になっていると書いている。こうした人たちが無事であることはもちろん、日本大使館のお役所体質のせいで二次被害に遭っていないことを祈るしかない。
【追記】3日午後の報道によると、外務省に安否紹介があった旅行者のうち連絡がつかない人は約680人。