ローマ時代の浴場設計士が主人公。ふとしたことから現代の日本の銭湯やら温泉へのワープを何回も繰り返すことになりそこで見たものをローマで再現して…というお話。荒唐無稽ながらなかなか面白い。
浴場の描き方もさることながら、ワープしてやってきた銭湯で日本人を見て奴隷衆だと思い込むのがウケた。古代ローマ人が何の先入観もなく日本人に接して自分たちよりも劣る人間だと判断したという設定に納得している自分に苦笑した。
温泉卵を作っている傍らで入浴している(火傷すんだろ!)という場面など、ちょっと突っ込みたくなるところもあったものの、風呂&温泉好きならグフフ…と笑って読めると思う。
ところどころに挿入されているコラム風の文章によると、作者のヤマザキマリ氏はイタリア留学経験があり、現在ポルトガルに住んでいるらしい。とにかく不思議なマンガ。
普段マンガ本売り場なんて行かないし、連載されているコミックビームなんていう雑誌、見たことも聞いたこともない私にとって、まったく新しい世界だった。たまにはこんな刺激も楽しい。
多分、2巻目も出たら買ってしまうだろう。しかし、そんなにネタが続くんだろうか。大深度掘削技術を持ち帰ってローマ帝国のありとあらゆるところに温泉…なんて展開にならないことを祈りたい。
【追記】作者のヤマザキマリ氏のブログはこちら→http://moretsu.exblog.jp/ プロフィールによると、中学2年の冬休みにヨーロッパ1人旅に挑戦し、17歳でイタリアに渡ってフィレンツェで絵の勉強を始め、現地で結婚してあちこちで生活してポルトガルに落ち着いたそう。中2の冬休みにヨーロッパひとり旅とは、やはりタダものではなかった。