自分では最近話題のJALになるのではないかと予想していたのだが、出発の1週間前になって指定されたのは中国国際航空。北京乗換えだった。成田から北京までの機内で入国カードなどが配られても「不要」などと余裕を見せていたら、トランジットの常識を無視した北京空港のシステムに面食らった。
飛行機を降りたところに「トランジット」の札を持った女性が立っているのはよく見る光景だ。あとについて歩き出したら、トランジットカウンターは閉まっている。連れていかれたのは北京で降りる人が通ったあとの検疫コーナー。
『そっか、鳥インフルエンザとかあるからトランジットでも検疫の質問書を出す必要があるんだな』と素直に書き込んで提出する。次いで連れて行かれたのは、どうみても入国審査。トランジット客は一般入国客と別の窓口とはいえ、入国カードに書き込んで出さなくちゃいけない。なぜか入国スタンプまで押された。
案内嬢は「下の階に行ってから上に戻ってチェックインしなさい」と言って去っていった。なんのことはない。要求されるまま税関申告書も提出し(別に内容なんて見もしないで集めるだけ)、空港の出発ロビーに回って新規にチェックイン。出国審査は一般客と一緒で、入国した早々出国するということで怪しまれてしまった。
「北京で何をした?」
「何もしていません。トランジットです」
「どこへ行く?」
「最終目的地はタイのバンコクです」
「タイに行く目的は?」
「観光です」
と言ったところで、入国審査官はフッと笑ってどこかに電話をして別の係官を呼んできた。私に向かって「彼の後についていけ」という。ひょっとして別室で取り調べ? なんでこんな目に…。幸いやってきた係官はパスポートをパラパラみただけで私が怪しい人間ではないと分かったらしく、すぐに放免してくれた。
きょうの復路はなぜかトランジットカウンターが機能していた。それでもミニ入国審査があり、出入国カードを両方同時に提出、パスポートにもスタンプが1つ押された。行きと帰りで手続きが違うというのも中国らしい。
中国系の航空会社が乗継の格安航空券出すなんてトランジットにすらビザが必要な昔は考えられなかったけど、これからは格安なら中国系が当たり前という時代が来るんでしょうかね。
しかも、帰りは北京での降機、搭乗ともに機体は沖どめで、バンコクで毛穴が開ききった私たちはバスの乗り降りで震え上がりました。南から来た便はかわいそうだからサテライトにつけようなんていう配慮はないもんなのですね。