この本を読んで、「目立つ」「有名になる」「出版にこぎつける」などの見返りを見込んでブログを始めようなんていう人がいるのだとしたら、かなり罪作りな本だと思う。著者のレベルまで行くにはブログを書いて情報を共有するなんていうこと以上に、「私は優秀よ！」「私は他の人と違うの！」「私を見て！」と自分を売り込む押し出しの強さが不可欠なはずだ。
報酬を求めてブログを書いている人は、もともとたくさんいる。個人のアフィリエイトブログを別にしても、いわゆる社長ブログとか企業の○○部が運営しているブログなど。著者のいうように目標を設定してブログを運営すれば成果がでるかっていうと、今までのところそうでもないと思う。
これまでに読んだことのある社長ブログや企業ブログには逆効果と思われるものだって数多くある。たとえば、有名企業の某チームが大学のサークルのノリでつづっているブログとか、中高生の作文並みとしか思えない某社長ブログとか。『このブログを読んで、ブログ主に仕事を頼もうって気になる人はいるんだろうか…』と心配になったことも１回や２回じゃない。ブログをビジネスに生かすことができたのは著者やホリエモンやサイバーエージェントの藤田晋社長など、ごく限られた人たちだけだ。
世の中にあまたいる凡人にいたっては何をか言わんやだ。このブログのアクセスが２００５年の４月末、この記事をきっかけに爆発的に増えた。２ちゃんねるのあちこちからリンクされ、１日１万超のアクセスが殺到、数分おきにコメントが寄せられて手がつけられなくなった。自分の見たこと聞いたこととその感想を書いただけなのに、なんでみんなそんなに興奮するんだろう？ アクセスが増えても、嬉しいどころか困ったし正直いって怖かった。
私がやったことは著者とは正反対。更新頻度を落とし、当たり障りのないつまらないことを書き、新聞・雑誌の取材はすべて断った。とにかく閲覧者を減らしたかった。ひとり言を垂れ流しているだけのブログなんだからそれでいいじゃない。みんながみんな何らかの見返りに期待してブログを書くなんて、欲望がギラギラしていて気持ち悪い。目立たなくていいんだよ。
本書によると「αブロガーの定義は、おおむね、月に５万ＰＶ（ページビュー）と定義する人もいるくらいです」とのこと。この定義が成り立つのだったら、昨年末で更新をやめた別ブログについては私はαブロガーということになる。毎月１０万以上のＰＶがあったから。
でも、こっちもアクセスが増えるといいことよりも悪いことが増えた。自分がαブロガーだなんて実感したことは皆無だったな。情報の共有を目指して始めたブログで、常識が共有できない人の多さに気付いたってところだ。
アクセスが月間１０万ＰＶを超えるブログを運営して知り合えた人は大きく分けて２種類。世の中にはこんな素晴らしい人もいたのか〜というほど感動的な人と、どうしようもないほど非常識な人と。普通の人は黙って見ているだけなのでコンタクトはない。
この２種類のバランスが＞から＜に変わった時点で消耗が著しくなり、ブログを続ける意味がなくなった。具体的には、ある大手企業課長の職業倫理観を疑う行動により、昨年夏の段階で心がポキンと折れちゃった（この人は自身を“純粋”だと自認しているのでつける薬はない）。協力してくれる人に悪いからとズルズル続けていたブログをやめることができたのは、父の死がきっかけだった。
目立たずほどほど、テキトーに。これがブログを始めてからの５年半で身に付けた私なりの「長くブログを続ける方法」だし、今年読んだネット関連本では、やはり「ウェブはバカと暇人のもの (光文社新書)」に一番共感できた。ツイッターもアカウントを取ったまま放置状態。こんな私はいつの間にかネット利用者の落ちこぼれになりつつある。
- 作者: 勝間 和代
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2009/10/01
- メディア: 単行本
まだネットがそれほど発達していなかった学生時代(実は結構歳いってます(笑))、実験の待ち時間に研究室のパソコンでチャットをして暇をつぶしていました。
ネットサーフィンするほど楽しいサイトもさほどなく、強烈な偏見の持論を展開するサイトくらいだったかと。
今のようなアフィリエイトで稼ぐ、なんてビジネスモデルがなかった頃です。
でも、この頃の経験があってよかったなと今はつくづく思います。
私はらくださんの例の記事きっかけで、ここに来ましたが、らくださんが選択された道はすばらしかったと思います。
実は当時の騒ぎを知らなかったのですが、おそらく大変だったと思います。そこで冷静な判断をされたらくださんを尊敬します。
金儲けにギラギラしすぎる世の中、何を成功というのか、疑問ですね。
勝間さんがテレビで見せた、不自然で引きつった笑顔が印象的でした。
「ウェブはバカと暇人のもの」は、最初『ケッ、どうせ挑戦的なタイトルで売ろうっていう作戦なんでしょ』とバカにしながら読んだのですが、読後感は「いえてる…」でした。
「目立つ力」にはブログは見返りがないと続きにくいと書いてあるのですが本当かな？ ただ、自分が見たことや思ったことを文章として形にとどめるだけのブログってたくさんあると思うのですが、なんだか「それは無意味よ！」って言われているみたい…。
＞CHARADEさん
ご無沙汰しております。どうもありがとうございます。個人の趣味ブログですから崇高な理念に掲げているわけでもありませんし、炎上を気にしてビクビクするのも嫌ですが、「人間として卑怯なことをしない、書かない」ことだけは気をつけようと思っています。
「見返り」って何でしょうね。
コメントのことなのか、金銭的な見返りなのか。
見返りを期待するって卑しい考え方だと思いませんか？
>「人間として卑怯なことをしない、書かない」
う〜ん、すばらしい！！
私もらくださんみたいなブログや文章が書ければいいなとあこがれております。
私は言葉が辛らつなのと、一日坊主なので(見返りがあっても無理。)。。。（＾＾；；
ただ、らくださんのように思うのはらくださんのような経験をしたことある人と、他のどこにもないコンテンツを確立しているからこそだと思いますよ。
普通の人は例え金銭的な見返りじゃなくてもやっぱりただの独り言を綴っているだけじゃ面白くなく、コメントをもらったりそこでの意見の交換とか交流を求めてブログを書くんだと思います。
ただ私ですら経験有るんですが、ちょっと意見を書くと重箱つつき的、挑発的に食いついてくる人がいたりするのも事実ですね。それやコメント付率の関係もあって最近はもっぱらmixiへ移行しています。
ブログからmixiなどのsnsへ移行するのも実はらくださんの言う目立ちたくないことの現れかもしれませんませんね。
勝間本を素直に読むと、「何の見返りも期待しない私は、ブログを育てる努力を何もしておらず、無能な人間」と思えてなりませんでした。しかし、周りをみてもブログでステップアップ？している人なんていません。一種の新興宗教みたいなものかもしれませんね。
確かに辛辣なことをネットで書くと跳ね返りが酷いですね。書いて数年たってから誰かに見つかって粘着される、なんてこともあります。
＞mustafaさん
お久しぶりです。それがね、私は本当にただの独り言を書いているつもりなんです。ブログにする以前はＣＧＩスクリプトの日記、さらにその前はホームページに毎月の日記のページを作って書いていました。当然コメント欄なんてなし。たまにコアな読者が掲示板で話題にしてくれるくらいでしたが、それが当然と思っていました。
ブログになって以降、当時とスタンスはほとんど変わっていません。「席を譲らなかった若者」以降は、多少は炎上のリスクを意識しているかもしれませんが…。
どうしようもない悪意むき出しのコメントも寄せられますが、新たなことを教えてもらうことも多く、そういう意味ではゼロサムだなぁと思っています。
mixiなら安全な場所で好きなことを書けるとはいえ「訪問の足跡を残し合うのがマナー」みたいな不分離がどうもダメ。馴染めなくて数日で脱落しちゃいました。
私はある程度の緊張感の中に身を置いていたほうがいいのかもしれません。