食べる話題が続いて申し訳ない。完全に「食欲の秋」モードでお腹がすいてしょうがない。鉄道の旅に出かけても駅弁を食べることは最近ではほとんどないのだが北海道だけは別。今回はこれまでも何回か食べて大好物の森のイカ飯と長万部のカニ飯に加え、初めて函館で「鰊みがき弁当」を買ってみた。840円。
ニシンと数の子が3切れずつ載っている。沢庵の周りの微妙な空白が気になる。ひょっとして昔はニシンが4切れ入っていたのだろうか? 濃いめの味付けで駅弁にピッタリ。
夫が「家でも作って」と言い出した。これまでも島原の具雑煮とか昆明のクレイポットライスとか、いろんな料理の再現リクエストにこたえてきたが、正直な話、ニシンなんてこれまで料理したことない。我が家最寄りのスーパーでニシンなんて見たことないよな〜と思い、軽い気持ちで「じゃ、材料買ってきてくれたらね」と受け流したのだが甘かった。夫は1.5キロほど離れた生鮮食品のディスカウントストアまで行ってニシンだけじゃなく数の子(細かく崩れた安物)まで買って帰ってきた。
しかもニシンは250グラム入りの一夜干しが140円だという。安い! 最寄りスーパーで一尾83円のサンマ買うよりもお得じゃない!と喜んだのもつかの間、ネットで調理方法を検索して唖然とする。米のとぎ汁で似て柔らかくしてからお茶で煮て匂いを消すなんて面倒くさいことが書いてある。パックの上から押してみるとすでに柔らかかったので一部省略。お茶で煮るところから始める。
夫は「数の子はパックから出すだけでいいんでしょ?」なんて暢気なことを言っている。気楽でいいねぇ。数の子は塩抜きしてから味をつけるから、ニシンを料理するよりも時間がかかって大変なんだともったいぶって説明しておいた。
圧力鍋のない我が家、ニシンは2時間ほどかかって骨まで食べられる状態になった。味は「極めて駅弁に近く再現できている」と合格点が出てホッとした。しかし、写真を比べると本家本元とは全然違ってガッカリ。
作っている間に子供のころの記憶がかすかに甦った。むか〜し昔その昔、親がニシンの甘露煮を作っていたことを。私が随分小さな時だったと思う。少なくとも小学校2、3年以降は食べていない。多分、あまりにも時間がかかって面倒くさいということで作らなくなってしまったのだろう。
理由はともかく、我が家のレシピは親から子へ引き継がれなかった。ほかのお宅ではニシン料理のレシピが親から子へ伝えられているのだろうか。