2008年11月26日

泣き笑い

ダウラギリ
(フレンチパスから仰ぎ見るダウラギリ=ネパール)

 父が昨晩死去した。入院期間はわずか4日。本人が『なんで入院なんてする必要があるんだ。大げさな!』とプンプン憤慨しているうちに意識がなくなるような素早さだった。苦しんだ時間は短かった(と思いたい)。間質性肺炎の急性憎悪だった。

 はっきりと聞き取れた最後の言葉は「大丈夫」。その時は『つらいだろうに文句ひとつ言わず気丈だな』と思ったのだが、こうして文字にしてみると「大丈夫」と言いながら死んでいったというのはものすごく間抜けにも思え、さすが私の父親と泣き笑いしている。

 いまだにどうも実感がない。このブログで11月15日に「私にとっても介護の問題はすぐそこまで来ている」と書いたばかり。まるで私の覚悟をあざ笑うかのようだ。土曜日に父に会った人たちも「えっ、信じられない。だって明日にでもヒマラヤに行きそうな勢いだったのに…」と絶句していた。

 何よりも山を愛し、山に生きた人だった。山好きの人を見つけては、自分の撮った山の写真をプレゼントしていた。私は『素人写真をそんな大きなパネルにしたら、もらった人も迷惑なんじゃ…』と密かに心配していた。

 実際、3年前もお世話になった病院関係者にも父の写真を持っている人が複数いる。「いや〜、お父さんに山の写真をいただいて…」と苦笑混じりに話してくれた人もいた。どうもすみません。

 遺影に使う写真を探しに実家まで行ったついでに山の写真を何枚か持ち帰った。もう父の写真を押し付けられる人もいないので、今日は私が父に代わって写真をプレゼント。ネット上なら迷惑にもならないだろう。
posted by らくだ at 23:50 | Comment(11) | TrackBack(0) | 日記 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お悔やみ申し上げます。

あまりにも急で、とてもビックリしました。
全然見も知らないらくださんの、
しかも全く接点もないお父様のことですが
記事を読んだ後に、もう一度写真を見たら、なんだかぐっとこみ上げてきてしまった。

自分の父の時は、姉たちが大泣きしてそんな気分にもならなかったのに(笑)

写真、持ち帰りさせていただきますね。
お父様のほかのお写真も、機会があったら拝見してみたいです。

しばらくは、バタバタとしていて大変かもしれないですけど
落ち着いたときに、バテて風邪など引かないようにご自愛くださいね。
お父様のご冥福をお祈りさせていただきます。
Posted by くれないしおん at 2008年11月27日 18:30
謹んでお悔やみ申し上げます。
山の迫力が良く出たすばらしい構図の写真だと思います。ヒマラヤの高山はボリュームがありすぎて写真にするのが大変難しいです。

季節の変わり目、インフルエンザの足音も聞こえてくる時期ですのでご自愛ください。
Posted by 索@いいやま at 2008年11月27日 23:23
御愁傷様です。
Posted by mas. at 2008年11月28日 00:21
山の写真にはお父さんの想いがたくさん詰まっているのでしょうね。

謹んでお悔やみ申し上げます。
Posted by のびぃ太 at 2008年11月28日 06:56
謹んでお悔やみ申し上げます。

ずっと前にらくださんがお父様のこと少しお話してくださったの今でも覚えています。
すばらしい写真をありがとうございます。

らくださんも体調を崩されないようご自愛ください。
Posted by こうめ at 2008年11月28日 12:59
謹んでお悔やみ申し上げます。

寂しくなってしまいましたね。

心よりお父様のご冥福をお祈り致します。
Posted by なえみ姉 at 2008年11月28日 13:51
 謹んでお悔やみ申し上げます。

 全く面識は無いし、何故ここに訪れるようになったかも、もう記憶にないのだが、「泣き笑い」に切なくなりました。

 しかし、順番は来てしまうのですから、そして、親子の順番通りであるのだから。

 その写真には凛とした凄味を感じました。

 落ち着いたら、少し静かでゆっくりとした時間が過ごせますように。

 
Posted by 工房藤棚 at 2008年11月29日 08:16
この度はご愁傷様です。父上様のご冥福をお祈りしております。らくださんもお体ご自愛下さい。お食事は取って下さいね。
Posted by あんず at 2008年11月29日 14:38
みなさま、あたたかい言葉をどうもありがとうございます。メールもたくさんいただきました。無事に葬儀が終わり、ホッと一息ついたところです。こうして顔どころか名前も知らない人たち(がほとんど)からお悔やみの言葉をいただけるなんて、父も喜んでいることでしょう。

>くれないしおんさん
 「ほかの写真も…」の一文を読んで、いいことを思いつきました。父の写真をデジタル化して写真サイトの「Flickr」で作品集を公開したら、山好きの世界中の人たちと画像を共有できるってことに…。良いヒントをくれてありがとうございます! 

 時間ができたらスライド写真を1枚ずつスキャナで取り込もうと思います。

>索さん
 父が索さんのコメントを読んだらすごく喜んだと思います。「この索さんという人は写真を分かっているみたいだから、今度会うときにパネルをあげたらどうだろう…」と言っていたでしょう。(苦笑)

 そういえば野口悦男さんも亡くなりましたね。温泉どころじゃなくなって掲示板のレスが遅れてしまってすみません。

>mas.さん
初めましてでしょうか?もし違ったらごめんなさい。どうもありがとうございます。

>のびぃ太さん
いつもありがとうございます。山の写真は子どもの頃からあるのが当たり前でしたが、もう新しい写真が増えることはないのだと思うとやはり寂しいです。

>こうめさん
ご無沙汰しております。何回も会ったことのないこうめさんに父の話をしていたとは、記憶にありませんでした…。本人は思い切り好きなことができてシアワセな人生だったと思います。どうもありがとうございます。

>なえみ姉さん(ひょっとしてなおみ姉さん?)
どうもありがとうございます。身内だけの密葬で、こじんまりと見送りました。上の写真を大きく引き伸ばしたものがあったので、山歩きの地図などと一緒に棺に入れました。

>工房藤棚さん
初めましてでしょうか? ここに来るようになったきっかけは、もしかしたら「席を譲らなかった若者」かもしれません。あのエントリーは、なんでこんなに来るの?ってほど訪問者が殺到しましたから。

工房藤棚さんのおっしゃる通り、親子の順番でしたし、長男坊の父親は兄弟の中でも順番でした。順番が逆だと残されたものがつらいですよね。親族一同「大往生だった」と明るい顔で見送ることができました。どうもありがとうございます。

>あんずさん
お久しぶりです(よね?)。どうもありがとうございます。幸い?私はこんな時でも食欲は最大限を維持しており、やや太り気味の傾向にあります。一段落したらジョギングを再開しなくては。
Posted by らくだ at 2008年11月30日 16:08
謹んでお悔やみ申し上げます。

ご無沙汰している間にご家族亡くされて
いたとは。
間質性肺炎でお亡くなりになったということで、自分の父も肺炎を患っているので
他人事とは思えず、読ませて頂きました。


Posted by さとる at 2009年04月19日 11:28
>さとるさん
こんな過去の記事にまでコメントをいただきありがとうございます。

父を亡くしたことで『自分の人生を精一杯生きなくては』という気持ちになれました。まだ遺品整理も終わっていなくて落ち着いておりませんが、悪いことばかりではなかったと思っています。

お父様、早く全快されるといいですね。暖かくなってきたので肺の疾患を直すには良い環境なのではないでしょうか? どうぞお大事に。
Posted by らくだ at 2009年04月19日 20:55
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