2004年11月22日

郵便局で注意されちゃった

 ビルマの旅から帰って10日余り。世話になった人に手紙や写真を送ろうと郵便局に行った。すでにどの封筒にも切手は貼ってあったから、金額が足りているかどうか確認するだけ。「全部大丈夫です」と言われ、安心して郵便局を出ようとしたところで「お客さま!」と呼び止められた。
「このブルマというのは地方の名前ですか?」
「いいえ、ミャンマーは昔ビルマっていってたので、英語表記でビルマって書いたんですけど」
 日和見な私は、現地でビルマと言ったり書いたりした人には住所の末尾に国名をBurma(Myanmar)と書き、ミャンマーと言った人には単にMyanmarと書いていた。
「カッコの中にミャンマーって書いてあるから大丈夫ですよね」
「これまではちゃんと届きました?」
「さぁ、ミャンマーになってから出すのは初めてなもんで」
「実は3年ほど前、ミャンマーあての郵便物にはビルマと表記しないよう向こうの政府から強い要望がありまして、確実に届くためにもなるべくビルマと書かないでいただきたいんです」
「……」
 こんな検閲があるとは思わなかった。軍事政権はそこまで「ミャンマー」にこだわっていたか。郵便局のお兄さんのアドバイスにしたがって、Burmaの部分を黒く塗りつぶした。ちきしょ〜。情けない気分で敗北感を味わった。もともとビルマに届いたあとで内容を検閲される可能性はあると思い、政治的なことは一切書かなかった。手紙の中でビルマという言葉を何回も使っているから、検閲に引っかかって届かないかもしれない。

 ちょっと甘かったな。ビルマかミャンマーかという問題、実はたいした違いはないのだそう。ミャンマーが文語、ビルマが口語とされている。日本語ペラペラのあるビルマ人は「本来だったら、日本と書いてニッポンと読むかニホンと読むかみたいな話」と説明してくれた。ところが、実際にはミャンマーというかビルマというかは軍事政権を支持するか否かの「絵踏み」になっている。私が自由にビルマと書けるのは、この狭いブログの世界だけみたいだ。

【関連バックナンバー】
ビルマの大物政治犯、15年ぶりに釈放(11月20日)
ビルマの温泉(11月10日)
posted by らくだ at 17:06 | 東京 ☀ | Comment(4) | TrackBack(1) | 日記 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
以前、友人が日本政府(一応)の仕事でミャンマーを訪れた時の話です。
現地の人々は、はやり「ビルマ」と言っていたそうですが、友人が政府関係の・・・と知るやいやな、皆、「ミャンマー」と改めたそうです。
その時、ドライバーをしてくれた人に「ビルマ」でいいよと言っても、しばらくは頑なに「ミャンマー」と言い続けたそうです。私の友人は気さくで面白い人。日が経ち、ドライバーとある程度、打ち解けたら「ビルマ」と言うようになり、少しだけ背景の話になったそうです。
その話を聞いて、へーーーーと思いました。
Posted by nana at 2004年11月27日 18:38
 私の場合、空港でるなり客引きに「ビルマへようこそ!」って言われて突っ込んじゃいました。

 インドの「カルカッタ」を「コルカタ」というのは分かるんです。現地ではみんな「コルカタ」といっていますから。でも、ミャンマーについては全然国民の支持が得られていない。海外でのほうがより一般的な固有名詞だと感じました。

 ビルマ国民の不満はうっ積しています。「日本は民主主義の国なのに、なんで軍事政権を支援するのか」と尋ねられたりしました。ボロボロになったアウンサン・スーチーの写真を見せてくれた人も。よほど反体制的な人間に見えるんでしょうか? いろいろ考えさせられた旅でした。
Posted by らくだ at 2004年11月27日 20:11
本文の記事も、コメントもとても参考になりました。私の記事の
「ビルマかミャンマーか」をトラックバツクさせていただきます。よろしく。ビルマ政府から十年にわたって入国拒否されている菅原秀より。
Posted by 菅原 秀 at 2004年12月02日 20:41
菅原 秀さん、
 コメントとトラックバックをありがとうございます。10年間も入国拒否ですか。

 私は21年ぶりの訪問で、駅前に「サクラタワー」なる高層ビルができていたりしてビックリでした。でも、一歩ラングーンを出た農村地帯の生活ってほとんど変わっていないんですよね。電気もなく竹を編んだ小屋が崩れかかっていたりする。「おいおい、サクラタワー造る前にやることあんだろ。それに、ネーミングからいってジャパンマネーでできたビルだってもろばれじゃん」と心の中で毒づいていました。

 最近は長いものに巻かれろ式に「ミャンマー」を使っていたのですが、現地でビルマ人に触れると言えなくなっちゃいます。一部が黒く塗りつぶされた封筒が無事に届いて私の思いが伝わるといいのですが。
Posted by らくだ at 2004年12月02日 23:08
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ビルマかミャンマーか
Excerpt: ビルマで何が起きているのか、なかなか理解できない理由の一つが、多民族国家であるための用語の複雑さである。さらに長年の鎖国政策が終焉すると同時に、現軍事政権の情報統制が強化されたこともその一つである19..
Weblog: アジア・ジャーナル
Tracked: 2004-12-02 20:47
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