久しぶりのメキシコ。昔と変わっていないことを発見して苦笑したり、昔とは違うことを発見したりの旅だった。
まず、変わっていないのはメキシ人がせっかちだってこと。地下鉄は乗客が降りるのを待たずに乗り、座席が空いていたら一目散に座る。しかし、降りる時も早い。前の駅を発車するともう席を立ち、「すみません」とか「あんた次降りるの?」と言いながら、ドアの方に近づいてくる。『そうそう、前に来た時もこうだった』と思い出して苦笑い。写真はメキシコシティの地下鉄・北バスターミナル駅。
女性がほとんどスカートをはいていない。私の印象ではスカートを履いている人は3%もいないんじゃないだろうか? 昔からこうだったかな? ちょっと覚えていない。英語を話す人にスカートをはかない理由を聞いてみたのだが「考えたこともない」と言われた。今回新発見だったのは、地下鉄の中で念入りにお化粧している女性を何人か見たこと。日本以外の国で複数の女性の化粧姿を見たのは初めてだ。アイメイクと香水は濃いめの人が多い。スーツ姿の男性が少ないのは昔と変わらない。
変わったのは、人が増えたこと。写真は土曜日午後のメキシコシティ中心部で地下鉄に乗ろうと改札に行列する人たち。当然ホームも混んでいて、東京のラッシュ時と何ら変わらない。乗りきれない人が出て一本見送ったのに、次の電車が来るまでにホームは人でいっぱいになる。車体が細身なのも問題だ。ソウルの地下鉄くらい幅広の車両を使ってくれればいいのに。
あと、警官がものすごく増えて外国人観光客が減った。街角や地下鉄の構内、どこに行っても警官がいる。治安が悪いとは聞いていたが、そこまでなのか…とも思った。逆にこれだけ警官がいれば首絞め強盗には合わないかな〜なんて油断もした。幸い、犯罪の類には一切無縁で帰って来られた。地下鉄駅の乗り換え通路はただでさえ薄暗いのに、さらに暗くしてプラネタリウム状態になった一角などある。治安が悪いんだったら、もう少し明るくしてよ!
外国人観光客はカンクンやバハカリフォルニアには多いのかもしれないが、メキシコシティ、グアダラハラといった大都市ではあまり見かけなかった。世界遺産のテオティワカンでさえ、メキシコ人の姿は目立つものの、外国人観光客は予想したほどいなかった。前回行った際は日本人のツアーに何団体も会ったが、今回は5人程度のグループを1つ見かけただけ。ちょっと寂しかった。
かつては世界最悪の大気汚染と言われたメキシコシティの空気がキレイになった。ラテンアメリカタワーに登ったら、空が青くて遠くに山まで見えるので改善を実感した。乾季だったせいもあるのかな。しかし、朝晩の冷え込みは5度前後と東京と変わらない。日中は25度近くまで気温が上がり、紫外線も強い。日焼けしてしまった。
タコス程ではないにせよ、日本のカップヌードル「マルちゃん」がかなり人気の様子。今回初めて知った。上の写真はセブンイレブンで撮影。青いのがチーズ風味、ピンクのはエビチリ風味。お湯を注ぐんじゃなくて、水を入れてチンして作る様子。私は食べずに終わったけれど、マルちゃんを出す屋台もあるそう。
メキシコシティ周辺の道路には驚いた。片側4、5車線分の広さがあるにもかかわらず車線がない。だからみんな思い思いに走っている。危なっかしい。車線が復活する部分も、それまでと同じ調子で走っているから車線なんて関係ない。もちろん町中や高速道路は大丈夫だけど、マトモな部分に辿りつくまでに事故りそうで自分には絶対に運転できないと確信した。
メキシコは全体的にはそんなに変わっていない気もした。私が中南米に入れ込んでいたその昔、メキシコといったらアメリカに隣接している地の利を活かして中南米の成長の旗頭っていう感じだった。他の国の人に話を聞くと、「メキシコは北アメリカだから僕らとは違うんだよね」なんて言う人もいた。しかし、今になってみると、ブラジルなどが台頭してきたのをよそにメキシコはほぼ横ばいを続けているようにも感じた。アジアの新興国に比べると、一段と「そのまま感」が強く、懐かしさと同時に悲哀を感じた。翻って10年ぶり20年ぶりに日本を訪れる外国人は、どんなことを感じるのだろうと思った。