更新をサボっているうちに数日前の話になってしまった。今年は久しぶりに24時時間テレビをかなり長時間視聴、はるな愛の24時間マラソンもゴールシーンを含めて見た。正直に書くと素直に感動できなかった。思い出したのはイギリスのジェーン・トムリンソンさんのことだ。
ジェーンは2000年夏、乳がんの転移により余命半年との宣告を受けた直後にスポーツクラブに入会して走り始めた。残された期間で自分に何ができるかを考え、自分と同様のガン患者のために資金を稼ぐことを思いつく。自分のサイト"
The Jane Tomlinson Appel"を立ち上げ、募金を呼びかけながら様々なチャレンジを始めた。フルマラソン、トライアスロン、自転車での英国縦断やアメリカ横断などなど。
彼女が集めた寄付は185万ポンド(現在のレートで2億4000万円)。アメリカ横断から1年後の2007年9月にジェーンは亡くなってしまったが、遺族によりジェーンの活動は続けられている。ジェーンの夫と娘はこの夏イスタンブールから英リーズまでの4000キロを自転車で走破し、寄付を呼び掛けた。寄付の目標額は500万ポンドに引き上げられ、現在までに300万ポンドが寄せられている。あのポーラ・ラドクリフ選手も活動の趣旨に賛同し、ジェーンの名前を冠したランニング大会に出場するなどで協力している。
ジェーンとその遺族がやってきたことを思うと、先日の24時間マラソンはどうしたって見劣りしてしまう。チャリティで走るなら「何のために走るのか」の目的と目標(金額等)を明らかにした方が、こちらとしても協力しようという気になる(24時間テレビってマラソンだけじゃなく全体的にそのヘンが非常に曖昧だ)。
先日のはるな愛の走り(というか歩き)を見ていると、とてもチャリティのためにやっているとは思えず、芸人が自分の芸歴にハクをつけるためにやっているように見えて仕方なかった(ごめんね、意地悪で)。
そもそも運動経験がほとんどない人をわずか3カ月のトレーニングで24時間走らせようっていうのはムリがある。本気でやるのだったら、1年前に来年度のランナーを発表して1年間かけてトレーニングしてもらうべきだ。しかも、24時間マラソンといっても実際には26時間近くかけたと記憶している。全長85キロに25−26時間かけるのだったら時速3キロ余り。休憩時間など考えたとしても、最初から最後まで歩いたって十分にゴールできるのでは? 膝への負担を考えれば全行程歩いてもよかったと思う。
また、スポンサーの企業が「◎キロ走るごとに◆円寄付します」とか、「△時間以内に走ったら寄付を◆円割り増します」などにすればいいのにとも思った。海外ではよくあるチャリティの手法だ。普通にCMを流していたらバラエティ番組と変わらない。
ゴールしたシーンこそ『あ〜よかった!』と思ったものの、どことなく後味の悪さが残っている。92年から続いているという24時間マラソンが何をどう変えたのか、この辺で総括してみる必要があるのではないだろうか。
ジェーン・トムリンソンさんについては
大紀元というサイトの記事がまとまっていて読みやすい。私たちは普段、いつかやってくる死についてなるべく考えないようにしている。余命半年と診断されて自分に残された期間を意識すると、こんなことができる人もいるんだね。考えさせられた。