林芙美子の「放浪記」にしようか迷った。しかし、一両日で読むにはちょっと厚い。次に目をとめたのは「舞姫」。これなら薄いし、中をパラパラ見たら文語体じゃないので読みやすそう。これに決めた。
帰って来て読み始めたのだが何かおかしい。人妻と男性がタクシーに乗っているシーンで始まっている。あれ、こんな設定だったっけ? さらに数ページ読んで、登場人物の名前も記憶と違うことに気付いた。
文庫本の裏表紙を見ると「舞台の夢をあきらめた過去の舞姫波子と、まだプリマドンナにならない未来の舞姫品子の親子」とある。ドイツなんてどこにも書いていない。次の瞬間、表紙にある作者名が森鴎外ではなくて川端康成だってことに気付いた。川端康成も同名の小説を書いていたのか〜。無知なもんで全然知らなかった。
川端版舞姫は昭和25年12月から朝日新聞に連載されていたそうだ。鴎外版は明治23年発表で本人は大正11年没。あれだけ有名な作品と同名の小説が発表されるなんて今じゃちょっと考えられないけれど、その頃は問題なく新聞に連載されて、しかも遺族から訴訟を起こされたりしないのどかな時代だったんだね。
しかし、この川端版はどうも読み進む気になれない。今年の目標が1月末にして早くも達成できなくなってしまった。