2009年12月22日

2つの再生温泉

 思わぬところで思わぬ事が結びついていることがある。1000キロ以上も離れた札幌と大阪で今月オープンした温浴施設の関連性を知っている人はそんなに多くないかもしれない。両施設のこれまでの経緯をたどっていくと10年以上も前の都銀破たんにたどり着き、その都銀破たんをめぐる裁判で最近になってようやく最高裁の判断が下ったことまで関連づけて知っている人はほとんどいないだろう。

 札幌の施設は9日にオープンした「ていね温泉ほのか」。6月にいきなり閉館した「ワンディ・スパていねの湯」の経営が変わって再生した。大阪の施設は今日(22日)オープンした「天然温泉りんくうの湯」。今年2月から9月までのわずか半年余りで閉館した「寿楽の湯」の再生だ。

 といっても両者に共通するのはともに再生施設ということだけじゃない。大阪の「寿楽の湯」は当初、「ワンディ・スパ」として開業するはずだった。ワンディ・スパは経営が悪化して大阪の事業を続けられなくなり昨年初めに撤退。今年4月には第三者から破産手続きの開始を申し立てられ、6月15日の破産手続き開始とともに既存店「ワンディ・スパていね店」の営業を停止していた。

 この6月までの経緯はこのブログでも6月16日付の「2度目の破産」に書いた。その後の展開は密かにウォッチするにとどめていたが、ここにきて記録を残しておこうと思い直した。というのも、温泉関連情報を紹介するブログをやめてからそろそろ1年になろうというのに、未だに情報を送ってくださる方がいるからだ(ブロガー冥利につきるじゃありませんか…)。

 新たな動きがあったのは先月のこと。ワンディ・スパの親会社で美容院経営のモーリスフランク・ジャパンが11月9日に民事再生手続を申し立てた。主因はもちろんワンディ・スパの破たんだ。このモーリスフランク・ジャパンの前身はソフィア中村。10年以上も前に破たんした北海道拓殖銀行が乱脈融資した貸付先がソフィアグループだ。

 モーリスフランク・ジャパンの中村楊一社長は北海道拓殖銀行の破たんに関して旧商法の特別背任罪容疑で実刑判決を受けて最高裁に上告していた。11月12日付の新聞で「11日までに最高裁が上告を棄却し、実刑判決が確定した」という記事を見てビックリ。報道では正確なタイミングが分からないものの、民事再生手続きの申し立てと社長の実刑確定は何らかの関係があるのだろうと納得できた(ただ、複数の方の情報によると先週末の段階では中村楊一氏はいまだ収監されていないもよう)。

 前述した6月半ばの当ブログで「中村一族はどうも温浴事業には向いていないように思えるのだが、3度目の挑戦はあるのだろうか?」と書いたが、この半年でその可能性が小さくなったことは間違いない。

 2つの再生施設はもちろんワンディ・スパともモーリスフランクとも関係ない。がんばって長期にわたる営業を続けてほしいものだが、大阪に限って言えば12月1日には近隣のイオン日根野に「滝の湯別館」がオープン、競争は激しくなりそうだ。寿楽の湯の時よりも入浴料を大幅に引き下げており、経営環境は厳しいだろう。
         
タグ:大阪
posted by らくだ at 22:16 | Comment(2) | TrackBack(0) | 温泉・温浴 | 更新情報をチェックする