2009年12月18日

災害時広報の問題点

 伊豆で震度5弱の地震がわずか半日の間に2回も起きた。不幸中の幸いは負傷者が7人とそれほど多くないこと。もともと地震の多い地域だけに物理的・精神的な構えができているのだろうか。(とはいえ、被害に遭われた皆さまにはお見舞い申し上げます)

 温泉にも多少の被害が出ている。TBSテレビは「旅館の露天風呂に亀裂が入ったり、温泉の給湯管が壊れたりと、年末のかき入れ時を前に観光業者は頭を悩ませています」と伝えている。また産経ニュースでは「伊東マンダリン岡本ホテルでは外壁や玄関口の天井が崩れる被害があった」と伝えた。

 TBSが伝えた被害のある旅館はどこだか分からないし、伊東マンダリン岡本ホテルの公式サイトをみても被害状況も書いていないし、その後修復して営業しているのか、まだならいつ再開見通しかなど一切掲載されていない。支配人ブログも最後に更新されたのは11月13日だ。

 伊東観光協会の公式サイトを見てみた。「地震の影響によりご迷惑をおかけしましたが、JR伊東線及び伊豆急行は、現在通常運行しております」と出ている。要するに都合のいい情報だけはちゃんと掲載されているのに、温泉にどのような被害があったのかなかったのかは分からない。伊東温泉旅館ホテル協同組合の公式サイトは更新された形跡すらない(すべて12月18日夜現在の確認)。

 要するに、全体的に「被害などマイナス情報は載せませんから、調べたかったら自分で調べてください」って姿勢だ。そりゃ、露天風呂に亀裂が入れば利用できないだろうし、そういう情報を公にするのは格好悪いことは分かる。

 でも、誰のためのウェブサイトかを考えたら、できるかぎり詳細な情報を掲載するとともに逐一更新するのはマイナスどころか評価につながるはず。どうして消費者視点ではなく身内視点でウェブサイトを運営するのか理解できない。

 似たような災害で多くの温泉地が同じことをしてきた。都合の悪い情報を出さず、「ほとんどの旅館・ホテルに被害はありません」などとあいまいな表現をしておいて、あとになってから「風評被害で迷惑している」なんて騒ぎになるのがいつものことだ。キッチリと情報を開示しない自分たちにも原因があるってことが分かっていないのが歯がゆい。

 例えば2005年秋に箱根で台風のために温泉供給が停止した際、137カ所の施設で温泉が利用できなくなったと伝えられたが、その内訳は一切公表されなかった。ちょうど箱根に行こうとしていたのだが、観光協会のサイトをみても分からないので電話したら、個別の営業情報は出していないとのことだった。いちいち電話して営業しているかどうか確認するのも面倒だったので箱根に行くことをやめた。

 あとになってから、137カ所の大半が別荘、保養所、個人宅などだったことを知った次第。どの旅館・ホテルが営業/休業しているかを開示してくれていれば多分箱根に行っていただろう。

 その後も台風や地震の被害は各地で何回かあったけれど、情報公開はほとんど進んでいないように思える。私が認識している中で唯一の例外は石川県の輪島・和倉温泉で、2007年の能登半島地震の際に旅館・ホテルの営業/再開情報が個別にウェブで公開されていて更新も頻繁だった。これを手本に業界全体が災害時広報を見直してくれるのかと淡い期待を抱いたのだが甘かったみたいだ。
    
    
posted by らくだ at 22:08 | Comment(3) | TrackBack(0) | 温泉・温浴 | 更新情報をチェックする
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