2009年10月09日

早過ぎる受賞

 「アメリカのオバマ大統領が今年のノーベル平和賞を…」と聞こえてきた時、もうまったく信じられなくて夫に「今テレビでオバマが何を取ったって言った?」と聞いちゃった。間違いじゃなかった。オバマ米大統領が今年のノーベル平和賞に輝いた。素直に「おめでとうございます」という気になれない。

 今年の1月20日に就任して以降どんな成果をあげたんだっけ。思いだせない。少なくともアフガニスタンは泥沼化しているような印象があるし、六カ国協議だって再開されていない。最近物忘れが激しくて、何か重大な成果を忘れているかもしれないと必死に記憶を探っていたら、テレビで「核廃絶に向けた取り組みが評価された」と言っていた。え??? 

 アメリカ自身が保有している核の廃棄に踏み切るとか踏み切ったなんて話は聞いた記憶がない。要するにかけ声だけの段階なのでは? それなのに今の段階で平和賞が授与されるってことにすっごい違和感がある。

 言ってみれば、これまで劣等生だった子が優等生に生まれ変わると宣言しただけで誉められているようなものかな。もうちょっと乱暴に例えると、ある暴力団不良グループがあって、これまでは下級生の悪ガキに「お前らナイフ持って学校来てるだろ!」なんて言いがかりをつけて一方的にボコボコにしていた(しかも下級生はナイフを持ってきていなかった)のに、リーダーが変わったら急に「これからは刃物のない社会を実現するために頑張ります」なんて言い出し、それだけで「世のため人のために尽力した」と表彰されちゃって、周りの人がポカ〜ンとしているってところ。

 ま、劣等生を優等生のように扱うと本当に優等生になるという話だから、この時期での授賞により「もう後戻りは許されない」という強い圧力をオバマにかけたという意味合いがあるかもしれない(賞の趣旨から離れてしまうが)。

 それとも、このところ健康保険制度改革などを巡って支持率が急低下、シカゴオリンピックの招致にも失敗した若き大統領を支援しようっていう「政治的な力」が働いたんだろうか? 私がこんなことを書いたところで、リオデジャネイロが石原都知事の負け惜しみ発言に激怒したようなことにはなりっこないので安心だ。

 そういえばキッシンジャーもノーベル平和賞受賞者だった。その程度の賞なんだと思えば不思議もないか…。オバマはブッシュJr.よりも100万倍好きなだけに、なんだか複雑な心境だ。
   
posted by らくだ at 21:01 | Comment(4) | TrackBack(1) | 国際ニュース | 更新情報をチェックする