そもそも大統領・首相・国王といった人たちが開催地決定の場にそろって乗り込むなんて、以前はなかったんじゃないだろうか。しかも、鳩山サンなんてスピーチの中で「オリンピック精神」に触れていた。国のリーダーが開催地決定の場でスピーチしたり、オリンピック精神について語ったりすること自体、オリンピック精神に反すると思うのだが。オリンピックは政治や国益とは無縁であるべきだ。
オバマ大統領が"I urge you to choose Chicago"と直接的な言葉で投票を求めているのを聞き、なんだかちょっと高圧的に思えて不愉快になった。夫人もちょっと押しつけがましかったよね。英語圏の人にはスッキリくるのかもしれないけれど、アジア圏やほかの地域には私にみたいに感じた人もいたのだろう。シカゴは最初の投票で最下位だった。
日本についても鳩山サンが金色の勝負ネクタイをして乗りこんでいく場所は他にあるでしょうに…と冷ややかな眼差しを送ってしまった私だ。「コンパクトな大会」を売り込むのにあまりにも「ビッグな招致活動」だったようにも思う。
オリンピックのああいうプレゼンテーションは、政治家やプロアスリートを排し、縁の下の力持ち的な無名の人たちがやるべきだ。もし私がIOC委員だったら、政治や商業ベースから最も遠いプレゼンをやった国に投票する。
で、今回は4カ国横並びだったとして(リオとマドリードについては報道を見ていないのでプレゼン内容は全く知らないのだが)、リオが選ばれるのは当然だと思う。ブラジルはおろか南米全体でもオリンピックが開催されたことがないのだから。3年前から私はリオを支持してきた(2006年8月30日付の「東京でオリンピック?」を参照)。ごく公平な決定で納得できた。
リオデジャネイロの皆さんだけでなくブラジルの皆さん、ひいては南米の皆さん、オリンピック開催決定おめでとうございます。