2009年09月14日

「金融大崩壊」

 リーマン・ショックから明日で1年になるから、というわけじゃないのだが、たまたま書店で目についたNHK出版の新書を買って読んだ。昨年12月に出た本なので内容はやや古いながら、平易な言葉で昨年来の金融危機が解説されていて、とても読みやすかった。

 アメリカを金融帝国に造り上げたルービン元財務長官とグリーンスパン前FRB議長の責任を指摘、アメリカ中心、ドルが基軸通貨の時代は終わってEUが世界の中心になっていくと予想し、日本については公共投資を実施しても景気のテコ入れにはならず、需要回復の活路は海外の新興国にあると指摘している。

 サブプライムローン・ビジネスの仕組みについては「返済の可能性が低い人に融資をつける。それを証券化して転売していけば、自分のところにリスクは残らない。残るのは儲けだけ」とスッキリ説明されている。

 昨年来の金融危機とは何ぞや? そして日本にとってどんな影響があるのかを知りたいと思っている人にはお勧めできる。ただし、全く予備知識がないと難しいかも。後半はちょっとダレ気味にも感じた(自分の知識不足のせいかもしれない)。

 著者の水野和夫さんには一度だけお目にかかったことがある(当然ながら向こうは覚えていないだろう)。当時は国際証券(現三菱UFJ証券)のエコノミストで、持論を理路整然と説明してくれたのがとても印象的だった。

 国際証券と言えば中堅証券会社。当時は野村、大和、日興、そしてあの山一が四大証券会社と称され、中堅どころとは随分格差を感じ、ひそかに『こんな優秀な人がなぜ大手証券にいないんだろう』と思ったものだった。こうして頻繁にメディアに登場する有名人になったのもいわば当然。あと何年かしたら、政府に招かれて経済政策を担当しているんじゃないかと予想しておく。

金融大崩壊―「アメリカ金融帝国」の終焉 (生活人新書)

 
posted by らくだ at 21:07 | Comment(1) | TrackBack(0) | 書評・芸能など | 更新情報をチェックする