6月16日の「
2度目の破産」の続報。札幌のワンディ・スパと関係の深かった静岡県の建設会社・桐山も18億円余りの負債を抱えて倒産、民事再生法の適用を申請していた(
大型倒産速報)。
こうなることは1年以上前からなんとなく予想がついていた(
参照記事)。ワンディ・スパが経営危機に陥って北海道三笠市と大阪府泉佐野市で建設中のプロジェクトから撤退した際、三笠市のプロジェクトを引き継いだのが施工会社だった桐山だった。ワンデイ・スパ三笠店になるはずだった温浴施設は「
三笠温泉太古の湯」という名前で昨年6月にオープンした(昨日の段階では営業中で当面営業を継続するとのこと)。
桐山にしてみれば「去るも地獄残るも地獄」でババを引くしかなかったってところだろうか。3億5000万円余りのお金をつぎ込んで助成した三笠市の方が「ババ抜き感」が強いかも。しかし、いまどき「温泉でまちおこし」なんてことを考えるのは10年ほど感覚が狂っているのだから当然の結果とも思える。
太古の湯はワンディ・スパの当初の計画から入場者数の見通しを下方修正した結果入浴料を高めに設定せざるを得ず、大人1575円になった。要するに入浴料は需要じゃなくてコストを基にして決められた。札幌の中心部でもない限り1500円超は高すぎる。素人が見たってこんな水準じゃ客は入らないだろうって自信を持って断言できる。
しかし、温浴業界ではこんなのは日常茶飯事だ。これまで「施設を作れば客が来る」売り手市場が続いていたため、消費者視点で物を考えられない人があまりにも多い。3年あまり業界を覗いて感じたのは、目が$マーク(日本だから¥マークか?)の強欲な人たちが、カネと土地を持っている人たちを口車に乗せて高級感のある施設をあちこちに造っているってことだった。
高級な施設を造れば、当然ながら投資回収のため高い入浴料を設定しなくてはならない。消費者からみれば常識外れとしか思えない入浴料でオープンして数カ月で料金引き下げるところは多いし、開業後数カ月から1年で閉店したところだって何軒もある。
そりゃね、業界にしてみれば高級施設を造れば儲かるんだろう。しかし、中には何も知らない人をたぶらかして借金させて豪華な施設を造り、ふたを開けてみれば高い入浴料が嫌われて閑古鳥。経営が行き詰まると金融機関が手のひらを返したように貸しはがしに動いたなんていうのもあった。
ケチな一消費者としては、首都圏の温浴施設で最高1000−1200円、東京中心部なら1500円くらいまでが妥当水準。地方都市とか郊外だったら700−800円くらいがいいところなんじゃないだろうか。いくら高級感でアピールしても、たかがお風呂に1500円じゃリピーターにはなれない。
温浴業界ってどうして現実的な感覚の人がいないんだろう? 不思議でしょうがないし、消費者がバカにされているようにも感じる。