札幌地裁が破産手続きの開始を決定した今日(6月16日)、いきなり営業を打ち切ったそうで、閉館を知らずに訪れた入浴客もいたとか(札幌テレビ放送)。6月16日夜の段階で公式サイトにはなんの告知もない。知らない人がいてもおかしくない。回数券などは利用できなくなる見込みだという。
私の知る限り、温浴業界ってのはこういう回数券の不良債権化がかなりある。回数券を「有効期限なし」とうたって大幅安売りしておいて、前触れもなく閉館したところもあった。業界団体もないに等しいから消費者を救済する制度もない。回数券を持っている施設がいきなり閉館したら泣き寝入りするしかない。かなりいい加減な業界といえるんじゃないだろうか。
その中でもワンディ・スパの破たんは感慨深い。ワンディ・スパ社長の父親は北海道拓殖銀行の破たんの一因ともなったソフィアグループの創設者。美容室の「ソフィア中村」といえば聞いたことがある人もいるのではないだろうか。
旧拓銀から巨額の融資を受けて温浴事業に参入、1988年に「札幌テルメ」を開業するが経営はうまくいかず、旧拓銀から追加融資を受けて大型ホテルを開業しテコ入れをはかったが経営は苦しくなる一方。札幌テルメは98年に自己破産して営業停止した(現在では山梨の洋菓子メーカー、シャトレーゼ傘下でガトーキングダム・サッポロの「スパ&リゾート フェアリー・フォンテーヌ」として営業している)。
そのソフィアグループが2000年3月に設立したのがワンディ・スパだ。しかし、運営施設は3、4年ほど前には札幌市内に少なくとも3カ所はあったと記憶しているのだが、現在は1カ所のみ。北海道の三笠市と大阪のりんくうタウンへの進出計画も、工事半ばで資金難のため撤退。これまでの経緯をみると、このグループというか中村一族はどうも温浴事業には向いていないように思えるのだが、3度目の挑戦はあるのだろうか?