父が突然入院したと思ったら4日目に死去し、葬儀が終わって一段落したところまでは書いた。やっと一息つけると思っていたら、大変だったのは葬儀のあとだった(以下は12月1日に書いた「
一段落」の続きであり、今日の日記というわけではありません)。
父は長いこと1人暮らしをしていて、私は実家の細かいことはサッパリといっていいほど分からない。お隣さんの方が詳しいくらいだ。入院直後に父が「通帳と印鑑は…」と隠し場所を言い始めた時は、看護師さんが「あまり話しちゃだめですよ」とやさしくさえぎった。肺の酸素吸引力が弱っているので、なるべく会話を控えるようにということだった。
こっちも、そんなに早く逝くとは思っていなかったので「そんなのあとでいいよ〜」なんてのんきなことを言っていた。それに「えっ、どこにあるの?」なんて根掘り葉掘り聞いたら、いかにも『もう危ない』って言うのと同じじゃない?
本人も遺言というよりも入院費を心配して話しておこうと思ったに違いない。どうも危ないと分かったときには既に込み入った会話はできない状態だった。こんな展開はドリフのコントの中だけの話だと思っていた。
せめて貴重品と植物だけでも我が家に持ってきておこうと実家に行く(これはもう何日も前の話)。勝手が分からない家で引き出しを開けて中をあさるってのは、自分の家に空き巣に入ったかのような感覚だ。貴重品は父の部屋にあるはずとしらみつぶしに探し回り、碁盤の下から通帳、碁石の中と髭剃りの袋の中から印鑑を見つけ、そのほかの重要そうな書類と一緒に持ち帰った。
そもそも都営墓地を利用するのだって、使用許可書がないと相手にしてもらえない。霊園の管理事務所に電話を掛けたらチンプンカンプンであせった。今年分の霊園使用料の領収証でもいいと言ってくれたが、そんなものがどこにあるのかも皆目見当がつかない。幸い持ち帰った書類の中に使用許可書があった。
持ち帰った通帳には定期的に年金が振り込まれていたので、振込みを停止するように実家のある市役所に電話したところ、我が家の最寄りの社会保険事務所に問い合わせるように言われた。父の住まいの近くではなくて我が家の近くで手続きする仕組みとは知らなかった。
電話してみると、10月と11月分の年金は受け取る権利があるという。私が「父の年金が欲しいわけじゃなくて、今後、振込みを停止して欲しいだけです」って言っているのに、代理人として受け取る手続きについて長々と説明してくれた。
本当は金銭的な支援関係がないと受け取れない様子。私が「金銭的な支援・被支援関係は原則的にありませんでした」と言ったら「それでしたら病院の人か近所の人にでも、あなたがお父さんの入院などの面倒を見ていたという証明を文書の形でしてもらってください」という。しかも父の除籍謄本、私の戸籍謄本ほかいろいろな書類を提出しないといけない。
だから、そんな面倒な手続きをしたくないし、10月分と11月分の年金も振込みを止めてもらってもいいと説明したら、既に振り込みは止められないという。なんだ、自動で振り込まれるんだったら、代理受け取りの手続きなんてしないでそのままにしておけばいいじゃない。電話の人は「キチンと手続きをしていただかないと困ります…」と言っていたが、そのままにしておくつもりだ。
電話をかけた本来の目的である支給停止については、父の基礎年金番号を電話で告げるだけ。電話の向こうでカチャカチャとキーボードを叩く音がしたと思ったら「はい、これで来年2月の振込みはありません」と言われてあっけなく終わった。こっちの手続きこそ、届出用紙が必要なんじゃ…。この手続きのアンバランスさには面食らった。
それを知った夫は「払う方よりも、もらう方を先に止めるなんて信じられない」と呆れ顔。そういうもんかな。私としては後になってから社会保険庁が「払いすぎた年金返せ〜」なんて言ってきたら嫌だな〜思ったから止めたんだけど。夫は早速NHKに電話して受信契約の解除を申し込んでいた。
これを読んでいる皆さん、元気なうちに貴重品の場所や取り扱いを家族に告げておきましょう。まさかの事態が起きたときに家族が時間を無駄にしないで済みます。
葬儀で利用した外資系葬儀会社の話題はそのうち。順番が逆になってしまった。