2年ほど前、新宿にクリスピー・クリーム・ドーナツの1号店が出た際は、「たかだかドーナツ買うのに1時間も並ぶ人たちの顔がみたい」とわざわざ行列を見物に行った知人がいた。最近はあちこちに支店ができたから行列はなくなったんだろうか。
ソウルで偶然通りかかった店はまったく行列がなかった。前の道が工事中だったので余計なものを入れずに写真を撮るのにちょっと手間取った1分弱の間、客の出入りはそこそこあった。「あ、すいてる〜」などと日本語を話しながら入っていく2、3人連れを見かけた。店の中をちらっと見ても客の多くは日本人らしかった。
ドーナツはダイエットの大敵なのでやめておいて、すぐ近くにあるロティボーイ(Rotiboy)を試してみることにした。2年半あまり前にタイ・バンコクの2カ所でそれぞれ百メートルを超す行列を見かけたパン屋さんだ(2006年3月4日付の記事「近ごろ都に流行るもの」を参照)。日本にはまだ進出していないマレーシアのパン屋さんというのと、ネット上で「世界一おいしいパン」の言葉を見て気になっていた。
韓国にはすでに数十軒の店舗があるそうで、こちらも行列はなし。パンの種類はいくつかあり、一番おいしいのがどれか分からなかったので、素直に店名のRotiboyにする。1つ1800ウォン(約125円)を2つ買ってホテルに持ち帰った。
買ったときに温かくふっくらしていたRotiboyは、食べる時には冷めてしぼんでいた。個別包装の紙袋の裏側にはおいしく食べるためのアドバイスらしきことが数カ国語で書いてある。日本に進出していないのに日本語の説明もある。しょっぱなから「ROTIBOYの暖房の指示」と自動翻訳したのは一目瞭然。「150度のにオーブンを熱しなさい」「約5分の間ROTIBOYに置かれる」「ROTIBOY楽しまれること準備ができているがある」とかなり笑えた。これでも意味はちゃんと通じるから怒る気にはならない。
実際には、かすかにコーヒーフレーバーで外はサックリ、中はしっとり。外のサクッと感はメロンパンに近いかな。中はバター?がじわっとしみている部分がある。うん、おいしい。ただ「世界で一番おいしい」と言い切るところまではいかなかったな。「暖房の指示」に従っていれば、もっと評価は高かっただろう。
果たして日本進出はあるのだろうか。日本だったら最低でも1つ200円はしそうだ。ちなみに上記リンク先の過去記事で紹介したバンコクのシーロム店とサイアムスクエア店は「もどき」の増殖による競争激化のあおりを受けて既に閉店したそうだ。