2008年10月11日

同情の対象

 この1週間、世界の株式市場の大暴落には興奮した。こんなの一生に何回も見られるもんじゃない。私は株式投資なんて一切やっていない傍観者だから無責任なことが書けるのだが、久しぶりに市場の動きを見て血が騒いだ。

 純粋に市場の動きだけでこんなに興奮したのはアジア通貨危機以来かな。バイイング・クライマックスという言葉よりもセリング・クライマックスを使う機会が多いように、上げ相場よりも下げ相場のほうが興奮するしインパクトも大きい。ファンダメンタルズでもテクニカルでも説明できない相場に清々しささえ感じる。

 ある人に今回の株安について「○○みたいな下げ方」という表現だったら何を入れるかと尋ねられ、頭に思い浮かんだのがベネズエラにあるエンジェル・フォールズだ。実際にエンジェル・フォールズを見たことはないとはいえ、落差世界一で地面に落ちてくるまでに霧散してしまって滝つぼがないと聞いている。

 機関・個人投資家には今回の下げ相場で痛手を被った人がたくさんいるだろう。「興奮した」とか「血が騒いだ」なんて書くと「無神経だ」と怒る人がいるかもしれない。でも、私は「株価なんて上がることもあれば下がることもある」と思っているし、投資家の皆さんだってそれを承知で投資しているのだろうから、一切同情するつもりはない。

 ただ、大和生命の保険契約者はちょっと気の毒かもしれない。ニュースを見ていると、「大和生命は他の保険会社と違ってハイリスク・ハイリターンの投資をしていました。他の保険会社は大丈夫です」というような報道をしている。

 しかし保険会社っていうのは保障を売る商売。ハイリスク・ハイリターンの投資は規制されるべきだった。契約者もハイリスクを承知で契約していたのならしょうがないけれど、そんな説明はなくて普通の保険会社だと思って契約した人がいて、受け取る金額が目減りするのなら同情する。

 同情ということでいえば、自殺したロス事件の三浦和義氏にもある意味で同情を感じる。前にも書いた通り、彼は日本の司法制度において無罪を勝ち取った人間であり、邦人保護の観点から言えば日本政府は少なくとも表向きは「彼を日本に返せ」とアメリカに主張するべきだった。

 彼が事件に関わっていた可能性はかなりあると私だって思っているけれど、日本政府の対応に関する限り私は三浦氏に同情する。海外で私に何かあったとしても国は何もしてくれないんだろうな、ということだけはよく分かった。
posted by らくだ at 22:17 | TrackBack(0) | 話題 | 更新情報をチェックする