知人は「なにあれ!?」「あんなのが一大イベントのマスコットになりえるわけがない!」とボロクソにこき下ろし、気がつくとなぜか私は「せんとくん」の擁護をしていた。あれ? 自分でも訳が分からない。だって3月7日のエントリー「クレーム対応のお手本」でこう書いている。
奈良の平安遷都1300年祭のマスコットキャラクターが「角の生えた童子」に決まったという報道(と実物のイラスト)は何日か前に見て、正直言って「うっ…」と言葉に詰まる感じだった。それなのにどうして私は「せんとくん」の味方になっちゃったんだろう。考えてみた。
まず、あのグロテスクともいえる姿を見慣れたっていうのもある。違和感を覚えなくなってきた。ちょっと前の言葉だと「キモカワ」ってところだろうか。でも、それだけじゃない。対抗キャラクターの「まんとくん」を見て、その底の浅さ(といったら失礼かもしれないが…)に気づいちゃったんだよね。
要するにイベントのキャラクターは「かわいくて当然」「かわいくなければいけない」という思い込みがあって、サンリオのファンシー商品みたいなものを思い描いていた。まず「かわいらしさありき」という私の先入観に「せんとくん」は一石を投じた。ど真ん中にきた。
今にして思えば、さすが芸術家の作品だけある(と書けちゃう自分の転向ぶりがちょっと恥ずかしい)。選考委員が何を基準に選んだのかは知らないけれど。
「せんとくん」の個性は同様のマスコットキャラクターの中で突出していて見飽きない。なんていうのかな、「噛めば噛むほど味が出るスルメ」みたいだ。悪いけれど「まんとくん」にはそういう味わいはない。というわけで、私はスルメキャラの「せんとくん」のファンになってしまった。
それでも「せんとくん」を「キモい」「グロい」「最低」という人たちに対しては、誰かさんみたいに「私はね、あなたとは違うんです」と申し上げるしかない。