2008年06月29日

旅先の落書き

 フィレンツェ・ドォーモでの日本人学生の落書き事件(ていうほどでもないか)の報道はなんだかよく分からなかった。

 報道された落書きを見る限り、太い油性マジックで書かれたように見える。旅先にあんな太いマジック持って行くかね? 私は一回も持って行ったことがない。せいぜい絵葉書用に黒いボールペン、メモ用にシャーペン、忘れなければ絵葉書に"AIR MAIL"って書くために赤いボールペンも持っていく程度。

 何か大きな買い物でもして段ボールで日本に送る予定でもあったのだろうか? それだったら作業はホテルでやればいいはずで、太いマジックを持って観光しているってことが不自然に思えた。

 使った道具という点からいえば、イースター島のモアイに刻まれた「関口」のほうが理解できる。マジックを日本から持参したってことは「まさか計画的な犯行?」なんて書いたら意地悪すぎるだろうか。

 さらに分からないのは、なぜこんなに大問題になったかだ。ドォーモに限らず、海外の観光地あちこちで日本人の落書きを目にする。そのたびに「こんなところにまで…」と情けなくなり、まるで自分が犯罪者の身内でもあるかのような後ろめたい気持ちになる。ほかの国の言葉の落書きもあるんだけどね。

 今回、急にメディアで取り上げられてビックリしたのだが、友人に教えてもらって納得した。6月18日にある個人ブログが落書きの写真をそのまま(ボカシ、モザイクなしで)掲載した上で、落書きに書かれていた岐阜の短大宛てに抗議のメールを送ったと書いたのがきっかけだったらしい。

 短大側は返信で「3月中旬に他の方からのご指摘があり」と書いている。要するに3月時点ではバックれるつもりだったのに、今回は関与した個人が特定されかねない形で証拠写真を公開されちゃって、ネット上で話題が広がってきたので逃げられないと判断したってことなんだろう。

 大騒ぎになったことで、発端となったブログは落書き関連の記事3本のみ残し全記事を削除、今後は更新をしないことを宣言した。同時に落書き写真にモザイクを入れたことを明らかにしている。

 このブロガーは鋭い人なんだと思う。学生を特定できるような写真を載せていたわけだから、何かの弾みで矛先が自分に向きかねないことを知っている。自分だけ安全な場所にいながら相手の個人情報をさらして攻撃する理不尽さに人々が気づいた時、過去記事から個人を特定されてしまう恐れは十分にある。だからこのブロガーは、これまでのブログ記事と読者をすべて失ってでも身を隠したほうが得策と考えたんじゃないだろうか。

 今回の一件で旅行者の落書きは少なくともしばらくの間減るのだろうけれど、なんか後味は悪い。マスコミはこんなことで大騒ぎしないで、もっと他のまともなニュースを追いかけてください!
posted by らくだ at 23:23 | Comment(3) | TrackBack(0) | 話題 | 更新情報をチェックする