舞台は都内のとある温泉の女性用脱衣所。鍵のかかったロッカーの中から赤ちゃんの鳴き声が聞こえてきたという。それに気づいてビックリ仰天した入浴客が従業員に伝え、従業員が女湯の中で保護者を探したところ、髪を洗っていたお母さんが「あら、もう起きちゃた? いつもならもっと寝ているんだけど…」と答えたんだそうだ。
あちこちの温泉・スパ銭に行っている私だって、そんなの見たことも聞いたこともない。ロッカーの中から赤ちゃんの声がするって、私にしてみれば犯罪かホラー映画の世界だ。
このお母さん、保護者責任遺棄を問われても仕方ないのでは? 日本だから「イタイ母親」という笑い話ですむけれど、アメリカだったらたぶん施設から警察に通報されて逮捕されると思う。
あと何年かしたら、脱衣所の張り紙や館内放送で「赤ちゃんはロッカーに入れないでください」と注意を促すことになっていたりして。常識ある人には笑い話みたいに聞こえても、言われなくちゃ分からない人がいて、それがどんどん増殖するのだったら仕方ない。
ここまで書いて給食費の滞納の話を思い出した。給食費の滞納に困ったどこかの自治体が、保護者に給食費支払いの誓約書を提出させることにしたというニュースが1、2年前にあった。「そこまでしなくても」という声が強かったらしい。でも、そこまでしなくちゃ払わない親が増えたのだからしょうがない。最近は追随して誓約書を導入する自治体があるとか。
時代は確実に変わっている。年を取るとはこういうことをいうんだね。
(表題に村上龍の小説のタイトルを使いましたが、その施設のロッカーはコイン不要で、入れられていた赤ちゃんは1人でした)