ところが一歩我が家に入ると勝手が違う。病院での基本は横たわりの水平姿勢だったのが、家では立っているか座っているかの垂直姿勢が基本だ。おまけに「狭い中古マンション」と思ってきた我が家は結構広かった。トイレに行くにも水を飲むにも、入院していたときに比べると数倍は移動しなくちゃならない。
疲れたせいか食欲をなくし、夜ご飯はほとんど食べられなかった。「病院のご飯はちゃんと食べていたのに…」と言われたり、残したものを片付けるのに「汚い」と顔をしかめられても、飲み込んだものが下りて行かずに詰まっているような感じなのだからしょうがない。
シャワーを浴びて早々に寝ることにした。お腹の傷に手や足や頭が当たるのが怖いので、しばらくはリビングにマットを敷き1人で寝袋を使って寝ることにした。朝方まで電動ベッドをウィーンと動かして海を見ていたっていうのに、夜は寝袋でミノムシ状態とはエライ違いだな…。
爆睡していた11時すぎに夫に起こされた。「トイレにヘンなものが浮かんでいるから片付けて」と言う。棚から滑り落ちた生理用のナプキンが浮かんでいた…。それを片付けたところで夫が洗濯機を使っていたのでうるさくて寝付けなくなり、こっちも逆ギレ。いつの間にかふて寝していた。
我が家に帰りさえすればこっちのものと思っていたんだけど、かなり思惑が外れた。