個人でニュースサイトを運営する面白さって、何の利害関係もないところにあると思う。好きに書けるのがいい。"news without fear or favor"というキャッチフレーズを掲げていたのはジャパン・タイムズだったかな。そんな大げさなことをしているわけじゃないけど、誰を恐れることもなく誰におもねる必要もないっていうのはいいもんだ。
いい情報も悪い情報も分け隔てなく淡々と紹介するのが私のやり方。それでも苦労はある。ネガティブな情報っていうのはどうしても入手しにくいのだ(もちろん、ネガティブな情報を優先して集めているということはない)。
温泉関連でいうネガティブな情報の例はレジオネラ菌の検出や食中毒の発生など。当事者はもちろんそんな情報を知られたくないはず。実際、こうしたネガティブな情報を自らのホームページに潔く掲載するところは公共の施設を除けばこれまでに1カ所しか紹介していない(12月13日で2カ所に増えた)。大方のところは食中毒で営業停止処分を食らっていても、ホームページを見るとそんなことは一切告知せずに「好評の○○○プラン提供中」などとなっている。
自治体だって観光産業に響くと思っているのか及び腰のところが予想以上に多い。地元のメディアはどうかというと、これもあんまり期待できない。大手の旅館・ホテルだと広告出稿の関係があるのかな。小さなところはほとんど無視。メディアが伝えているのは一部にすぎないということに最近気づいた。
どうして分かったかというと、ブログの読者が「間接的」に教えてくれるからだ。ブログを書いている人なら知っていると思う。たぶんほとんどのブログにはアクセス解析なる機能がついていて、訪問者がどんな言葉を検索してやってきたかの検索トレンドが分かるようになっている(知らない人には説明するのが難しい)。
先日、ふとしたきっかけでこの検索トレンドを調べてみた。最近オープンしたばかりの施設名を検索してやってきた人が圧倒的に多いのだが、その中で特定の旅館名とノロウイルスという言葉を検索してきた人が1日に十数人いた。ブログではノロウイルス関連の記事とその旅館の記事はまったく別だったのだが、同じページ上に2つの言葉が載っていたので検索に引っかかったようだ。
1人や2人だったら気づかなかっただろう。でも1日に十数人が同じ言葉で検索してやってくるというのは零細ブログにとって、ちょっとした規模だ。大手新聞がその旅館でノロウイルスによる食中毒が発生したと伝えたのはそれから3日後だった。
勝手に想像してみると、その旅館が営業停止処分になって旅館側から予約客へのキャンセルの連絡をしたところ、その客たちがネットで検索したことが考えられる。あとは患者の家族とか、職場・学校の関係者が検索したのかもしれない。その結果、本人たちが全く意識しないうちに私に情報を提供してくれたことになった。
既にこの方法で何件かニュースを見つけた。新聞や自治体のサイトに出るよりも数日早く情報をつかめている。でも、実際にブログで紹介できるのはほんの一部。最後までメディアや自治体のサイトで確認できずに終わるところは、実際に記事にできるところの数倍に達している。
いくら図々しい私でも、旅館やホテルに電話して「そちらの名称と食中毒って言葉で検索して私のブログにやってくる人が何人もいるんですが、本当に食中毒が起きてますか?」なんてさすがに聞けない。