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インドの電力事情は相変わらず悪いみたいで、サッカーの試合を見ていて懐かしい気持ちにさせられた。
私が住んでいたころは一日20時間の停電なんてザラだった。日本と違ってインドの停電は人為的に作られているというのは何カ月も知らなかった。友人が停電のことをload sheddingと言うのを聞き、インド風の英語表現なのだろうと思っていた。
ある日、友人が「日本にもload sheddingはある?」と聞いてきたので、「ほとんどないけど、雷が落ちた時とか嵐の時なんかはたま〜にあるよ」と答えたところ、「それはload sheddingではなくてpower cutだ」と言われ、両者の違いを説明してもらった。
要するに発電総量に限界があって需要を満たせず、人為的に調節してどこかに泣いてもらわなくちゃいけないってことだ(いま手持ちの辞書でload sheddingを引くと「電力均等分配」と出ている)。テレビで人気ドラマを見ていていいところにくると、テレビどころか家中が真っ暗になってしまう訳がこの時初めて分かった。
ある日、この友人が寄ってきた。「明日はゼネストだからload sheddingは絶対ない。一日中電気がつくよ」。なんでゼネストだと停電がないのか、最初は意味がまったく分からなかった。ゼネストだったら1日中停電でもおかしくなさそうなもんだが。彼女いわく「発電所は自動で稼動する仕組みになったけど、電力の分配は人間がやっているからゼネストだと停電にならない」そうだ。
ゼネスト当日、我が家(インド人家庭にホームステイしていた)の電灯やテレビはふっと揺らぐ瞬間はあったけど、一日中ちゃんとついていた。誰も働かなければ停電にならないというのは、これまでの自分の常識を覆すような経験だった。
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