2006年04月19日

7年という歳月

 山口県光市の母子殺害事件で遺族となったご主人の本村さんをテレビでみると、7年の歳月をずっしりと感じる。

 最初に彼を見たのは事件の起きた1999年だったと思う。彼はまだあどけなさというか子供っぽさの残る顔で、(実際にどんな言葉を使ったかは忘れたものの)『司法の力で犯人に死をもたらせないのならば、自分が殺すまでだ』とキッパリ言い切って涙を誘った。

 ここ数日テレビで見る彼は当時に比べて随分大人になった。それでも犯人への憎しみだけはまったく変わらないように見える。自分が彼の立場だったら同じように憎しみを募らせるのだろう。ただ、テレビの前であそこまで理路整然と厳しい言葉で自分の考えを語ることは到底できない。

 私が事件のことを思い出すのは、テレビや新聞で取り上げられた時だけ。ところが彼はこの7年間というもの、毎日事件のことを考えてきたに違いない。それはどんな日々なのか。テレビを見ながら『この人はどんなときに笑うのだろう』『お花見をして桜を美しいと感じることはあるのだろうか』など余計なことを考え出すと止まらなくなってしまう。

 彼はまだ30歳。極刑判決が出たらようやく満足して新しい人生を歩みだせるのだろうか。「もう十分苦しんだのだから幸せになってよ。まだ若いんだからさ…」。テレビを見るたびに祈るような気分になる。
posted by らくだ at 23:09 | Comment(3) | TrackBack(0) | 国内ニュース | 更新情報をチェックする